無口な彼が獣になったら、溺愛モードで困ってます

ずー子

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第1章

3、★攻めくん視点

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 すやすや寝息を立てて眠るリアムを、ジェラルドはじっと見つめていた。色素の薄い髪が月の光でキラキラ光る。起きてるとくるくる騒がしく変わる表情も、寝てるとどこかあどけなく感じる。
「まったく、人の気も知らないで……」
 ジェラルドはイライラしていた。この、無邪気で、人を疑うことを知らない、貴族出身のリアムの無防備すぎる行動に。
「ん……」
 リアムはもぞりと寝返りを打つと、そのままジェラルドの腰に抱きついてくる。その体温が心地よかったのか、心地よさそうに微笑む。
 ジェラルドはイライラしていた。甘やかされて育てられたせいで、人を疑うことを知らない。相手がどんな気持ちでいるかなんて、その薄汚れた感情まで、理解できない。
 いっそ早く誰かのモノになってくれたら良かった。そうすれば、諦めもつく。そうすれば、故郷の家族や恋人を、裏切らずに済む。
 そう思っていたのに、リアムはあっさりと婚約を破談にした。
『好きな人がいるんだ』
 ある夜のことだった。月の綺麗な夜だった。ジェラルドは、リアムの一言に言葉をなくした。
『想い人がいるのに、貴方と婚約することは、不誠実だと思うからって断っちゃった』
 もうめちゃくちゃ怒られたよ~と困ったように微笑まれ、ジェラルドはふつふつと怒りが込み上げてきた。じりじりと焼け焦げるような感情。誰を想っている?こいつにこんな顔をさせるのは、一体どんなやつなんだ。
『……どんなやつなんだ』
 ジェラルドはついそう口にしていた。するとリアムはきょとんとした顔をすると、「えっとね……」と話し始める。
『優しくて、頼りになって、かっこよくて……でもちょっと意地悪なとこもあるけど……すごく素敵な人だよ』
 そう言って笑うリアムを見てジェラルドは胸が締め付けられるような思いだった。そして思ったのだ、この笑顔を向けられる相手の存在に、自分は憎悪していると。
『でももう振られちゃってるんだ。その人には好きな人がいるから』
 悲しそうに笑うリアムを見てジェラルドは叫びたかった。強い殺意が芽生える。
『……お前の人生なのだから、好きにすればいい』
 そう言うのが精一杯だった。拳を握りしめ、なんとか感情を押し殺す。
『えへへ、ありがとうジェラルド』
 ジェラルドはなぜか酷く自分が傷ついていることに気がつく。胸がズキズキし、歯を噛み締める。
 そんな風に言っているくせに、リアムは一向に本命に何かしたわけでもないらしく、浮いた話は聞かないでいた。そのくせ、いきなり昨晩の「呪いを解くために僕とセックスしてください」だなんて、ふざけているのにも程がある。
「俺が…どんな思いでいるか、全く分からないんだな…」
「ん…」
 ムラムラとイライラが湧き上がる。ジェラルドはそっとリアムの頬を撫ぜるとそのまま唇を重ねた。
「ん……んぅ……?」
 寝ぼけているせいか、抵抗はない。柔らかい唇を堪能するように何度も口付ける。そしてゆっくりと舌を差し入れた。
「……ふ……ぁ……」
 くちゅりと唾液の絡まる音が響く。舌同士を擦り合わせるようにすると、甘い吐息が漏れた。
リアムは一度寝てしまうと中々目覚めない。ましてや、アルコールを摂取しているとなると尚更だ。
「ん……んあ…♡」
 服を脱がせて前戯の魔法をかける。闇魔法の1つも軽くかけておく。
「…お前は眠っているのだから、恥も外聞も捨てて快楽に身を委ねろ」
 そう耳元で囁くと、リアムは小さく喘いだ。そしてそのままゆっくりと挿入していく。「ん……あ……」と甘い声を上げる姿に、ジェラルドはぞくりと背筋が粟立った。
