上 下
6 / 6

机の下はたのしいね

しおりを挟む
 王宮に備えられたディレインの私室兼仕事部屋兼研究室には、とても立派な机が設置されている。とある家具職人を助けた際に礼として受け取ったそれは両袖デスクと呼ばれる形の机に豪華な椅子のついた作りで、ディレインには不釣り合いな程大ぶりなものだ。机の下に人を一人隠せる程度には。


 魔力を使用せずに稼働する希少かつ高価な蓄音機から流れる音楽に消される程度の、側にいるディレインにしか聞こえない音量でちゅぷちゅぷと控え目な水音が机の下で密かに立てられている。それは、ディレインの思い付きに巻き込まれたノルが出しているものだった。今日の彼はディレインのものに口で奉仕しながら、その舌の動きと全く同じ刺激をアーテルにより与えられている。
 “研修”を受けたとはいえ今日はアーテルの補助が無い。未だ口での行為にあまり慣れていないノルの舌技は未だに拙いもので、ディレインは主にノルの表情を眺めることで楽しみながら鼻歌交じりに書類仕事を行なっていた。




 そんな中、折り目正しいノックの音が聞こえてきたことでノルの肩が跳ねる。


「失礼します、魔術師殿! 来月行われる祝賀祭での魔術行使に関しての書類をお届けに参りました!」
「うんありがとー、そのへん置いてっていーよー」
「畏まりました!」


 礼儀正しく職務を行う王宮勤めの文官に対し、ディレインはゆるい空気で対応する。そしてノルは、ただ机の下で震えていた。


「っ……、ぅ……♡ 、ん……っ」
「、魔術師殿、何か仰いましたか?」
「! ……、ぅく、ふ……っ!」
「あー、蓄音機かな? たまに雑音が入るんだよね。気に入ってるから別にいいけど」
「良い物を使っていらっしゃいますね、普及している魔道具ではないのでしょう?」
「そう、趣味の友人から譲られたものなんだよ」


 舌の動きを止めることもアーテルに与えられる快感から逃れることも許されていないノルは、文官が立ち去るまでの間どうにか水音や自らの吐息を抑えようと必死になる。しかし音楽に興味があるらしい文官はノルの望みに反してディレインと立ち話を始めた。

「これほどの逸品を友人に譲り渡すとは……良い交友関係ですね。音楽がお好きなら一度お会いしてみたいものです」
「ん? いや違うよ。そいつの趣味は音楽じゃなくて、人に何かを贈ることなんだ」
「……それは……変わった趣味ですが、良いご友人であることには変わりませんね」
「やー、あいつ後輩をいじめて泣かせる天才だったよ。しかも無自覚の。いい友達だけど、良い奴ではないね、絶対」
「……それは……」


 二人が談笑する声に怯え、ノルは縋るようにディレインのそこへ吸い付く。それは連動するアーテルからの責めをより深くして自らを追い詰める行いだというのに、最早頭の回っていない彼にはもう何もわからない。跳ねる身体をどうにか押さえ込もうとしては快楽に落とし込まれ、朦朧としていた。


(あーあー、目がトんじゃってるよ可愛いなあ……。 ……もう蓄音機あげるからさっさと帰ってくれないかな)


 表面上は笑っているものの、ディレインの内心は穏やかではない。折角の心地よいひとときを邪魔されているのだから無理もないことだろう。






(……かえって、っもう……っ、むり、やめて、帰ってぇ……!)


 ノルは机の下でただ怯えていた。一糸纏わぬ姿で主人の腰へ縋り付いてその幼いペニスへ必死に吸い付き、自らの下半身は足を曲げられ正座のような形で床に固定されながらもアーテルに嬲られている。そんな姿を誰かに見られてしまえば、ノルは勿論主人のディレインすらも無事では済まないだろう。
 少しでも水音を抑えようと深く咥え込めば、細く伸ばした身体を喉へ張り付かせたアーテルがその動きを読み取って同じようにノルのペニスを包み込む。そうして跳ねた身体でディレインに与えてしまった刺激がそっくりそのまま自分に返ってくる。触れられてもいない乳首を赤く勃てながら、ノルは一刻も早く兵士が退室してくれることを願っていた。



「それでは私は戻ります。祝賀祭の魔術、楽しみにしております!」
「はーい、ありがとね」
「失礼します!」


 そして、漸く平穏が訪れる。ぱたん、と静かに閉じられた扉を見ながらディレインは笑った。






「ノルー! もう行ったから大丈夫だよ、怖かったでしょ?」
「……、ぅ、ふぁ、い……」


 控えめながらもきちんと奉仕を続けていたノルの髪を褒めるように掻き回すと、ぼんやりと遠くを眺めていた瞳が安心したように緩められる。己のものを咥えながら心地好さそうに微睡むノルを愛おしく思ったディレインは、ノルの胸元で健気に主張している乳首に目を付けた。


