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第3章 ダンジョン嫌いニキ、英雄になる
第37話 攻略法
「あ、あなた、どうして……!?」
背後でルクシアが言った。
俺は振り向かず、短剣でボスの巨腕を押し止める。
しかし、三メートル級の化け物の腕力だ。
まともに受け止め続けられるものじゃない。
「説明は後だ! さっさと下がれ!」
「っ……!」
首から上を少しだけ横に向け、ルクシアに向かって叫ぶ。
すると次の瞬間、軽い振動が背後で弾けた。
恐らく、ルクシアが地を蹴って後方へ下がったのだろう。
よし、ボスの射程範囲からは外れたか。
安堵したのもつかの間、ボスが動いて鈍い金属音が鳴る。
俺の止めている腕とは別の腕で、横薙ぎの攻撃が繰り出される。
空気が裂ける音。
視界いっぱいに巨大な拳が迫る。
やはり、速い。
このダンジョンに出てくる魔物はどれも強かったが、流石にボスなだけあって格が違う。
だが――
「――うおおおっ!」
俺は咆哮を発しながら、押し止めていた巨腕を全力で跳ね上げた。
そのまま上方向への勢いを使って、俺は身体を宙に浮かせる。
そして横から叩き込まれる拳の上へ飛び込んだ。
――ギャリッ!
ボスの黒い手甲を短剣がかすめ、火花が散る。
俺は巨大な拳の上を転がるように滑り、衝撃を受け流した。
巨腕は空気を切り裂きつつ、唸りを上げて通り過ぎる。
俺はくるくると回転しながら着地。
間髪入れず、もう一度強く大地を蹴って跳び上がる。
狙うのは敵の鎧の中心部、分厚い胸の装甲。
跳躍の勢いをそのまま拳へ乗せ、思いきり叩き込む。
――バキィンッ!
乾いた破砕音が洞窟に響いた。
巨体がぐらりと揺れる。
ボスがのけぞり、重い足取りで数歩後退した。
その胸元の装甲には、蜘蛛の巣のようなヒビが走っている。
「や、奴の身体にダメージが!?」
少し離れた所から、槍を持った男が上ずった声を出した。
「す、凄ぇ……何者だよ……」
次いで、大柄な男の呆然とした声。
俺は彼らの言葉を聞いて、即座に怒鳴る。
「――気を抜くな!」
視線はボスから外さぬまま。
「奴はまだ底知れない。そう何度も守ってやれるわけじゃないぞ!」
ヒビの入った装甲を気にする様子もなく、ボスはゆっくりと動き出す。
この程度で怯む相手ではない。当然だ。
俺は内心で舌打ちをしながら、言葉を続けた。
「お前たちも世界の代表だと言うなら、最後まで気張ってみせろ!」
厳しい言い方だが、事実だ。
さっきの横薙ぎの一撃。
咄嗟に身体を回転させて躱したが、完全に威力を流せたわけじゃない。
その証拠に、左腕全体がじんじんと痛む。
目の前の怪物は、これまで戦ってきた魔物とは格が違う。
純粋な近接格闘で、そう何度も上回れる相手ではなかった。
いつ攻撃が来ても対応できるようにボスの姿を注視しつつ、俺は床を蹴ってバックステップ。
後方にいたルクシアのもとへ向かう。
「まだやれるか?」
短く聞く。
するとルクシアは腰へ手を当て、ぐっと胸を張った。
汗と埃で乱れた金髪をかき上げ、いつもの尊大な笑みを浮かべる。
「当然ですわ!」
言い切る声には、わずかな震えすらもない。
「伊達に幼少期からダンジョンに潜ってませんわよ!」
「……はは、頼もしいな」
その言葉に、俺は控えめに笑った。
この状況でそれを言えるなら、まだ大丈夫だ。
ルクシアはふんすと鼻から息を吐き、目を細めた。
「ところで、さっき私と奴との間に割り込んだのは、貴方の魔法かしら?」
「そうだ」
俺は頷き、簡潔に答える。
「時間を止められる」
「じっ、時間をですって……!?」
ルクシアの声が跳ね上がる。
少し離れた場所から、息を呑む気配が二つ聞こえた。
槍の男と大柄の男のものだろう。
大げさな反応に、俺は肩をすくめて「三秒だけだぞ」と付け加えた。
「それでもあり得ませんわよ……何てバカげた能力ですの……?」
ルクシアは呆然と俺を見つめ、ぽつりと呟いた。
俺は首を横に振り、親指でボスを指す。
「そんなことより、奴の倒し方について作戦を――」
言いかけたところで、鈍い金属音が大きく鳴り響いた。
ボスの動きが激しくなる。
「ゆっくり紅茶でも飲みながら……とはいきませんわね」
「戦いながら話すぞ。ついてこれるか?」
つい挑発めいた言い方になった。
案の定、ルクシアの眉がぴくりと跳ねる。
「なめないでくださる? ここからが、私の本領発揮ですわ!」
