追放された幼女(ロリ)賢者は、青年と静かに暮らしたいのに

怪ジーン

文字の大きさ
7 / 249
第一章 リンドウの街 編

六話 パンツを履けた幼女、青年にパンツを洗われる

しおりを挟む
「アカツキ、アカツキ」

 考え事をしていたアカツキのズボンを、ルスカが引っ張り訴えてきた。

「どうかしましたか? ルスカ」
「トイレ行きたいのじゃ」

 足をモジモジと動かし我慢している様子のルスカ。
 もし、万が一こんな通りで漏らしてしまったら注目の的である。
そうなると、先ほどの服屋の時みたいに、ルスカの事で下手な言い訳をしなくてはならない。

 アカツキは、辺りをキョロキョロ見回すと宿らしき看板を発見する。
ルスカの両脇を手で持ち上げ、宿らしき看板目掛けて走りだす。

──酒と宿の店 セリー──

 看板の文字を確認したアカツキは、店へと駆け込む。

「すいません、トイレ貸してください!」
「ほへっ? あ、え?」

 店へと入ったアカツキは、頭に白いリボンをつけ、肩まで伸びた茶色の髪の受付の少女に、トイレを貸してと訴えるが、少女は突然の事に呆けている。

「あ、あのトイレを……」
「アカツキ~、漏れそうじゃ~」

 再度訴えるアカツキに、限界近そうなルスカ。
その様子にようやく少女は気づいた。

「あ、トイレはその横ですぅ」

 受付の少女の間延びした声に素早く反応したアカツキは、扉を開けて、ルスカをトイレに入れるとすぐに扉を閉めた。

「ふぅー。あ、お嬢さん」
「ほへっ? わ、わたしですかぁ?」

 ボーッとアカツキ達の様子を見ていた受付の少女に声をかける。

「慌てていたので、馬を忘れてしまいました。ちょっと取りに行くので、トイレにいる子が出てきたらここで待つように伝えて貰えませんか?」
「は、はい。わかりましたぁ」

 少女にルスカの事をお願いして、アカツキは宿から出ていった後、しばらくすると、トイレの扉が開き中からルスカが出てくる。

「アカツキ~、新しいパンツ欲しいのじゃ~」

 大惨事は回避したルスカ。
しかし、アカツキからの返事は帰って来ず代わりに受付の少女がやって来た。

「さっきの男の人なら、馬を取りに行くって出て行ったよぉ」

 少女がそう言うと、ルスカは困った顔をする。
大惨事は免れたが小惨事は免れておらず、股の間をモジモジしていた。

 その様子にピンと来た少女は、完全にルスカを年下扱いし、膝を曲げ、目線を合わせて話かけてくる。

「えっと……お名前は何て言うのぉ?」
「ルスカじゃ」
「ルスカちゃん、良かったらお姉さんのパンツ履くぅ?」

 まだまだ幼い少女に年下扱いされれば、本来のルスカなら激怒しそうだが、今はそれどころではない。
緊急の事態である。

「グリゼのパンツ?」
「やだぁ、そんなお子様パンツじゃないよぉ」
「それだったら、いらんのじゃ!」

 グリゼのパンツにこだわるルスカはプイッと横を向くと、少女は困った表情をする。

 そこに宿の入り口の扉を開けてアカツキが戻ってきた。

「あ! アカツキ~」

 小走りでアカツキに駆けよると、足にしがみついて上目遣いで訴える。

「アカツキ~、新しいパンツ出してなのじゃ~」
「え? 間に合わなかったのですか?」

 「ちょっとだけじゃ」とか「このままでも問題ないが、気持ち悪いからじゃ」などと言い訳を必死に言うので、真新しいパンツを渡してトイレで着替えるように伝えた。

 ルスカが再びトイレに籠っている間にアカツキは、店を見回す。
間違いなくここは宿屋のようで、受付のカウンターの隣には二階へと上がる石の階段になっており、隣の部屋は食堂のようだ。

 改めて、受付の少女を見ると、背も低く顔立ちも幼い。どう見積もっても十歳くらいだろう。恐らく親子で経営しているのではないかと推測できる。

「お嬢さん、ここは宿ですよね? 部屋空いてますか?」

 ルスカが着替えている間に、受付の少女に話かける。

「はい。一部屋なら空いてますよぉ。一泊銅貨五枚ですぅ。良ければこちらにお名前を記入して欲しいのぉ」

 決して安くはないが高くもない。
宿帳に自分とルスカの名前を書いていく。

「あれぇ? あの子と名前がぁ……」

 先ほどの服屋の件もあり、親子で通そうと思った矢先に思わず本名で書いてしまっていた。

「実は、私はあの子の従者なんです。ほら、あの子、私の事を“アカツキ”って呼んだでしょ」

 苦し紛れの嘘に少女は首を捻り考える素振りを見せる。そして、何かに気づいたようだ。

「そう言えば、ちょっと我が儘っぽいですもんねぇ。大変でしょう、あの子の従者はぁ」

 嘘を信じてくれたみたいだが、申し訳なさからアカツキは苦虫を噛み潰したような顔をする。

「アカツキ~、これ~」

 着替えを終えたルスカは、アカツキの側に行くと今まで履いていたパンツを摘まんで差し出してくる。

 アイテムボックスを兼ねている“材料調達”のスキルの空間には食材が、ルスカの荷袋の中には本が、手元の袋には先ほど買った真新しい服が入っているのに、何処に仕舞えと言うのか。

