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3章 王都救出絵巻
第95話 最終局面
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「やる気がねえかと思ったら、何だ今の技は?
面白えじゃねーか。こりゃあ、是が非でもその盾を引っ剥がしてやろうか」
再度、ラディッツオが突っ込んでくる。今度はさらに下から角度をつけてきた。
楕円形で丸みを帯びている盾ではこの角度が衝撃を逃しづらい。さらに、先程の合気がタイミングを合わせた故と本能的に気づいているのか、直前に軌道を変えてだ。
これでは衝撃を返せない、盾術で打点をなるだけズラシて剛力で粘る。
とっ、今回はこの一撃だけですぐさま離脱するラディッツオ。その瞬間、上空からまたしても攻撃魔法が飛んでくる。
さっきの雷撃は大して効いていないので属性は変えてくる筈だ。
おそらく氷の槍だろう、それならまたこの盾で防いでやるっと思った所に
「水弾」
予想に反して単体水魔法で攻撃してくるメイス。くそっ、さっきの雷魔法への対処を見て、上級魔法への対策を看破して氷魔法より質量があり、液体で防ぎづらい水魔法できやがった。
盾で防いだとして、例えダメージが少なくても大きな隙ができればラディッツオの追撃がきてしまう。
しかたない、奥の手の一つだったが、悠長なことはいってられないな。
「防御魔法」
僧侶のジョブレベル3で取得するスキルであるプロテクトを展開して防ぐ。
瞬間的にしか張れないし、魔力消費もそれなりだが発動が早く、使い所が大切なジョブスキルだからこそ、ここぞというときまで取っておきたかったが使わされてしまったか。
「なにぃっ、魔法使いだけでなく僧侶のジョブスキルだとぅ。赤の本を使用しているということか。本当に何者だ、貴様」
驚きはメイスのもの。ラディッツオもプロテクトが消える十秒ほど、穂先はそのままに驚き、立ち止まっていた。
その間に思案を終わらせたメイスが遂にラディッツオの隣へと降り立つ。
「アレをやるぞ、ラディッツオ。これ以上時間はかけられんし、この者は只者ではない。
盾もプロテクトもあれば上手くいけば瀕死で済むだろう。
万が一にも我々に敗北は許されんのだ」
「マジかよっ、俺のジョブスキルだけで十分貫ける自信はあるが、まああのクソミスリルゴーレムとの再戦の前に、実戦で試せるのは嬉しいねぇ。
おい兄ちゃん、死ぬなよ」
不吉な言葉を残し、構え直す最強二人。
何やら仕掛けてくるようだが、こちらとしても状況は整った。
それもメイスとラディッツオの位置が同方向なのは僥倖だ。
こちらも次で決めてみせる。
口火を切るのはメイスの杖だ。
その先端には魔力を収斂させ、威力を高める効果のある極大のミスリルがついている。
チクショー、俺も王都にきてミスリルの魔法杖を手に入れたが、金貨100枚ほどもしたのに俺の手元のミスリルの3倍はデカイぞ、あれ。
おそらくはラディッツオが破壊し、持ち帰ったというミスリルゴーレムの腕から作ったんだろう。
普通のダンジョンの魔物は倒したり、一部を切り取ってもダンジョンに吸収されるのだが、やはりあの巨大ゴーレム達は他の魔物とは違うらしい。
そして残りの腕はというと、その戦闘で同じく左腕を失くしたラディッツオの強い要望で、王都中の技術者を結集して、今はラディッツオの義手となっていた。
ラディッツオもまたメイスに続き、次の一撃に備えおそらくジョブスキルの準備に入った。左腕の義手が妖しく光る。
―こうして、この戦いも最終局面を迎えていた。
面白えじゃねーか。こりゃあ、是が非でもその盾を引っ剥がしてやろうか」
再度、ラディッツオが突っ込んでくる。今度はさらに下から角度をつけてきた。
楕円形で丸みを帯びている盾ではこの角度が衝撃を逃しづらい。さらに、先程の合気がタイミングを合わせた故と本能的に気づいているのか、直前に軌道を変えてだ。
これでは衝撃を返せない、盾術で打点をなるだけズラシて剛力で粘る。
とっ、今回はこの一撃だけですぐさま離脱するラディッツオ。その瞬間、上空からまたしても攻撃魔法が飛んでくる。
さっきの雷撃は大して効いていないので属性は変えてくる筈だ。
おそらく氷の槍だろう、それならまたこの盾で防いでやるっと思った所に
「水弾」
予想に反して単体水魔法で攻撃してくるメイス。くそっ、さっきの雷魔法への対処を見て、上級魔法への対策を看破して氷魔法より質量があり、液体で防ぎづらい水魔法できやがった。
盾で防いだとして、例えダメージが少なくても大きな隙ができればラディッツオの追撃がきてしまう。
しかたない、奥の手の一つだったが、悠長なことはいってられないな。
「防御魔法」
僧侶のジョブレベル3で取得するスキルであるプロテクトを展開して防ぐ。
瞬間的にしか張れないし、魔力消費もそれなりだが発動が早く、使い所が大切なジョブスキルだからこそ、ここぞというときまで取っておきたかったが使わされてしまったか。
「なにぃっ、魔法使いだけでなく僧侶のジョブスキルだとぅ。赤の本を使用しているということか。本当に何者だ、貴様」
驚きはメイスのもの。ラディッツオもプロテクトが消える十秒ほど、穂先はそのままに驚き、立ち止まっていた。
その間に思案を終わらせたメイスが遂にラディッツオの隣へと降り立つ。
「アレをやるぞ、ラディッツオ。これ以上時間はかけられんし、この者は只者ではない。
盾もプロテクトもあれば上手くいけば瀕死で済むだろう。
万が一にも我々に敗北は許されんのだ」
「マジかよっ、俺のジョブスキルだけで十分貫ける自信はあるが、まああのクソミスリルゴーレムとの再戦の前に、実戦で試せるのは嬉しいねぇ。
おい兄ちゃん、死ぬなよ」
不吉な言葉を残し、構え直す最強二人。
何やら仕掛けてくるようだが、こちらとしても状況は整った。
それもメイスとラディッツオの位置が同方向なのは僥倖だ。
こちらも次で決めてみせる。
口火を切るのはメイスの杖だ。
その先端には魔力を収斂させ、威力を高める効果のある極大のミスリルがついている。
チクショー、俺も王都にきてミスリルの魔法杖を手に入れたが、金貨100枚ほどもしたのに俺の手元のミスリルの3倍はデカイぞ、あれ。
おそらくはラディッツオが破壊し、持ち帰ったというミスリルゴーレムの腕から作ったんだろう。
普通のダンジョンの魔物は倒したり、一部を切り取ってもダンジョンに吸収されるのだが、やはりあの巨大ゴーレム達は他の魔物とは違うらしい。
そして残りの腕はというと、その戦闘で同じく左腕を失くしたラディッツオの強い要望で、王都中の技術者を結集して、今はラディッツオの義手となっていた。
ラディッツオもまたメイスに続き、次の一撃に備えおそらくジョブスキルの準備に入った。左腕の義手が妖しく光る。
―こうして、この戦いも最終局面を迎えていた。
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