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3章 王都救出絵巻
第93話 逆境
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「何者かは知らないが、この者に兵を向ければ、いたずらに被害が増えて、婚約者は私有地より持ち出されるな。
いいか、走れる者はこの男を無視して婚約者の方を追え。裏庭の警備兵と連携を取って囲み、絶対に逃がすなっ!!
負傷兵は屋敷へと戻り、回復と護衛に当たれ」
上空からメイスの指示が飛ぶ。よし、何とか二人の足止めはできそうかな。問題はこれからだが。
「お前も行けよ、メイス。この婚約はお前にとっても重要なんだろ?
こいつをぶっ殺すのは、俺一人で十分だ。」
「熱くなるな、ラディッツオ。これほどの使い手で、ここまでの立ち回りを見ても単なる実行犯ではなく、首謀者の一人かもしれん。
殺してはならん、確実に捕らえるぞ」
メイスならこうくるかなとは思ってたよ。
ララを追いたいが、まずは目の前の障害を確実に潰し、俺を捕らえて吐かせれば最悪、ララを逃しても、その後に取り返す算段もつくという考え方だ。
また、逃げてる方は数で取り囲むというのも定策だろう。が、今回は例外すぎる。
ユキには移動速度上昇のスキルブックを俺よりも多く、七冊も使っている。
暗殺稼業でも必要なものなので、若いが既にLv1だったので今はLv8だ。例えAランク冒険者の斥候や槍使いでも、まず追いつけまい。
裏庭を抜けさえすれれば、変装スキルでどうとでもなるしな。
二人を釘付けにするためにも追い打ちをかける。
「噂のお二人に相手をしてもらえるとは光栄だ。
そんな二人に朗報をやる、この作戦の首謀者のリーダーは俺だよ」
これでさらに手心を加えてもらえるかな?
まあ、こっちも二人とも殺す気がないからイーブンだけど。
メイスの指示を受け、移動を開始する近衛兵達。
流石はヴァイアージ家の私兵だ。今の攻撃魔法を食らった奴らも普通に動いて、負傷して動けない見張り兵を回収しながら屋敷へと戻っていく。
範囲魔法は便利さはとんでもないけど、殺傷力ならやはり近接武器職のジョブスキルに比べたら落ちるのもあるけど。
さて、これで思い描いた舞台は整った。
メイスは未だ上空だが、粘って攻撃魔法も凌いでいればいつかはMP枯渇で地上に降りてくるだろう。そのときがこちらの勝機だが、問題はそれまで粘れるかだ。
このラディッツオという男の戦闘力は噂以上だ。
それなりに距離があって、大盾で詠唱も隠していたのに、初撃を気づいたのもこいつだしな。
「リーダー自ら、命懸けの足止めか。それともこれもハッタリか? まあ、いい。
取り敢えず、その亀の甲羅を剥がさせてもらうとするかっ」
ラディッツオが再び仕掛けてくる。
高速の近接戦闘中ではメイスの援護も難しいが、そんなもの、はじめから不要だとばかりに攻めたてる。
殺しは止められたのでジョブスキルは使ってこないが、それでも尋常ならざる槍さばきだ。
剛力、剛体、盾術を総動員して、その場で耐える。距離を取ろうものなら、すぐさまメイスの攻撃魔法が上空から飛んでくるだろう。
しかし、高いステータスとはいえ、盾術lv8でここまで余裕がないとは……… 。
ラディッツオの槍術も相当に高いぞ、これは。
こいつはあのダンジョンから帰還した男だ。オリハルコンの槍以外でも、スキルブックも手にして、強化されている分もあるということか。
それに左腕の義手も気にかかる。今はまだ攻撃に不自然なところはないが、当然ただの義手ってことはないだろう。
幸いなのはメイスが見に回っていることか。
俺の攻撃魔法を警戒しているのもあるだろうが、それさえなければ負けることはないというラディッツオの戦闘力に、全幅の信頼があるのが窺える。
むしろ俺を殺さないように、その瞬間に介入するための見かもしれん。
一番の理由は獲物を横取りなどさせんとばかりに距離を取らずに猛攻を続ける、ラディッツオが原因だがな。
それとこちらの口振りから、何かしらの切り札があると読んで、警戒しているって所かな。
切り札があるのは正解。正攻法だけで、この二人を上回れるとは思っていない。
しかし、今は状況が揃っていない。まずはこの槍を耐えきらなくては。
逆境の中、チャンスを待つ。
いいか、走れる者はこの男を無視して婚約者の方を追え。裏庭の警備兵と連携を取って囲み、絶対に逃がすなっ!!
