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ベルフォーネ=アルダートン
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コンフォール王国の王太子─レオナール=コンフォール様と、ベルフォーネ=アルダートン公爵令嬢との2人の婚約が決まってから1ヶ月─
“王族の影の盾”である父は、滅多な事が無い限りキリクス領に来る事が無い。否─娘であるシルフィーに会いに行きたくとも、会いに行けるような時間が本当に無いのだ。
そんな父が、珍しくキリクス領の邸にやって来た。
「シルフィー!会いたかった!」
「お父様、お久し振りです。会いに来てもらって…嬉しいんだけど…何かあったの?」
とお父様に素直に訊けば
「シルフィーに会いたかったのは本当だからね?会いに来たついでに、シルフィーに大事な話しがあるんだ。」
それから、お父様はお祖父様にも声を掛けて、3人でお祖父様の執務室へと向かった。
「私が…ベルフォーネ=アルダートン様の…侍女に?」
「正しくは─将来の王太子妃、王妃の侍女兼護衛だな。」
ーまさかー
チラリとお祖父様に視線を向けると、この話に驚いた様子がない。寧ろ…満足気な顔をして頷いている。
私は、ふぅ─と軽く溜息を吐いた。
「なる程…私を3年で仕上げたのは…この為だったんですね?」
「すまないシルフィー。シルフィーが殆どの魔力を失った後、シルフィーが王族の影の盾となる事はないだろう─と思っていたのだが、シルフィー本人がヤル気を出した事で、国王陛下からお願いされたんだ。王太子妃になるベルフォーネ様に、侍女兼護衛として付いて欲しいと。」
王族の影の盾であるキリクス一族ではあるが、何故か直系にはあまり女の子が生まれない。直系で女である私が生まれたのも、100年ぶりなのだそうだ。
王妃や王女など王族の女性を護るのには、男性では限りがある。どうしたって、男が故に付いて行けない所だってある。
もともと、将来の王太子妃になるベルフォーネにも、キリクス一族ではない影の者を付ける予定だったが、ジュードから孫娘が特殊な能力を使えないものの、キリクスの一族の者としての役割を果たす為に動き出した─と報告が上がるやいなや、国王陛下自身が、その者を後継者である王太子の妃となる令嬢に付けると決めたのだった。
「国王陛下が…なら…断る事はできませんね?断りませんけど。こんな私で良ければ…私の出来る限りの力で精一杯、ベルフォーネ=アルダートン様にお仕えさせていただきます。」
「シルフィーちゃんが……ベルフォーネ嬢の…侍女兼護衛に!?」
お父様とお祖父様との話しが終わった後、私はそのままアヤメさんの部屋へとやって来て先程の話をすると、アヤメさんはプルプルと震え出した。
「転生の神様、ありがとうございます!!」
ーえ?ー
アヤメさんが、涙を流しながら叫んだ。
「コホン─。あの…取り乱しちゃって…ごめんなさいね?」
興奮していたアヤメさんが落ち着いた後、アヤメさんは、マンガで見たこれから先の出来事の話を話し出した。
王太子─レオナールとベルフォーネは幼馴染でとても仲が良く身分的にも問題無かった為に、2人の婚約はスムーズに決まった。それから、2人は共に切磋琢磨して王太子は帝王学を、ベルフォーネは王太子妃、王妃になる為の勉強を頑張った。
その様子が変わり出したのが、ベルフォーネが16歳─学園生活2年目に入ってからだった。
ベルフォーネと同年に第二王子が居て、その第二王子がエレーナと出会った事で、レオナールとベルフォーネ2人の関係も悪い方へと転がって行った。
第二王子にも婚約者が居たのだが、その婚約者を蔑ろにして第二王子とエレーナの距離は縮まるばかりであった。
それに苦言を呈したのが、王太子の婚約者であるベルフォーネだった。勿論、ベルフォーネは正しい事をしただけ。それなのに、何故か、いくら正しい事をしてもベルフォーネが悪者になる。
ベルフォーネ様がエレーナを苛めた
ベルフォーネ様がエレーナを、平民のクセにと蔑んでいる
ベルフォーネ様は、実は王太子ではなく、第二王子を慕っている
最初の頃は、王太子もそんな噂には耳も貸さなかったが、あまりにも収まらない噂に、王太子も次第に疑いを持ち始める。そこから2人の関係はギクシャクし始めて──
「最終的には、ベルフォーネ嬢は色んな濡れ衣を着せられて…断罪されて国外追放にされるのよ…」
ーえ?国外…追放??ー
「おかしい話しでしょう!?何で浮気男を注意したベルフォーネ嬢が追放なの!?それに、一番の味方にならなきゃいけない王太子の裏切り…許すまじ!!」
ーアヤメさん、不敬になりますよ?ー
「えっと…一つ確認なんだけど…エレーナは…マクウェル様が好きではなかったの?」
マンガの話しを聞く限りでは、エレーナは第二王子を好きになると言う感じだけど…それじゃあ、マクウェル様の婚約者は誰になるんだろう?