炎の羽が彼女の背後で強く燃え盛り始めた。
確かな闘志が、凛とした表情に滲む。
「期待してるぞ、天城ルクシア!」
ボスがこちらへ向かって一直線に突進してくる。
俺とルクシアは示し合わせたように左右に別れた。
弧を描くように展開し、ボスを挟んで向かい合う。
挟撃ができる位置取りだ。
これなら、激しいボスの攻撃も分散される。
「っ……ルクシア! 気づいたか!?」
叫びながら踏み込み、俺は敵の脇腹へ拳を叩き込む。
岩を殴ったような、鈍い手応えが骨まで響いた。
ほぼ同時に、反対側から炎が爆ぜる。
「ええ、傷が消えてますわ!」
ルクシアの声。
彼女の言う通り、先ほど俺の攻撃によって生まれた、胸部の装甲の傷がきれいさっぱり無くなっていた。
「私たちの攻撃は、傷一つ付けられていないと思ってましたの!」
ルクシアが炎の翼をはためかせながら叫ぶ。
それに気を取られてボスがこちらに背を向けた。
その隙に俺は二本の短剣で、敵の背中に高速の斬撃を入れる。
ボスは少しだけ動きを鈍らせた。
「ですが、違ったようですわね! こいつは、ダメージを与えてもすぐに回復してしまうんですわ!」
「そういうことらしいな!」
ルクシアの推測に俺も同意する。
このボスの身体は、破壊自体はできる。
しかし驚異的な速度の再生能力を持っているために、ルクシアたちが今まで与えたダメージも、視認する前に回復していたんだろう。
……ならば。
「やることは一つだ!」
俺は敵の攻撃を躱しながら言った。
振り抜かれる拳の下へ滑り込む。
その間にドカンと大きな爆音。
ルクシアもしっかりと攻め手を重ねているらしい。
「何か、策があるんですのね?」
「ああ! 今から俺が一人でこいつを引き付ける!」
言いながら、俺はボスの股下から背後へ回り込んだ。
背中側にいたルクシアと合流する。
「お前たちはその間に魔力を貯めろ。俺が合図をしたら、ありったけの力で胸に攻撃するんだ」
「そんな……無謀ですわ!」
ルクシアが目を見開く。
「『時を止める魔法』を使って、貴方が攻撃した方がいいんじゃありませんの!?」
「残念だが、俺の魔法は残り一回だ。万が一のために取っておきたい」
「っ……」
『断絶の刻』の発動には、多大な魔力を消費する。
常人より遥かに保有魔力量の多い俺でも、一日に発動できるのは三回が限度だ。
普通に戦って勝てるのであれば、それに越したことは無い。
何か想定外のことが起こった時のために、温存しておきたいからだ。
俺の答えを聞いたルクシアは、ふっと息を吐いた。
「一人で大丈夫ですの、とは聞きませんわよ」
「ああ、任せておいてくれ!」
ルクシアは頷き、炎の羽を大きく広げた。
「これが終わったら、私が食事をご馳走して差し上げますわ!」
突拍子もない提案に、俺は思わず笑って返す。
「そりゃ楽しみだ。フレンチのコースか?」
ルクシアは一瞬だけ間を置き、にっと口角を上げた。
「――パンの耳ラスクですわ!」
言うなり、彼女は大きく後方へ飛んだ。
炎の羽が空気を裂き、そのまま距離を取っていく。
ボスが追おうと腕を振り上げたが、その手首に俺は短剣を叩き込む。
ギンッ、と金属音。
「お前の相手はこっちだ!」
奴の視線が俺に向いた。
巨体がこちらに向き直り、拳を持ち上げる。
いい。それでいい。
時間を稼ぐ。
そして隙を作る。
最後に、全力の一撃を叩き込む。
それがこの化け物を倒すための、たった一つの冴えた攻略法だ。
背後でルクシアが言った。
俺は振り向かず、短剣でボスの巨腕を押し止める。
しかし、三メートル級の化け物の腕力だ。
まともに受け止め続けられるものじゃない。
「説明は後だ! さっさと下がれ!」
「っ……!」
首から上を少しだけ横に向け、ルクシアに向かって叫ぶ。
すると次の瞬間、軽い振動が背後で弾けた。
恐らく、ルクシアが地を蹴って後方へ下がったのだろう。
よし、ボスの射程範囲からは外れたか。
安堵したのもつかの間、ボスが動いて鈍い金属音が鳴る。
俺の止めている腕とは別の腕で、横薙ぎの攻撃が繰り出される。
空気が裂ける音。
視界いっぱいに巨大な拳が迫る。
やはり、速い。
このダンジョンに出てくる魔物はどれも強かったが、流石にボスなだけあって格が違う。
だが――
「――うおおおっ!」
俺は咆哮を発しながら、押し止めていた巨腕を全力で跳ね上げた。
そのまま上方向への勢いを使って、俺は身体を宙に浮かせる。
そして横から叩き込まれる拳の上へ飛び込んだ。
――ギャリッ!
