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ひかれ合う!?
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それは夏の長い長い猛暑がやっと終わり始めたと思ったら、すぐに冬の寒さがやってきた11月の中旬の出来事だった。
あれ?今年って秋あったっけ?
夏の半袖短パンからすぐにパーカーと長ズボンになっていた。
ロンTやオシャレジャケットの登場期間はあまりにも短い。
まるでセミだ。
3年も4年も幼虫として地面に埋まっていて、成虫になって外に出て、夏が来たぜぇぇぇぇっ!!、と叫んで交尾してカラスに食べられる晩年の1週間である。
あるいは都会のJKや女性配信者のスカートか。
あまりにも短い。
そんな寒い冬の日の22時を回った頃、僕は手袋をしてパーカーのフードも被って繁華街へ歩き出す。
今夜は友人が働いているJapanese HIPHOP BERで音楽イベントがあるので聴講するためだ。
BERに到着する時には、お店から重低音の音楽が聴こえた。
これが心地良く思えるが、中にはこの重低音で腹痛になってしまう友人も少なからず居た。
僕自身は人をDISる(悪口)アングラなラッパーは全然知らず、テレビに出ているような韻を踏んで自分を鼓舞したり応援したりするラッパーが好きである。
世の中にはたくさんの言霊があり、それらを韻を踏んでメッセージを伝える面白さがあると思っている。
お店に入ると重低音はますます大きく響き、会話はほとんど聞こえないようになる。これがまた良い。
入場チケットを購入して働いている友人にビールを注文する。
独りでソファーにもたれかかってビールを飲みながら、初めて聞くHIPHOPの歌詞を心で反芻する。
なるほど、こういう韻の踏み方もあるのか。面白い。
心地良い時を独りで1時間ぐらい過ごしただろうか。
ビールのお代わりをもらいにカウンターへ注文しに行こうとすると、隣に見た事がある女性がいた。
先日知り合った、こことは別のBERを経営しているママだった。
こないだはどーも、よく来られるんですか?
などと他愛もない会話をして、また独りソファーへ戻る。
するとママが別の男性と話をしてから、2人で僕の所へやってきて僕の出身校を尋ねる。
僕は〇〇中学校ですよ、と答えると、その男性も同じ学校で、歳は一つ上であることが分かった。
やはり田舎の世間は狭い。
今日だって独りで行動したくてフードを被って歩いていたのに知り合いにあってしまった。
自分で言うのもなんだが、僕は基本的に陽キャで人と話す事が好きだが、たまには独りになりたい時がある。
でも田舎ではそれが許されない。
行くとこ行くとこ、かなりの高確率で知り合いに会ってしまう。
例えるなら辛いラーメンを食べた後、約8時間後にお腹が痛くなってしまう確率に似ている。
あるいは、野良猫を撫でてやろうとして近づくが逃げられてしまう確率かもしれない。
そんな高確率で、僕は出身校の同じ一つ年上の男性と初めて会うことになった。
だが、爆音の中であまり会話は出来ないものの、僕の趣味の一つである小説が、その男性も好きであることを知る。
さらに、その男性も僕と同じように小説を書いて投稿しているということを知る事になる。
これはまさに奇跡であった。
これまでも、小説を好きと言う男女は出会ったことがあったが、投稿している人は初めてで、それがこの寒い日のJapanese HIPHOPイベントで、たまたま会ったママさんの知り合いとして出会うなんて、それは本当に奇跡的な確率であろう。
例えるなら小学校の時のお祭りの金魚が、未だにスクスク育って大物になっている友達がクラスに1人ぐらいいる確率に似ているかもしれない。
あるいは、都会の巨大テーマパークで田舎の知り合いに会う確率かもしれない。
同じ小説好き同士、ひかれ合って出会えたのだと思うと、今日のHIPHOPイベントに参加して良かったと思えた、寒い寒い11月の日のことであった。
以上です。
最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。
出会いは奇跡ですね。
あれ?今年って秋あったっけ?
夏の半袖短パンからすぐにパーカーと長ズボンになっていた。
ロンTやオシャレジャケットの登場期間はあまりにも短い。
まるでセミだ。
3年も4年も幼虫として地面に埋まっていて、成虫になって外に出て、夏が来たぜぇぇぇぇっ!!、と叫んで交尾してカラスに食べられる晩年の1週間である。
あるいは都会のJKや女性配信者のスカートか。
あまりにも短い。
そんな寒い冬の日の22時を回った頃、僕は手袋をしてパーカーのフードも被って繁華街へ歩き出す。
今夜は友人が働いているJapanese HIPHOP BERで音楽イベントがあるので聴講するためだ。
BERに到着する時には、お店から重低音の音楽が聴こえた。
これが心地良く思えるが、中にはこの重低音で腹痛になってしまう友人も少なからず居た。
僕自身は人をDISる(悪口)アングラなラッパーは全然知らず、テレビに出ているような韻を踏んで自分を鼓舞したり応援したりするラッパーが好きである。
世の中にはたくさんの言霊があり、それらを韻を踏んでメッセージを伝える面白さがあると思っている。
お店に入ると重低音はますます大きく響き、会話はほとんど聞こえないようになる。これがまた良い。
入場チケットを購入して働いている友人にビールを注文する。
独りでソファーにもたれかかってビールを飲みながら、初めて聞くHIPHOPの歌詞を心で反芻する。
なるほど、こういう韻の踏み方もあるのか。面白い。
心地良い時を独りで1時間ぐらい過ごしただろうか。
ビールのお代わりをもらいにカウンターへ注文しに行こうとすると、隣に見た事がある女性がいた。
先日知り合った、こことは別のBERを経営しているママだった。
こないだはどーも、よく来られるんですか?
などと他愛もない会話をして、また独りソファーへ戻る。
するとママが別の男性と話をしてから、2人で僕の所へやってきて僕の出身校を尋ねる。
僕は〇〇中学校ですよ、と答えると、その男性も同じ学校で、歳は一つ上であることが分かった。
やはり田舎の世間は狭い。
今日だって独りで行動したくてフードを被って歩いていたのに知り合いにあってしまった。
自分で言うのもなんだが、僕は基本的に陽キャで人と話す事が好きだが、たまには独りになりたい時がある。
でも田舎ではそれが許されない。
行くとこ行くとこ、かなりの高確率で知り合いに会ってしまう。
例えるなら辛いラーメンを食べた後、約8時間後にお腹が痛くなってしまう確率に似ている。
あるいは、野良猫を撫でてやろうとして近づくが逃げられてしまう確率かもしれない。
そんな高確率で、僕は出身校の同じ一つ年上の男性と初めて会うことになった。
だが、爆音の中であまり会話は出来ないものの、僕の趣味の一つである小説が、その男性も好きであることを知る。
さらに、その男性も僕と同じように小説を書いて投稿しているということを知る事になる。
これはまさに奇跡であった。
これまでも、小説を好きと言う男女は出会ったことがあったが、投稿している人は初めてで、それがこの寒い日のJapanese HIPHOPイベントで、たまたま会ったママさんの知り合いとして出会うなんて、それは本当に奇跡的な確率であろう。
例えるなら小学校の時のお祭りの金魚が、未だにスクスク育って大物になっている友達がクラスに1人ぐらいいる確率に似ているかもしれない。
あるいは、都会の巨大テーマパークで田舎の知り合いに会う確率かもしれない。
同じ小説好き同士、ひかれ合って出会えたのだと思うと、今日のHIPHOPイベントに参加して良かったと思えた、寒い寒い11月の日のことであった。
以上です。
最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。
出会いは奇跡ですね。
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