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第二章ー同棲ー
ルイス第一騎士団長
「オーブリー殿、どうかしたのか?それに…この騒ぎは何だ?」
と、そこには、1ミリもニコリともしない─5年前によく目にしていた冷たい顔をしたエディオルさんが居た。
ーこの冷たい感じのエディオルさん…久し振りに見るよねー
「ここまで騒がしくするなら、この場から出て行ってもらいたい。訓練は遊びではないからな。」
エディオルさんは、冷たい目のままご令嬢達を一瞥する。
ーこ…怖くない?ー
ピリッとした空気感があり、いつもとは違うゾワゾワした感覚が背中を駆け上がる。
「カルザイン様!申し訳ありません!ただ、その─迷い込んで来た平民が気になっただけで──」
ーうわぁ─ここで、このタイミングで、このエディオルさんに突撃しちゃうの!?この人、メンタル強くない!?ー
「──平民?」
“平民”に、エディオルさんがピクリと反応する。
それを、このご令嬢は、自分の都合の良いように受け取ってしまったようで…
「えぇ、そうですの!ここに平民が来るなんて、おかしいでしょう?ですから───」
「───ハル?」
ーあぁ…出来れば…気付かれる前に退散したかったー
「あー…えっと…はい。ハル──です。」
「「え?」」
「「「きゃあーっっ!!」」」
ご令嬢達は、エディオルさんの反応を目にした瞬間固まった人達と、黄色い声を上げた人達と二通りに別れた。
ーえ?何で黄色い声??いや、今はそれどころじゃないよねー
「ハル、どうして訓練所に?」
冷たい目のエディオルさんは何処に?と訊きたくなる程に、フワリと優しく微笑むエディオルさんが、一瞬にして私の目の前までやって来た。
「えっと…その…ミヤさんに、今日は近衛騎士様達も訓練をすると聞いて…差し入れを持って来たんです。」
「あぁ、そのバスケットに?」
「これは違います!あの、差し入れは、騎士団の離宮の方に運んでもらってます!」
グッと握り拳を作って言い切ってみました。
エディオルさんはそんな様子の私を見た後、ルナさんに視線を向ける。視線を向けられたルナさんは、そこで固まっているご令嬢を一瞥した後、ニッコリと微笑んだ。すると、エディオルさんが
「成る程……」
と、低い声で囁いた後、スッと表情を一変させた。
「先ずは…ここに平民が来てはいけない─と言う決まりは無い。我々騎士団の中にも平民はいる。その平民出身の騎士達も、平民だからと…着飾り他者を見下すだけしか脳の無い者に、馬鹿にされるような存在ではない。」
「なっ─“だけしか脳の無い”とは、いくらカルザイン様だとて、言い過ぎではありませんか!?その様な事…私がお父様に言えば、どうなるか─」
「そこで、家名を出すのか?なら…覚悟は出来ているんだよね?」
そこに割って入って来たのは
「え?カルザイン…騎士団長様!?」
「確か…君は…アクラス侯爵家のご令嬢だったかな?」
「そ…そうですわ。このような屈辱的な事、お父様に─」
「うん。言っても言いけど、覚悟しておくといいよ?そこに居る平民のハル殿はね、私の息子のエディオルの婚約者なんだ。」
「「「え!?」」」
「それに、平民なんだけど、パルヴァン邸付きの薬師なんだ。」
その言葉に、何人かの令嬢が反応し、ヒュッと息を呑む音がした。
「パル…ヴァンそれが?」
しかし、このご令嬢は分からなかったようだ。
「ははっ…成る程ね。侯爵令嬢でありながら、社交や政情にも疎いようだね?」
ルイス騎士団長様は、更に笑みを深める。
「お家に帰って、父君に尋ねると良い。パルヴァン邸付きのハルとは誰だ?と。それと─国王両陛下と王太后様が認めた婚約に納得いかない─とも…言えばいいよ。」
ーひぃ─っ!え?この人、ルイス様だよね!?え?普段のルイス様と…違い過ぎない!?エディオルさんの殺気が…可愛く感じます!ー
流石のメンタルの強いご令嬢も、この発言には顔色を悪くして震えだした。
そこからは、見ているこっちが心配になる位に震えて崩れ落ち、お付きの侍女らしき人達に抱えられながら訓練所を後にした。
「さてと。もう、訓練には集中できないだろうから、今日はここまでとしようか。ご令嬢方、見学するのは構わないが…騎士達の集中力を欠く様な行いは、ご遠慮願いますよ。」
と、ルイス騎士団長様は、今度は優しく微笑んだ。
ーいや…その笑顔もちょっと、怖いですからね?ー
*****
ベラトリス様とお茶をする─と言うと
「王女殿下に挨拶も兼ねて、送って行く。」
と言われて、一緒に行く事になった。
「まさか、ハルが来ているとは思わなかった。」
「ふふっ。それじゃあ、仕返し成功ですね!」
「仕返し?」
「エディオルさんの引っ越しを、内緒にしていた仕返しに、ハルも内緒で訓練を見に行かないか─って、ミヤさんに言われたんですよ。なので、仕返し成功だなって!」
どうだ!?みたいに顔がにやけると
「くっ──。そのドヤ顔───っ」
声が小さ過ぎてよく聞こえなかったけど、エディオルさんは何かを呟いた後、片手で自身の顔を覆った。
