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第一章 最強呪符使い故郷を追われる
白い悪魔ドイチェスピッツ(ポメちゃんの名前)②
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「……おい。私の話を聞いているのかっ! 一緒にあった監獄馬車はどうしたと聞いている!」
「い、いえ、それが……。幸いなことに監獄馬車は押収されなかったようです。しかし、不可解な点が一つだけ……」
「不可解な点? なんだそれは……」
「いえ、近隣でドイチェスピッツを引いた監獄馬車を見たとの情報が入っており……」
「ドイチェスピッツが?」
思わず、檻に噛り付いているドイチェスピッツに視線を向ける。
……いや、流石にコイツじゃないか。
あまりに小さ過ぎる。とてもじゃないが監獄馬車を引くのは不可能だ。
「ええ、おそらく見間違いかと思いますが、そういった噂があるのも事実です。こちらに関しましては確認を急ぎます」
「ああ、頼んだぞ。せめて監獄馬車にある名簿だけでも処分しなくては……」
「ええ、まったくです。それで、ピーチ様。一つご相談が……。あ、ああっ……?」
急に顔を強張らせる部下。
「うん? どうした? そんな顔をして……。私の後ろになにか……」
そう呟くと同時に、バキンと何かが壊れる音がした。
音のした方向に視線を向けると、そこには巨大化したドイチェスピッツの姿がある。
「ピ、ピーチ様……。お、お逃げ下さい……」
「くっ……!」
部下の言葉を聞き、咄嗟にその場を離れると、ドイチェスピッツが前足を思い切り振り上げ馬車の床に穴をあける。
「ぐっ、ぐああああああっ!?」
その瞬間、馬型モンスター、バトルホースが『ヒヒーンッ!』と声を鳴らし、馬車が傾いた。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ、ありがとう。君を護衛に就けて本当によかったよ……」
護衛の冒険者、咄嗟の機転で馬車の外に逃げ出すのとほぼ同時に、ドイチェスピッツが荷物ごと馬車を押し潰した。
「御者と部下は……。もう駄目だな。よし、すぐにこの場から離れるぞ」
「はい。しかし、よろしいのですか? ドイチェスピッツは、危険度Aのモンスター。このまま放置しては……」
「ふんっ。そんなの知ったことか……。他の奴等の命より私の命の方が大事なのだよ。それに町には冒険者ギルドがある。町が崩壊するまではいかないさ。いいからこの場から離れるぞ」
「は、はい。わかりました!」
冒険者の護衛にドイチェスピッツから離れていくと、ドイチェスピッツはひたすらに馬車へと噛みついていく。
馬車が塵屑へと変わっていく中、ヒタヒタと近くに近寄ってくる足跡がした。
「あーやっぱり。ポメちゃん。暴れてるー。駄目じゃないか」
そんな緩い声にポメちゃんが怒りを表すと、ボクに向かって爪を振り下ろしてきた。
ポメちゃん渾身のポメクロウ。
「ポメちゃんはヤンチャだなぁ……。でも、元飼主に噛みついちゃあいけないよ?」
宙に浮かべた呪符で爪を受け止めると、ポメちゃんは警戒した表情を浮かべて後退る。
ポメちゃんの攻撃は基本的に物理攻撃。
魔法を使う訳ではない。
「これはちょっとお仕置きが必要かな?」
そう言って亜空間から妖刀ムラマサを取り出すと、まだ攻撃も『隷属』の呪符を付していないにも関わらず、ポメちゃんが転がって腹を見せた。
完全な従属。
「クーンクーン(まだ死にたくない。腹を見せてでもこの場を乗り切らなければ……)」
「あれっ? ポメちゃんどうしたの?」
「ハッ、ハッ、ハッ」と息を吐きながら腹を見せるポメちゃん。
妖刀ムラマサを持ったまま、腹を撫でると、ポメちゃんが気持ち良さそうな声を上げた。
「……まったく。ポメちゃんは現金だなぁ」
改めて『隷属』そして『縮小』の呪符をポメちゃんに付すと、小型犬となったポメちゃんが擦り寄ってくる。
「クーンクーン(もう攻撃しないから、その刀、しまってくれないかな?)」
「うんうん。そうだね。流石はポメちゃん。横たわる死体は放置して、あの元馬車を持ち帰ろうっていうんだね?」
「クーン!?(いや、そんなこと言ってませんけど!?)」
ポメちゃんが視線を向けた方向。
そこにはポメちゃんがバキバキに破壊した馬車と、横たわる人の死体、そして虫の息となった馬型モンスター、バトルホースの姿がある。
バトルホースは飼って良し。売って良し。食べて良しの三法良しモンスター。
このまま死なせるのはあまりに惜しい。
それにモンスターや盗賊に襲われ廃棄した馬車の所有は、処理をした者の物となると、冒険者ギルドにより定められている。
「それじゃあ、まずは……」
ポメちゃんが大破させた馬車を亜空間にしまうと、横たわるバトルホースに『治癒』の呪符を付していく。
「この位で大丈夫かな?」
完全回復した事を確認すると、ポメちゃんに怯えた視線を向けるバトルホースに『隷属』そして『安静』の呪符を追加で付し、頭を撫でた。
「さて、これで君は完全にボクの庇護下に入った。もう安心していいよ」
「ブル! ブル!(人間の子供如きが気高い私に触るな!)」
「うんうん。君の気持はすごーくよくわかるよ。それじゃあ、町に行こうか。ボクお腹すいちゃったよ。あっ、でも安心して、君の事をとって食おうとか考えていないからさ……。今のところはね」