「ふふ、そんなに赤くしちゃって……どうしたの? ノルの乳首、今日はまだ触ってもいないよね? ……ねえ、どうしちゃったの」
「ふ、ぇ……? っあ、こ、これは……っ!」


 その場所は普通なら身体の一部でしかないのだが、すっかり磨き上げられてしまったノルの乳首は今では性器に近いものだ。恥じらいを覚えたらしい彼は咄嗟にそれを隠そうとするが、──彼の持ち主はそんな事を許してはいない。


「……? なにしてるの? 僕、そこを隠していいなんて、言ってないよね?」
「え、あ……っ! も、申し訳、あり、っ……!」
「駄目でしょ? ノル。僕に隠し事なんかしちゃ……。ちゃんと全部、ぜーんぶ見せてよね」
「っあ……!?」


 慌てて謝罪しようと顔を上げたノルは、とても楽しげに笑うディレインの姿を一瞬だけ見た。しかし瞬く間に身体の形を変えたアーテルに両手を引かれ、その視界は机の裏側だけを映す羽目になる。机の下で薄く広がっていたアーテルがクッションとなり頭を強打するような事にはならずに済んだが、下半身は先程までと同じ軽く開いた正座で固定され、上半身は仰け反らされているこの姿勢はノルの恥ずかしいところを余す事なく主人たる少年に見せつけていた。


「あはは! すごい、ノルの身体、すっごくやらしいね! ねえ、どんな感じなの!?」
「っくぅ、……ん、っ……!」
「年下相手に跪いて縋り付いて、触られてもない乳首まで、そんなに美味しそうにしちゃってさあ……!」
「う、うううー……!」


 ディレインは哄笑しながら靴を脱ぎ捨て、ノルの身体を素足の先で辿る。逸らされた喉を軽く押し、そこから下へと爪先を滑らせ少し柔らかい胸元をまさぐる。食生活が改善され少しだけ肉の付いて柔らかくなった肌が大変に彼好みだ。美味しそうに熟した乳首を親指の爪で弾いて虐めてやると大袈裟に身体を跳ねさせる様子がまた楽しくて堪らない。そうして更に下へと進み、薄い腹の弾力を楽しみながら、そこへ至る。


「──えいっ♡」
「っ……、!? ゃ、あぅっ……♡」


  自分自身の咥内を再現したものに緩く責められて熱を持ったペニスをきゅう、と軽く圧迫される。そんな初めての衝撃に身を震わせたノルは、暗い視界の中なにが起きたのかも分からずに果ててみせた。


「あ、は……かわいい、可愛いね……!」
「ぅ、う……っ? あ、……」


 感極まったようなディレインの声を聞きながら、可愛い奴隷は目を白黒させる。自分が足で弄られ絶頂してしまったという事を彼は理解できているのだろうか。



「なんか、楽しいなあ、これ……! ね、これからは僕が書類仕事する時、来てって言ったらすぐここに来てね……!? ノルと遊びながら仕事するの、好き……!」
「……♡ 、っ……! ♡」


 再びノルのペニスを足で擦り上げながらディレインは命じる。彼は一見清廉に見える青年が机の下に押し込められて自らの白濁やアーテルの粘液に塗れ、そして自分の体液で口元を汚しているという図に殊の外興奮していた。
 気がつけばアーテルも身体を伸ばしてノルの乳首をふにふにと突いており、そのたびに上がる嬌声に負けじとディレインも責めを増す。


 こうしてディレインの仕事はいつもより早く終わり、増えた余暇でノルはとてもとても、可愛がられた。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

2018.11.27 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

解除
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

乙女ゲームの正しい進め方

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:263

異世界ライフは山あり谷あり

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,385pt お気に入り:1,552

婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,435pt お気に入り:4,186

能力1のテイマー、加護を三つも授かっていました。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:11,006pt お気に入り:2,217

イアン・ラッセルは婚約破棄したい

BL / 連載中 24h.ポイント:41,216pt お気に入り:1,304

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,265pt お気に入り:33

犬用オ●ホ工場~兄アナル凌辱雌穴化計画~

BL / 完結 24h.ポイント:461pt お気に入り:70

【R18】扇情の告白① 堕ちた人妻(改訂版)

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:205pt お気に入り:55

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。