前世の記憶さん。こんにちは。

満月

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不味いお菓子に市場では···

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街に着いてからなんと2日でフェルとライオスと別れた。

シンジュ達が冒険者ギルドで鉱山ギルド長に説明してからあっという間の出来事だった。
シンジュはフェルとライオスから別れるときに色々言われたが右から左へ受け流した。それよりもドワーフ共和国の国王陛下の決断の早さに驚いた。
それだけ違法鉱山はドワーフ共和国にとって危険視するものであり、消し去らなければならない存在ということだということを理解した。

ただシンジュは鉱山ギルド長が帰り際に「俺の鉱山が他の男に汚される····」という声を聞いていたため物凄く思念も含まれているのではないとか考えていた。



ーーーーーーーー

その頃、国王陛下は無茶な発言をする鉱山ギルド長である弟のせいで胃が痛くて薬を多量に服用していた。
本来国王陛下の補佐をする予定だった弟が両親を脅して鉱山ギルド長になってからは、気が休まる時間がない···
毎日胃薬が手放せないが今日は酷すぎる···
鉱山を愛しすぎる弟のせいで鉱山と結婚できる法律を作らされたり···それはもう仕方がない。弟は政略結婚に向いていない、相手方が可哀想だ。それならまだ勝手に鉱山と結婚してくれたほうがマシだ。だが今回は違法鉱山だ···弟が愛する鉱山に被害が出たため好き勝手やるのではないかと心配で胃が痛い。


ーーーーーーーー



今現在何故かシンジュとエメは冒険者ギルドの執務室で美味しくないお菓子を食べていた。



フェルとライオスと別れた後、なぜか冒険者ギルドマスターに呼ばれ、無言でお菓子を出されて執務室に放置されたのだった。


ガリッジャリ ガリッガリッ
「このお菓子まずっ」と噛みながらシンジュが言った。
こんなの食べたら病気になるでしょう。この世界の女性の早死にする死因の1つはお菓子だよね。今食べたクッキーにどれだけ砂糖が使われてるのかな···



「甘いけど、ジャリジャリ?おいしいけどシンジュ様のパンケーキのほうがすき。」とエメは思った。初めて食べるお菓子は砂と似ていてジャリジャリとした歯ざわりに困惑していた。お菓子って砂を甘くしたのかな?僕知らなかった···シンジュ様のお菓子が食べたい···


「ありがとう!こんなジャリジャリばかり食べてたら病気になるから、私が作るからね!??」


「わかった。」これ食べたら病気になるの?こわい。
シンジュ様が言うなら絶対病気になる···僕まだまだ生きたいからこれはお腹空いた時に食べよう。



それから1時間ほど執務室で待っていると、ギルドマスターが疲れた様子で戻ってきた。

「お前らあんまり菓子食ってねぇな?子供は甘い菓子が好きってきいたぞ?」

たしかに好きな者が多いと思う。それにこの菓子はかなり高いと思う···けれど味覚を戻ったシンジュにとってまずいしか思い浮かばない。


すると横に居たエメは「ギ、ギ、マスター?」と突然声を上げた。


「あ?俺はギ・ル・ドマスターだ!!!ルドを抜くな。ギマスターなんて呼ぶな!!!」


「うぅごめんなしゃい」怒鳴られて萎縮してしまった。


「お前は子供だから仕方ねえ。何か言いたいことがあるのか?」


「うん。あのね、、、ギ、ギ、ルドンマスター、このおかし?初めて食べた。ありがとう!ジャリジャリおいしよ。でもシンジュ様のりょうりはもっとおいしいよ。甘いのならパンケーキがいちばんだよ?ふわふわで甘くてすっぱくてしゃいこーーー!!!」と初めは萎縮していたエメだったが、絶対にシンジュ様のお菓子を自慢したかった。こんな物がお菓子だなんて許せなかった。
パンケーキを思い浮かべたら興奮して涎が···お腹すいた。



「ハァ~お前な俺はギルドマスターだって言ったろ?ギルドンなんて弱そうな盗賊みたいだからやめてくれ。それにこの菓子は獣人国で1番人気な物だぞ?王室御用達でなかなか手に入らないのだが、それより旨いものがあるのか?うそだろ?」とギルドマスターが呟いた。
甘い物好きのギルドマスターはわざわざ魔族の冒険者に頼んで買ってきてもっていたのだ。なんと値段はクッキー10枚で金貨10枚だった。