ボスの黒い手甲を短剣がかすめ、火花が散る。
俺は巨大な拳の上を転がるように滑り、衝撃を受け流した。
巨腕は空気を切り裂きつつ、唸りを上げて通り過ぎる。
俺はくるくると回転しながら着地。
間髪入れず、もう一度強く大地を蹴って跳び上がる。
狙うのは敵の鎧の中心部、分厚い胸の装甲。
跳躍の勢いをそのまま拳へ乗せ、思いきり叩き込む。
――バキィンッ!
乾いた破砕音が洞窟に響いた。
巨体がぐらりと揺れる。
ボスがのけぞり、重い足取りで数歩後退した。
その胸元の装甲には、蜘蛛の巣のようなヒビが走っている。
「や、奴の身体にダメージが!?」
少し離れた所から、槍を持った男が上ずった声を出した。
「す、凄ぇ……何者だよ……」
次いで、大柄な男の呆然とした声。
俺は彼らの言葉を聞いて、即座に怒鳴る。
「――気を抜くな!」
視線はボスから外さぬまま。
「奴はまだ底知れない。そう何度も守ってやれるわけじゃないぞ!」
ヒビの入った装甲を気にする様子もなく、ボスはゆっくりと動き出す。
この程度で怯む相手ではない。当然だ。
俺は内心で舌打ちをしながら、言葉を続けた。
「お前たちも世界の代表だと言うなら、最後まで気張ってみせろ!」
厳しい言い方だが、事実だ。
さっきの横薙ぎの一撃。
咄嗟に身体を回転させて躱したが、完全に威力を流せたわけじゃない。
その証拠に、左腕全体がじんじんと痛む。
目の前の怪物は、これまで戦ってきた魔物とは格が違う。
純粋な近接格闘で、そう何度も上回れる相手ではなかった。
いつ攻撃が来ても対応できるようにボスの姿を注視しつつ、俺は床を蹴ってバックステップ。
後方にいたルクシアのもとへ向かう。
「まだやれるか?」
短く聞く。
するとルクシアは腰へ手を当て、ぐっと胸を張った。
汗と埃で乱れた金髪をかき上げ、いつもの尊大な笑みを浮かべる。
「当然ですわ!」
言い切る声には、わずかな震えすらもない。
「伊達に幼少期からダンジョンに潜ってませんわよ!」
「……はは、頼もしいな」
その言葉に、俺は控えめに笑った。
この状況でそれを言えるなら、まだ大丈夫だ。
ルクシアはふんすと鼻から息を吐き、目を細めた。
「ところで、さっき私と奴との間に割り込んだのは、貴方の魔法かしら?」
「そうだ」
俺は頷き、簡潔に答える。
「時間を止められる」
「じっ、時間をですって……!?」
ルクシアの声が跳ね上がる。
少し離れた場所から、息を呑む気配が二つ聞こえた。
槍の男と大柄の男のものだろう。
大げさな反応に、俺は肩をすくめて「三秒だけだぞ」と付け加えた。
「それでもあり得ませんわよ……何てバカげた能力ですの……?」
ルクシアは呆然と俺を見つめ、ぽつりと呟いた。
俺は首を横に振り、親指でボスを指す。
「そんなことより、奴の倒し方について作戦を――」
言いかけたところで、鈍い金属音が大きく鳴り響いた。
ボスの動きが激しくなる。
「ゆっくり紅茶でも飲みながら……とはいきませんわね」
「戦いながら話すぞ。ついてこれるか?」
つい挑発めいた言い方になった。
案の定、ルクシアの眉がぴくりと跳ねる。
「なめないでくださる? ここからが、私の本領発揮ですわ!」
炎の羽が彼女の背後で強く燃え盛り始めた。
確かな闘志が、凛とした表情に滲む。
「期待してるぞ、天城ルクシア!」
ボスがこちらへ向かって一直線に突進してくる。