「ルスカ。それは自分で持ちなさい。今、宿を取ったので、すぐそこまでですから」

 そう言われ口を尖らし、不満気な顔をするルスカ。

「それじゃ部屋まで案内しますぅ。あ、水は裏庭からどうぞ。それと、食事は一階で出来ますからぁ」

 受付の少女がカウンター内から鍵を取り出すと、横にある階段を登って二階へと向かう。
二人も少女の後をついて行くと、二階へと上がった正面の扉を開けて、部屋の中へと誘導した。

 部屋の真ん中に置かれたベッドは綺麗な白いシーツがされており、この宿屋の意識の高さが伺える。
他にはテーブルと二脚の椅子、備え付けられたクローゼットとトイレがあるだけの部屋だった。

「出かける時、鍵は必ずかけてくださいねぇ。あと、お湯とランプは各銅貨一枚ですぅ」

 少女はそう言うと、一階へと降りていく。

「ルスカ。すいませんが、また水をお願いできませんか? 洗濯をしないといけませんから」

 アカツキは荷物をクローゼットへとしまうと、桶を用意してトイレへと向かう。
万一、水を溢さないようにするためだ。
続いてルスカの持っていたパンツを受け取り桶に入れた。

 ルスカは白樺の杖を桶の上に傾ける。

“ウォータードロップ”

 杖の先に白い光が輝くと、ポタポタと水滴が落ちていく。
その量は増えていき、桶の中に水が溜まりルスカのパンツがプカプカと浮いていた。

 桶の前に座り、水が床に零れないようにアカツキは、丁寧に慎重にパンツを洗う。

 その様子を見ていたルスカは、部屋の中を彷徨うろついて落ち着きがない。

「どうかしましたか、ルスカ?」

 自分の後ろをチョロチョロ歩くルスカが視界の端に入り、声をかけたのだが、ルスカは何も言わない。

「ルスカ?」

 気になり後ろを振り返ってみると、ルスカの顔は真っ赤になっていた。

「ちょっと! ルスカ、大丈夫ですか?」
「…………じゃ」
「え? 何ですか?」

 風邪でも引いたのかと、洗濯の手を止め近づいて声をかけるが、小声で何を言っているのかわからず、益々心配になる。

「ぱ、パンツを人に洗われるのが、こんなに恥ずかしいとは思わなかったのじゃ!!」

 声に出すと、却って恥ずかしくなり顔は益々赤くなっていく。
アカツキは優しく見守るような目をしながら、笑顔でルスカの両肩をしっかり掴み顔を近づけ、自分の気持ちを伝える。

「ルスカ。恥ずかしいのは私の方ですよ」

 至極当然の話である。元の世界で妹の世話は、よくしてきたが、ルスカは他人だ。別に意識しているわけではないが、パンツを洗っている自分の姿が恥ずかしい。

「う、うむ。ありがとうございますなのじゃ」

 アカツキの顔は笑っていて、優しい目をしているが、心が笑っていない。そう感じたルスカは、体をブルッと震わし、おかしなお礼を言う。

「今度から気をつけて下さいね」
「う、うむ。善処するのじゃ」

 ルスカ・シャウザード。
大賢者と呼ばれ、前回の魔王アドメラルクを倒した一人。年齢三百歳以上。
ただ今、お漏らしをしないように善処中。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています

h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。 自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。 しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━? 「おかえりなさいませ、皇太子殿下」 「は? 皇太子? 誰が?」 「俺と婚約してほしいんだが」 「はい?」 なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
主人公は、勇者パーティーを追放されて辺境の地へと追放される。 そこで出会った魔族の少女と仲良くなり、彼女と共にスローライフを送ることになる。 しかし、ある日突然現れた魔王によって、俺は後継者として育てられることになる。 そして、俺の元には次々と美少女達が集まってくるのだった……。

ゴミスキル【生態鑑定】で追放された俺、実は動物や神獣の心が分かる最強能力だったので、もふもふ達と辺境で幸せなスローライフを送る

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティの一員だったカイは、魔物の名前しか分からない【生態鑑定】スキルが原因で「役立たず」の烙印を押され、仲間から追放されてしまう。全てを失い、絶望の中でたどり着いた辺境の森。そこで彼は、自身のスキルが動物や魔物の「心」と意思疎通できる、唯一無二の能力であることに気づく。 森ウサギに衣食住を学び、神獣フェンリルやエンシェントドラゴンと友となり、もふもふな仲間たちに囲まれて、カイの穏やかなスローライフが始まった。彼が作る料理は魔物さえも惹きつけ、何気なく作った道具は「聖者の遺物」として王都を揺るがす。 一方、カイを失った勇者パーティは凋落の一途をたどっていた。自分たちの過ちに気づき、カイを連れ戻そうとする彼ら。しかし、カイの居場所は、もはやそこにはなかった。 これは、一人の心優しき青年が、大切な仲間たちと穏やかな日常を守るため、やがて伝説の「森の聖者」となる、心温まるスローライフファンタジー。

処理中です...