「はぁ……ん……♡」
 気持ちいいらしく身を捩らせ媚始める姿に、ジェラルドの暗い独占欲が満たされていく。
「もっと俺に溺れろ……リアム……」
 腰を動かし始めると、応えるように中がきゅっきゅっと締め付ける。その心地良さに思わずため息が出るほど気持ちが良かった。
「は……ぁ……♡あぅ……♡」
 奥を突く度甘い声を上げる姿に興奮する。ジェラルドはゆっくりと引き抜くと一気に奥まで突き上げる。
「んあぁッ♡イイ…♡いいよぉ…♡」
 眠ったままのリアムの口からは、甘い声ばかりが紡がれる。
「いい子だ…リアム…」
「はぅう…♡」
「お前はコレが大好きだ…俺に犯され、貫かれることが……なぁ?」
 ジェラルド腰を打ち付ける。その激しさにリアムは身体を仰け反らせた。
「あ♡あっ♡イイッ♡そこぉ♡」
「ああ……知っているさ……」
「んぁあッ♡もっと突いてぇえ♡」
「……くッ」
 ジェラルドはリアムの腰を掴むと、更に深く挿入し、ぐりぐりと押し付けた。するとリアムはビクビク震えながら達する。同時に中が強く締まり、ジェラルドも最奥に熱を放った。
「ああッ♡あつ、熱いよぉ……♡」
「く……はぁ……」
 全て出し切ると引き抜く。そのままリアムの隣に寝転ぶ。寝顔を見ながら髪を優しく撫でるとその目がゆっくりと開いた。
「ん……?」
「……起きたか?」
 ぼんやりしている様子のリアムを引き寄せ抱きしめる。するとリアムは甘えるように擦り寄ってきた。そしてふにゃりと笑う。
「……まだ酔ってるのか?」
「……ん~?……えへへ♡」
 ジェラルドは自分の特性を開示していない。闇魔法と水魔法と言う2つの属性でそれぞれ特異な魔法を使うことが出来る。今まで考えたことすらなかった欲望が、昨夜のリアムのせいで湧き上がり、無意識に魔力を練り上げていたらしい。
「……俺の目を見ろ、リアム」
「…♡」
 虚ろな目をしたリアムにジェラルドは禁忌の魔法を唱え始める。
「お前は俺とセックスするのが大好きだ…俺に犯され、貫かれることが……なぁ?」
「ん……」
「なら、俺とのセックスが忘れられないようにしてやる。お前が他の男じゃ満足出来ないくらいな」
 ジェラルドはリアムに口付けると、そのまま再びベッドに押し倒した。そして耳元で囁く。
「お前の身体も、心も、全て俺のものだ」
 ***
「ん……ジェラルド……?」
 リアムは目を覚ますと、目の前には美しい顔があった。普段はあげている前髪が降りていて、思わず見惚れてしまう。
「……起きたか?」
「え?あ、うん……」
 まだ頭がぼんやりとする中、ゆっくりと身体を起こす。すると下半身の違和感に気がついた。
(あれ……?なんか……)
 なんだかすごくスッキリしたような気がする。それに身体が軽い気がするのだ。まるで魔法が解けたみたいに。でも一体どうしてだろう?不思議に思っていると、ジェラルドの嫌味な声が聞こえてきた。
「お前、酒はほどほどにしておけ」
「え?あ……うん……」
 リアムは昨夜の記憶を辿った。確か酒場で飲んでいて……それからの記憶が曖昧だ。
「僕、何か変なことしなかった?」
「……別に何も?」
 ジェラルドはそう言うと立ち上がった。そしてそのまま部屋を出て行こうとする背中に声をかける。なんだか少し寂しい気がしたのだ。
「ねぇ、また一緒に飲みに行ってくれる?もう怒ってない?」
「……気が向けばな」
 それだけ言うとジェラルドは部屋を出て行った。残されたリアムは、「ふぅ……」と小さく息を吐くと窓の外を見る。
「夢だったのかな……?でもなんだか……すごく幸せだったような気がするけど……」
 翌朝目が覚めた時には全て忘れていたけれど、それでも不思議と満たされた気持ちにリアムは小さく微笑んだのだった。
***
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