最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―

びーぜろ

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第一章 最強呪符使い故郷を追われる

ポエマー的荒魂ハナ④

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「う、うぐぐっ……ワシは一体なにを……」

 洞窟の中、目を覚ましたワシが一番最初に見たもの。
 それは、洞窟内の壁に刻まれた傷跡だった。

 まるで、なにかに抉られたかのような傷跡が至る所についている。

「……い、一体、なにがあったというんじゃ」

 ふらつきながら立ち上がると、背後から「スースー」と寝息を立てる音が聞こえてくる。

「うん? なんじゃ?」

 地面に横たわるは、ワシの入れ歯(魂)を砕いた鬼畜外道。

「ほ、ほぉおおおおっ!?」

 ここで会ったが百年目ぇ!
 ワシの入れ歯を砕いた元凶を目の前についつい叫び声を上げてしまう。

 ……い、いかんいかん。

 こうも大きな叫び声を上げては、こやつが目を覚ましてしまうかもしれないではないか。
 少し黙れワシ。クールになれよワシ。
 ワシならできるはずじゃワシ。頑張れよ、ワシ。
 まずはそうじゃな……状況整理から始めよう。

 両手で口を抑えると、ワシは周囲を見渡した。
 いま、一番に確認しなくてはならないこと。
 それは苗床達の確認。
 あれはワシが懇切丁寧丹念に攫い育ててきた苗床達。いま、あれを失いチューチュードレインできなくなったら軽く発狂できる気がする。

「……しかし、なぜこんなにもボロボロなのじゃ? なぜ、ワシは気を失った?」

 洞窟内にドラゴンでも沸いたかのようなこの惨状。
 まるで意味がわからん。

 そういえば、気を失う瞬間、なにかの声を聞いた気がするが……。
 まあ、気のせいか……。

「うん?」

 それにしても……なにかおかしい……。
 目を擦り、とりあえず、「あーあー」と声を出すと、ワシは目を見開いた。

「な、なんか、入れ歯無しに、普通に喋れるんじゃけれどもぉぉぉぉ!」

 口から勝手に出てくる魂の叫び。
 ワシがそう叫び声を上げると、地面に横たわったままの少年が「う、うーん」と寝返りを打つ。

「うぐっ……」

 両手で口を閉じ、その場からゆっくり離れると、岩の後ろにそっと隠れる。

 あ、危なかった……。
 なんで地面で寝返りを打っているのか見当もつかないが、あの少年はヤバい。

 というより、なんで抜け落ちたはずの歯が生えているんじゃ?

 嬉しいことだが意味がわからん。
 もしや、あの小僧の歯を宙に投げる狂気的な風習が歯を生え揃わさせたのだろうか?
 なんなんじゃ、本当に意味がわからん。

 い、いや、いまはそんなことどうでもいい。
 ワシが丹念に育ててきた苗床の確認をしなければ!

 僅かな松明の灯りを頼りに、苗床の栽培場へと向かうとそこには……。

『ゲギャ?』

 そう笑う花ゴブリンと目が合った。。
 花ゴブリンはワシと目が合った瞬間、苗床の頭に生えた『癒草』を抜き『ゲギャゲギャ』と笑う。
 そして花ゴブリンの足元には、壊れて使い物にならなくなった『モンスターテイマーの鈴』があった。

「ほ、ほぉおおおおっ!? ワ、ワシの苗床達が、栽培場がぁぁぁぁ! モンスターテイマーの鈴がぁぁぁぁ!?」

 モンスターテイマーの鈴があったからこそ、花ゴブリンと花フォレストベアーを操ることができていたというのに、壊れてしまえばモンスターを使役することができなくなってしまう。

 栽培所を荒らされ茫然と立ち尽くすしかできないワシに、花ゴブリン共の『ゲギャ』という声が酷く耳障りに聞こえる。

「な、なんじゃ、なにをするつもりじゃ……」

 すると、花ゴブリンは毟った『癒草』を放り、ワシを取り囲んだ。
 そして、手に持った棍棒を構えると、ジリジリとにじり寄ってくる。

「ま、待て、話そう。話し合えばわかりあえる筈じゃ……止め、止めろっ……」

 そう命乞いをするも、花ゴブリンは『ゲギャゲギャ』と笑うだけ。

「か、金か? それとも他に欲しいものがあるのか? じ、自慢じゃないが、ワシは資産家じゃからの、金なら沢山……じゃから、止め、止めて……ぎゃああああっ!?」

 そのまま棍棒を振り上げると、ワシのことを滅多撃ちにしていく。

「ちょ、ちょっと待つのじゃ……ふべっ!? もうやめ……ぐはっ!? ワシがなにを……へぶっ!?」

 折角、生えた歯が花ゴブリン共の棍棒攻撃により次々と砕かれていく。

「も、もうひゃめへ……ふぶっ!!?」

 そして、最後の歯が抜けると、ワシはそのまま意識を閉ざした。

 ◇◆◇

「う、うーん……あれ? ここは……」

 目を覚ますと、幸魂に……いや、精霊と成ったハナちゃんが飛び付いてくる。

『ハナッハナッハナッ! 起キタ? 起キタ?』
「うわっ!? 驚かせないでよ。ハナちゃん……」

 ハナちゃんの頭を軽く撫でながらそう言うと、ハナちゃんは嬉しそうな表情を浮かべる。
 うん。声はキンキン響くけど可愛らしい。
 アラミーちゃんとは雲泥の差だ。

「うん。お陰様でねー。あれ、そう言えば、あのお爺さんは?」
『オ爺サン? アア、アノ人間ナラ、アッチニ倒レテイルヨ?』
「あっち? ハナちゃん。案内してくれないかな?」

 少し時間を置いて魔力が回復したためか、少しだけ動けるようになった。

『コッチ、コッチ!』と言ってボクの袖を引くハナちゃんの誘導されるがまま洞窟の中を進んでいくと、そこには血塗れとなって地に伏すお爺さんの姿と、ボクを見て整列する花ゴブリンの姿があった。
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