「うん。甘いおかしもごはんもシンジュ様のがいちばんだよ。ほんとうにおいしいよ。」とエメはシンジュの自慢話を止めること無く話し続けていた。



そんな自慢話を聞かされて「ほんとうか?????」とギルドマスターが突然グイグイ迫りながらシンジュに顔を向けた。あまりの剣幕にうん頷くと、「おまえら、フェル達が戻ってくるまで俺の家に住め。」とギルドマスターはシンジュにとって予期せぬ発言をした。


「ギルドマスターになったらデカい家を貰えたんだがな、寝るだけしか使ってない。たまに菓子を作ってくれるならタダで住めるぞ!どうだ???」


「いえ、住む場所は探しますよ!」と即答で答えた。
絶対一緒に住めばコキを使われると思ったからだ。
それにきっと毎日嫌味を言われる···絶対に嫌だ。


「俺の家はオーブンもあるぞ!料理し放題に、材料使い放題でどうだ?それにお前らは問題児だから俺が見張ってなければならねぇ!」


オーブン?という言葉を聞いたシンジュはエメにクッキーを焼きたいと思った。ただな~やっぱり一緒に暮らすのは···シンジュが渋っている様子に「分かった。それならギルドで買い取る品を少し高めに買い取ってやる。どうだ?」


「高めってどのくらい?」


「全部金貨1枚ずつ上乗せする。それでどうだ?」


それならいいかな、嫌味言われても我慢できる。
それにお金は裏切らないからね!!ギルドマスター太っ腹だ。
「分かりました。よろしくお願いいたします。」と答えた。


「んじゃ今日はほとんどの冒険者が出払ってるからもう帰るぞ。市場にでも寄って帰るか??」
と言われてシンジュ達は家に行く前に市場に寄ることになった。

市場に行ったことがなかったシンジュは楽しみで仕方なかった。ギルドマスターとは暮らしたくなかったが、エメと初めての市場にウキウキと心が踊った。


暫く歩くと市場に着いた。市場は前世でいうと大きな商店街のような場所だった。お店がズラリと所狭しと並び肉や魚などから野菜や果物、穀類に調味料まで色んな食材を売っていた。

同じ食材を売っている店が並んでいるが、金額や産地、大きさによって金額が違うようだった。
それに店によって重さで金額を決めているところもあれば、個数や大きさで決めている店もあるようだ。
注意深く観察していると重さで金額を決めている店は身なりが良い客が多い。それに品物自体が高いようだった。しかし他のお店は庶民が買いに来るお店のようでとても安かった。

色んな店を見て回っていると
「なんか欲しいものはあったか?」とギルドマスターから聞かれた。



欲しいものはいっぱいあるけれど、とりあえず
「小麦粉と油がほしい!あとは適当な野菜がと肉がほしい。」と答えた。おすすめのお店を知ってるかな?



「俺は料理しないからあんまり分からないな」とすぐに返事が返ってきた。
うん···何の参考にもならなかった···そのため鑑定魔法を使って調べることにした。


鑑定魔法で小麦に焦点を当てて複数のお店を見てみた。



店A
名前 小麦粉
食用 不可(可)
産地 ドワーフ共和国
備考 保存方法が最悪、、、ネズミに食い荒らされた形跡あり。人間以外は死に至らないが人間が食べると危険性あり。


店B
名前 小麦粉もどき
食用 不可(可)
産地 獣人国
備考 小麦粉に砂と土が混ぜてある。砂と土はどちらも小麦粉と同じ色をしているため美食家以外は気付かない。


店C
名前 小麦粉
食用 可
産地 獣人国
備考 劣化した小麦粉。製粉技術は皆無に等しいため食感も味も最悪である。ただし健常は問題なし。



というように同じ小麦粉でも全く違うことが分かった。


そのため何軒か鑑定で細かく調べて比較的マシな小麦粉、トマトのみを買うのだった。

名前 小麦粉
食用 可
産地 エルフ国
備考欄 普通の小麦粉 製粉技術は皆無に等しいため食感は酷いが味は不味くはない。



名前 トミート(血の実)
食用 可
産地 ドワーフ共和国
備考欄 赤い実。岩塩が採れる場所には生える。甘みが強くフルーツのように美味しいが不人気である。ただし一部の魔族から好かれているため販売されている。



この2つは安全だったため購入したがそれ以外は一通り見た限り人間のシンジュには厳しかった。今後家で野菜や果物も育てなければならないのかと頭を抱えるのだった。



その後ギルドマスターの家に向かった。
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