最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―

びーぜろ

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第一章 最強呪符使い故郷を追われる

最凶の荒魂、アラミーちゃん襲来!②

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「や、やばっ!」

『浮遊』の呪符で宙を飛び、亜空間から妖刀ムラマサを取り出してすぐ開合を唱える。

『起きろ。ムラマサ。天を割れ』

 黒い瘴気を操る開合が『起きろ』なら文字通り『天を割る』のがこの開合。
 ぶっちゃけ、荒魂やアンデッド系モンスターと戦う時にしか役に立たない開合だ。
 しかし、その効果は抜群。

「それじゃあね。アラミーちゃん」

 妖刀ムラマサを縦に振ると、黒い瘴気がアラミーちゃんが大地に流した強酸の涙を消し去り、曇天が割れ太陽の光が射してくる。

『待ッテェェェェ! 私ハ、私ハマダ消エタクナイ!』

 アラミーちゃんの言葉を聞き頬を軽く掻くと、太陽の光を浴びたアラミーちゃんの魂が崩れていく。
 太陽の光には高い浄化効果がある。
 その効果は強い怨念を抱える荒魂を洗剤で洗うように浄化していく。

「大丈夫だよ……」

 昔のボクでは、まだ上手く妖刀ムラマサを使いこなすことができず、アラミーちゃんを浄化することができなかった。
 しかし、いまは違う。

「荒ぶる魂よ。浄化の光を浴びて荒魂から和魂に成り賜え」

『ア、アアッ……。私ハ……。私は……』

 太陽の光を浴び浄化されたアラミーちゃんに視線を向ける。
 すると、そこには小さなお人形さんが横たわっていた。

「えっ? なんで人形??」

 完全に予想外の形態だ。
 最凶の荒魂、アラミーちゃんが太陽の光に浄化され、可愛らしい人形に変貌してしまった。

『私、アラミー。二十歳。独身よ。趣味は男漁り。今日からよろしくね』

 普通にご免である。
 ボクにアラミーちゃん人形で人形遊びでもしろというのだろうか?
 しかも趣味が男漁り?
 凄いな。アラミーちゃん。
 身長十五センチの可愛らしい人形なのに随分とアダルトなことをいう人形だ。

 とりあえず、気持ち悪すぎるので踏んづけると、アラミーちゃんが苦悶の声を漏らす。

『うっ……。なんてハードコアな趣味。でも私は、そんなあなたに憑いて行って見せる』
「いや、ついてくんな」

 そんなアラミーちゃんの気持ちが悪い発言を聞き、ボクはアラミーちゃんをこの場に置いていくと決心した。
 まあ、和魂になったから大丈夫だろう。
 見た目も可愛らしいお人形さんだし……。

 宙をなぞり亜空間から『呪縛』の呪符を取り出すと、アラミーちゃん本体の人形に貼り付け身体の自由を奪う。
 そして、アラミーちゃんを中心に六芒星を描くと周囲に呪符を貼り付け、亜空間から取り出した箱で覆った。

『出してっ! 出してよっ!』

 当然、出す訳がない。
 最後に『封印』の呪符を箱に貼り付けると、アラミーちゃん人形を放置してその場を後にした。

 しかし、数歩歩いた所であることに気付く。

「……しまった」

 アドミーちゃん襲来ですっかり忘れていた。

「町……どこにあるんだろう……」

 宙に浮かびながらクークーと爆睡するポメちゃんを視界に収め、ため息を吐く。
 とりあえず、馬車が走り去って行った方向に向かって歩くも、町に辿り着いたのはその二日後だった。

 ◇◆◇

 私はイエスマン伯爵家に仕える御者の一人。
 今日、私は死を覚悟した。

「オ、オークがっ! オークが襲ってきます!」
「な、なにぃ! なぜだっ! いままでこの道でモンスターに遭遇したことなどなかったではないかっ!」
「そ、そうなのですが、いまはそれ所ではありません!」

 私の育てる愛馬。マンハッタン。
 オークの脅威から逃れる為、祈る様に横っ腹に鞭を打つ。
 マンハッタンの横っ腹に鞭を入れたのは、『加速しろ』という命令を伝える為。
 動物を虐待した訳ではない。

 愛馬、マンハッタンが私の意を汲み速度を上げると、オーク達もまた必死に追いかけてきた。

「が、頑張れ! 負けるな、マンハッタン! 私達の命はお前にかかっているんだぞ!」

 しかし、時が経つにつれて馬車の速度が落ちていく。

「マンハッタン! もしこの場を逃げ切れたらリンゴをくれてやる! 蜂蜜や砂糖も旦那様にお願いして手に入れて貰おう! だから頼む。お願いだから、マンハッタン。お前最後のきらめきを見せてくれ!」

 そう願うも現実は無常だ。
 速度が落ち、オーク達が馬車に追いついてくる。

「も、もう駄目だっ!」

 馬車の中でイエスマン伯爵がそう叫び声をあげる。
 すると、突然、森から黒い瘴気が立ち昇り森を消した。

 唖然とした表情を浮かべていると、森があった場所から一台の監獄犬車がこっちに向かって突っ込んでくる。

「いやいやいやいや、いやぁぁぁぁ!」

 私の絶叫はなんのその。監獄犬車がオーク達を巻き込み衝突事故を起こすと、そのまま向こう側へと突き進んでいく。
 一瞬、ストライクという言葉が聞こえたがあれは一体何だったのだろうか?

「な、なんだあれは……。いや、それよりも!」

 いまは逃げる事が先決だ。
 すぐに愛馬、マンハッタンに『加速』の指示を与えると、オークが目覚める前にその場を後にした。
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