「ブ、ブルルー!(な、なんて怖いことを言うんだ……。そして、俺の言いたいこと、全然通じてねー!)」
「はいはい。わかったから。町に行こうね」
そう言うとボクは、騒ぐバトルホースのバトちゃんの手綱を引き、再度、町に向かった。
「い、いえ、それが……。幸いなことに監獄馬車は押収されなかったようです。しかし、不可解な点が一つだけ……」
「不可解な点? なんだそれは……」
「いえ、近隣でドイチェスピッツを引いた監獄馬車を見たとの情報が入っており……」
「ドイチェスピッツが?」
思わず、檻に噛り付いているドイチェスピッツに視線を向ける。
……いや、流石にコイツじゃないか。
あまりに小さ過ぎる。とてもじゃないが監獄馬車を引くのは不可能だ。
「ええ、おそらく見間違いかと思いますが、そういった噂があるのも事実です。こちらに関しましては確認を急ぎます」
「ああ、頼んだぞ。せめて監獄馬車にある名簿だけでも処分しなくては……」
「ええ、まったくです。それで、ピーチ様。一つご相談が……。あ、ああっ……?」
急に顔を強張らせる部下。
「うん? どうした? そんな顔をして……。私の後ろになにか……」
そう呟くと同時に、バキンと何かが壊れる音がした。
音のした方向に視線を向けると、そこには巨大化したドイチェスピッツの姿がある。
「ピ、ピーチ様……。お、お逃げ下さい……」
「くっ……!」
部下の言葉を聞き、咄嗟にその場を離れると、ドイチェスピッツが前足を思い切り振り上げ馬車の床に穴をあける。
「ぐっ、ぐああああああっ!?」
その瞬間、馬型モンスター、バトルホースが『ヒヒーンッ!』と声を鳴らし、馬車が傾いた。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ、ありがとう。君を護衛に就けて本当によかったよ……」
護衛の冒険者、咄嗟の機転で馬車の外に逃げ出すのとほぼ同時に、ドイチェスピッツが荷物ごと馬車を押し潰した。
「御者と部下は……。もう駄目だな。よし、すぐにこの場から離れるぞ」
「はい。しかし、よろしいのですか? ドイチェスピッツは、危険度Aのモンスター。このまま放置しては……」
「ふんっ。そんなの知ったことか……。他の奴等の命より私の命の方が大事なのだよ。それに町には冒険者ギルドがある。町が崩壊するまではいかないさ。いいからこの場から離れるぞ」
「は、はい。わかりました!」
冒険者の護衛にドイチェスピッツから離れていくと、ドイチェスピッツはひたすらに馬車へと噛みついていく。
馬車が塵屑へと変わっていく中、ヒタヒタと近くに近寄ってくる足跡がした。
「あーやっぱり。ポメちゃん。暴れてるー。駄目じゃないか」
そんな緩い声にポメちゃんが怒りを表すと、ボクに向かって爪を振り下ろしてきた。
ポメちゃん渾身のポメクロウ。
「ポメちゃんはヤンチャだなぁ……。でも、元飼主に噛みついちゃあいけないよ?」
宙に浮かべた呪符で爪を受け止めると、ポメちゃんは警戒した表情を浮かべて後退る。
ポメちゃんの攻撃は基本的に物理攻撃。
魔法を使う訳ではない。
「これはちょっとお仕置きが必要かな?」
そう言って亜空間から妖刀ムラマサを取り出すと、まだ攻撃も『隷属』の呪符を付していないにも関わらず、ポメちゃんが転がって腹を見せた。
完全な従属。
「クーンクーン(まだ死にたくない。腹を見せてでもこの場を乗り切らなければ……)」
「あれっ? ポメちゃんどうしたの?」
「ハッ、ハッ、ハッ」と息を吐きながら腹を見せるポメちゃん。
妖刀ムラマサを持ったまま、腹を撫でると、ポメちゃんが気持ち良さそうな声を上げた。
「……まったく。ポメちゃんは現金だなぁ」
改めて『隷属』そして『縮小』の呪符をポメちゃんに付すと、小型犬となったポメちゃんが擦り寄ってくる。
「クーンクーン(もう攻撃しないから、その刀、しまってくれないかな?)」
「うんうん。そうだね。流石はポメちゃん。横たわる死体は放置して、あの元馬車を持ち帰ろうっていうんだね?」
「クーン!?(いや、そんなこと言ってませんけど!?)」
ポメちゃんが視線を向けた方向。
そこにはポメちゃんがバキバキに破壊した馬車と、横たわる人の死体、そして虫の息となった馬型モンスター、バトルホースの姿がある。
バトルホースは飼って良し。売って良し。食べて良しの三法良しモンスター。
このまま死なせるのはあまりに惜しい。
それにモンスターや盗賊に襲われ廃棄した馬車の所有は、処理をした者の物となると、冒険者ギルドにより定められている。
「それじゃあ、まずは……」
ポメちゃんが大破させた馬車を亜空間にしまうと、横たわるバトルホースに『治癒』の呪符を付していく。
「この位で大丈夫かな?」
完全回復した事を確認すると、ポメちゃんに怯えた視線を向けるバトルホースに『隷属』そして『安静』の呪符を追加で付し、頭を撫でた。
「さて、これで君は完全にボクの庇護下に入った。もう安心していいよ」
「ブル! ブル!(人間の子供如きが気高い私に触るな!)」
「うんうん。君の気持はすごーくよくわかるよ。それじゃあ、町に行こうか。ボクお腹すいちゃったよ。あっ、でも安心して、君の事をとって食おうとか考えていないからさ……。今のところはね」
「ブ、ブルルー!(な、なんて怖いことを言うんだ……。そして、俺の言いたいこと、全然通じてねー!)」
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