俺とルクシアは示し合わせたように左右に別れた。
弧を描くように展開し、ボスを挟んで向かい合う。
挟撃ができる位置取りだ。
これなら、激しいボスの攻撃も分散される。
「っ……ルクシア! 気づいたか!?」
叫びながら踏み込み、俺は敵の脇腹へ拳を叩き込む。
岩を殴ったような、鈍い手応えが骨まで響いた。
ほぼ同時に、反対側から炎が爆ぜる。
「ええ、傷が消えてますわ!」
ルクシアの声。
彼女の言う通り、先ほど俺の攻撃によって生まれた、胸部の装甲の傷がきれいさっぱり無くなっていた。
「私たちの攻撃は、傷一つ付けられていないと思ってましたの!」
ルクシアが炎の翼をはためかせながら叫ぶ。
それに気を取られてボスがこちらに背を向けた。
その隙に俺は二本の短剣で、敵の背中に高速の斬撃を入れる。
ボスは少しだけ動きを鈍らせた。
「ですが、違ったようですわね! こいつは、ダメージを与えてもすぐに回復してしまうんですわ!」
「そういうことらしいな!」
ルクシアの推測に俺も同意する。
このボスの身体は、破壊自体はできる。
しかし驚異的な速度の再生能力を持っているために、ルクシアたちが今まで与えたダメージも、視認する前に回復していたんだろう。
……ならば。
「やることは一つだ!」
俺は敵の攻撃を躱しながら言った。
振り抜かれる拳の下へ滑り込む。
その間にドカンと大きな爆音。
ルクシアもしっかりと攻め手を重ねているらしい。
「何か、策があるんですのね?」
「ああ! 今から俺が一人でこいつを引き付ける!」
言いながら、俺はボスの股下から背後へ回り込んだ。
背中側にいたルクシアと合流する。
「お前たちはその間に魔力を貯めろ。俺が合図をしたら、ありったけの力で胸に攻撃するんだ」
「そんな……無謀ですわ!」
ルクシアが目を見開く。
「『時を止める魔法』を使って、貴方が攻撃した方がいいんじゃありませんの!?」
「残念だが、俺の魔法は残り一回だ。万が一のために取っておきたい」
「っ……」
『断絶の刻』の発動には、多大な魔力を消費する。
常人より遥かに保有魔力量の多い俺でも、一日に発動できるのは三回が限度だ。
普通に戦って勝てるのであれば、それに越したことは無い。
何か想定外のことが起こった時のために、温存しておきたいからだ。
俺の答えを聞いたルクシアは、ふっと息を吐いた。
「一人で大丈夫ですの、とは聞きませんわよ」
「ああ、任せておいてくれ!」
ルクシアは頷き、炎の羽を大きく広げた。
「これが終わったら、私が食事をご馳走して差し上げますわ!」
突拍子もない提案に、俺は思わず笑って返す。
「そりゃ楽しみだ。フレンチのコースか?」
ルクシアは一瞬だけ間を置き、にっと口角を上げた。
「――パンの耳ラスクですわ!」
言うなり、彼女は大きく後方へ飛んだ。
炎の羽が空気を裂き、そのまま距離を取っていく。
ボスが追おうと腕を振り上げたが、その手首に俺は短剣を叩き込む。
ギンッ、と金属音。
「お前の相手はこっちだ!」
奴の視線が俺に向いた。
巨体がこちらに向き直り、拳を持ち上げる。
いい。それでいい。
時間を稼ぐ。
そして隙を作る。
最後に、全力の一撃を叩き込む。
それがこの化け物を倒すための、たった一つの冴えた攻略法だ。
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