「エレーナね…あの子についても、シルフィーちゃんに言っておく事があるの。」
と、アヤメさんは今度は真剣な顔付きで話し出した。
“王族の影の盾”である父は、滅多な事が無い限りキリクス領に来る事が無い。否─娘であるシルフィーに会いに行きたくとも、会いに行けるような時間が本当に無いのだ。
そんな父が、珍しくキリクス領の邸にやって来た。
「シルフィー!会いたかった!」
「お父様、お久し振りです。会いに来てもらって…嬉しいんだけど…何かあったの?」
とお父様に素直に訊けば
「シルフィーに会いたかったのは本当だからね?会いに来たついでに、シルフィーに大事な話しがあるんだ。」
それから、お父様はお祖父様にも声を掛けて、3人でお祖父様の執務室へと向かった。
「私が…ベルフォーネ=アルダートン様の…侍女に?」
「正しくは─将来の王太子妃、王妃の侍女兼護衛だな。」
ーまさかー
チラリとお祖父様に視線を向けると、この話に驚いた様子がない。寧ろ…満足気な顔をして頷いている。
私は、ふぅ─と軽く溜息を吐いた。
「なる程…私を3年で仕上げたのは…この為だったんですね?」
「すまないシルフィー。シルフィーが殆どの魔力を失った後、シルフィーが王族の影の盾となる事はないだろう─と思っていたのだが、シルフィー本人がヤル気を出した事で、国王陛下からお願いされたんだ。王太子妃になるベルフォーネ様に、侍女兼護衛として付いて欲しいと。」
王族の影の盾であるキリクス一族ではあるが、何故か直系にはあまり女の子が生まれない。直系で女である私が生まれたのも、100年ぶりなのだそうだ。
王妃や王女など王族の女性を護るのには、男性では限りがある。どうしたって、男が故に付いて行けない所だってある。
もともと、将来の王太子妃になるベルフォーネにも、キリクス一族ではない影の者を付ける予定だったが、ジュードから孫娘が特殊な能力を使えないものの、キリクスの一族の者としての役割を果たす為に動き出した─と報告が上がるやいなや、国王陛下自身が、その者を後継者である王太子の妃となる令嬢に付けると決めたのだった。
「国王陛下が…なら…断る事はできませんね?断りませんけど。こんな私で良ければ…私の出来る限りの力で精一杯、ベルフォーネ=アルダートン様にお仕えさせていただきます。」
「シルフィーちゃんが……ベルフォーネ嬢の…侍女兼護衛に!?」
お父様とお祖父様との話しが終わった後、私はそのままアヤメさんの部屋へとやって来て先程の話をすると、アヤメさんはプルプルと震え出した。
「転生の神様、ありがとうございます!!」
ーえ?ー
アヤメさんが、涙を流しながら叫んだ。
「コホン─。あの…取り乱しちゃって…ごめんなさいね?」
興奮していたアヤメさんが落ち着いた後、アヤメさんは、マンガで見たこれから先の出来事の話を話し出した。
王太子─レオナールとベルフォーネは幼馴染でとても仲が良く身分的にも問題無かった為に、2人の婚約はスムーズに決まった。それから、2人は共に切磋琢磨して王太子は帝王学を、ベルフォーネは王太子妃、王妃になる為の勉強を頑張った。
その様子が変わり出したのが、ベルフォーネが16歳─学園生活2年目に入ってからだった。
ベルフォーネと同年に第二王子が居て、その第二王子がエレーナと出会った事で、レオナールとベルフォーネ2人の関係も悪い方へと転がって行った。
第二王子にも婚約者が居たのだが、その婚約者を蔑ろにして第二王子とエレーナの距離は縮まるばかりであった。
それに苦言を呈したのが、王太子の婚約者であるベルフォーネだった。勿論、ベルフォーネは正しい事をしただけ。それなのに、何故か、いくら正しい事をしてもベルフォーネが悪者になる。
ベルフォーネ様がエレーナを苛めた
ベルフォーネ様がエレーナを、平民のクセにと蔑んでいる
ベルフォーネ様は、実は王太子ではなく、第二王子を慕っている
最初の頃は、王太子もそんな噂には耳も貸さなかったが、あまりにも収まらない噂に、王太子も次第に疑いを持ち始める。そこから2人の関係はギクシャクし始めて──
「最終的には、ベルフォーネ嬢は色んな濡れ衣を着せられて…断罪されて国外追放にされるのよ…」
ーえ?国外…追放??ー
「おかしい話しでしょう!?何で浮気男を注意したベルフォーネ嬢が追放なの!?それに、一番の味方にならなきゃいけない王太子の裏切り…許すまじ!!」
ーアヤメさん、不敬になりますよ?ー
「えっと…一つ確認なんだけど…エレーナは…マクウェル様が好きではなかったの?」
マンガの話しを聞く限りでは、エレーナは第二王子を好きになると言う感じだけど…それじゃあ、マクウェル様の婚約者は誰になるんだろう?
「エレーナね…あの子についても、シルフィーちゃんに言っておく事があるの。」
と、アヤメさんは今度は真剣な顔付きで話し出した。
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