「?」
と、そこには、1ミリもニコリともしない─5年前によく目にしていた冷たい顔をしたエディオルさんが居た。
ーこの冷たい感じのエディオルさん…久し振りに見るよねー
「ここまで騒がしくするなら、この場から出て行ってもらいたい。訓練は遊びではないからな。」
エディオルさんは、冷たい目のままご令嬢達を一瞥する。
ーこ…怖くない?ー
ピリッとした空気感があり、いつもとは違うゾワゾワした感覚が背中を駆け上がる。
「カルザイン様!申し訳ありません!ただ、その─迷い込んで来た平民が気になっただけで──」
ーうわぁ─ここで、このタイミングで、このエディオルさんに突撃しちゃうの!?この人、メンタル強くない!?ー
「──平民?」
“平民”に、エディオルさんがピクリと反応する。
それを、このご令嬢は、自分の都合の良いように受け取ってしまったようで…
「えぇ、そうですの!ここに平民が来るなんて、おかしいでしょう?ですから───」
「───ハル?」
ーあぁ…出来れば…気付かれる前に退散したかったー
「あー…えっと…はい。ハル──です。」
「「え?」」
「「「きゃあーっっ!!」」」
ご令嬢達は、エディオルさんの反応を目にした瞬間固まった人達と、黄色い声を上げた人達と二通りに別れた。
ーえ?何で黄色い声??いや、今はそれどころじゃないよねー
「ハル、どうして訓練所に?」
冷たい目のエディオルさんは何処に?と訊きたくなる程に、フワリと優しく微笑むエディオルさんが、一瞬にして私の目の前までやって来た。
「えっと…その…ミヤさんに、今日は近衛騎士様達も訓練をすると聞いて…差し入れを持って来たんです。」
「あぁ、そのバスケットに?」
「これは違います!あの、差し入れは、騎士団の離宮の方に運んでもらってます!」
グッと握り拳を作って言い切ってみました。
エディオルさんはそんな様子の私を見た後、ルナさんに視線を向ける。視線を向けられたルナさんは、そこで固まっているご令嬢を一瞥した後、ニッコリと微笑んだ。すると、エディオルさんが
「成る程……」
と、低い声で囁いた後、スッと表情を一変させた。
「先ずは…ここに平民が来てはいけない─と言う決まりは無い。我々騎士団の中にも平民はいる。その平民出身の騎士達も、平民だからと…着飾り他者を見下すだけしか脳の無い者に、馬鹿にされるような存在ではない。」
「なっ─“だけしか脳の無い”とは、いくらカルザイン様だとて、言い過ぎではありませんか!?その様な事…私がお父様に言えば、どうなるか─」
「そこで、家名を出すのか?なら…覚悟は出来ているんだよね?」
そこに割って入って来たのは
「え?カルザイン…騎士団長様!?」
「確か…君は…アクラス侯爵家のご令嬢だったかな?」
「そ…そうですわ。このような屈辱的な事、お父様に─」
「うん。言っても言いけど、覚悟しておくといいよ?そこに居る平民のハル殿はね、私の息子のエディオルの婚約者なんだ。」
「「「え!?」」」
「それに、平民なんだけど、パルヴァン邸付きの薬師なんだ。」
その言葉に、何人かの令嬢が反応し、ヒュッと息を呑む音がした。
「パル…ヴァンそれが?」
しかし、このご令嬢は分からなかったようだ。
「ははっ…成る程ね。侯爵令嬢でありながら、社交や政情にも疎いようだね?」
ルイス騎士団長様は、更に笑みを深める。
「お家に帰って、父君に尋ねると良い。パルヴァン邸付きのハルとは誰だ?と。それと─国王両陛下と王太后様が認めた婚約に納得いかない─とも…言えばいいよ。」
ーひぃ─っ!え?この人、ルイス様だよね!?え?普段のルイス様と…違い過ぎない!?エディオルさんの殺気が…可愛く感じます!ー
流石のメンタルの強いご令嬢も、この発言には顔色を悪くして震えだした。
そこからは、見ているこっちが心配になる位に震えて崩れ落ち、お付きの侍女らしき人達に抱えられながら訓練所を後にした。
「さてと。もう、訓練には集中できないだろうから、今日はここまでとしようか。ご令嬢方、見学するのは構わないが…騎士達の集中力を欠く様な行いは、ご遠慮願いますよ。」
と、ルイス騎士団長様は、今度は優しく微笑んだ。
ーいや…その笑顔もちょっと、怖いですからね?ー
*****
ベラトリス様とお茶をする─と言うと
「王女殿下に挨拶も兼ねて、送って行く。」
と言われて、一緒に行く事になった。
「まさか、ハルが来ているとは思わなかった。」
「ふふっ。それじゃあ、仕返し成功ですね!」
「仕返し?」
「エディオルさんの引っ越しを、内緒にしていた仕返しに、ハルも内緒で訓練を見に行かないか─って、ミヤさんに言われたんですよ。なので、仕返し成功だなって!」
どうだ!?みたいに顔がにやけると
「くっ──。そのドヤ顔───っ」
声が小さ過ぎてよく聞こえなかったけど、エディオルさんは何かを呟いた後、片手で自身の顔を覆った。
「?」
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