負傷兵は屋敷へと戻り、回復と護衛に当たれ」
上空からメイスの指示が飛ぶ。よし、何とか二人の足止めはできそうかな。問題はこれからだが。
「お前も行けよ、メイス。この婚約はお前にとっても重要なんだろ?
こいつをぶっ殺すのは、俺一人で十分だ。」
「熱くなるな、ラディッツオ。これほどの使い手で、ここまでの立ち回りを見ても単なる実行犯ではなく、首謀者の一人かもしれん。
殺してはならん、確実に捕らえるぞ」
メイスならこうくるかなとは思ってたよ。
ララを追いたいが、まずは目の前の障害を確実に潰し、俺を捕らえて吐かせれば最悪、ララを逃しても、その後に取り返す算段もつくという考え方だ。
また、逃げてる方は数で取り囲むというのも定策だろう。が、今回は例外すぎる。
ユキには移動速度上昇のスキルブックを俺よりも多く、七冊も使っている。
暗殺稼業でも必要なものなので、若いが既にLv1だったので今はLv8だ。例えAランク冒険者の斥候や槍使いでも、まず追いつけまい。
裏庭を抜けさえすれれば、変装スキルでどうとでもなるしな。
二人を釘付けにするためにも追い打ちをかける。
「噂のお二人に相手をしてもらえるとは光栄だ。
そんな二人に朗報をやる、この作戦の首謀者のリーダーは俺だよ」
これでさらに手心を加えてもらえるかな?
まあ、こっちも二人とも殺す気がないからイーブンだけど。
メイスの指示を受け、移動を開始する近衛兵達。
流石はヴァイアージ家の私兵だ。今の攻撃魔法を食らった奴らも普通に動いて、負傷して動けない見張り兵を回収しながら屋敷へと戻っていく。
範囲魔法は便利さはとんでもないけど、殺傷力ならやはり近接武器職のジョブスキルに比べたら落ちるのもあるけど。
さて、これで思い描いた舞台は整った。
メイスは未だ上空だが、粘って攻撃魔法も凌いでいればいつかはMP枯渇で地上に降りてくるだろう。そのときがこちらの勝機だが、問題はそれまで粘れるかだ。
このラディッツオという男の戦闘力は噂以上だ。
それなりに距離があって、大盾で詠唱も隠していたのに、初撃を気づいたのもこいつだしな。
「リーダー自ら、命懸けの足止めか。それともこれもハッタリか? まあ、いい。
取り敢えず、その亀の甲羅を剥がさせてもらうとするかっ」
ラディッツオが再び仕掛けてくる。
高速の近接戦闘中ではメイスの援護も難しいが、そんなもの、はじめから不要だとばかりに攻めたてる。
殺しは止められたのでジョブスキルは使ってこないが、それでも尋常ならざる槍さばきだ。
剛力、剛体、盾術を総動員して、その場で耐える。距離を取ろうものなら、すぐさまメイスの攻撃魔法が上空から飛んでくるだろう。
しかし、高いステータスとはいえ、盾術lv8でここまで余裕がないとは……… 。
ラディッツオの槍術も相当に高いぞ、これは。
こいつはあのダンジョンから帰還した男だ。オリハルコンの槍以外でも、スキルブックも手にして、強化されている分もあるということか。
それに左腕の義手も気にかかる。今はまだ攻撃に不自然なところはないが、当然ただの義手ってことはないだろう。
幸いなのはメイスが見に回っていることか。
俺の攻撃魔法を警戒しているのもあるだろうが、それさえなければ負けることはないというラディッツオの戦闘力に、全幅の信頼があるのが窺える。
むしろ俺を殺さないように、その瞬間に介入するための見かもしれん。
一番の理由は獲物を横取りなどさせんとばかりに距離を取らずに猛攻を続ける、ラディッツオが原因だがな。
それとこちらの口振りから、何かしらの切り札があると読んで、警戒しているって所かな。
切り札があるのは正解。正攻法だけで、この二人を上回れるとは思っていない。
しかし、今は状況が揃っていない。まずはこの槍を耐えきらなくては。
逆境の中、チャンスを待つ。
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