58 / 123
第二章ー同棲ー
☆ネージュの呟き☆
我が主の名はハル─ハルノミヤ=コトネ─
我の名は─ネージュ─
我が主は、普通の令嬢達とは少し違っている。もともと貴族ではないし、異世界から来た故に─と言う事もあるが…。
主は、どうしても自立したいらしい。自立した上で、騎士の隣に立ちたいと言う。普通の貴族令嬢と言えば、いかに自分が楽をして暮らしていけるか─を考えたりするが、我が主は、寧ろ─騎士を支えたいとも言っていた。
我は、そんな主が大好きである。
そんな主の為に、主が騎士の家に引っ越す事になった。色々な条件はあったが、まさか、最強執事がここまですんなりと我が主の一人暮らしを許すとは思わなかった故に、我も聖女も驚いた。
それでも、主が嬉しそうにしている故、我もまた嬉しくなり、自然と尻尾は揺れていた。
『ネージュ!来るのをずっと待っていたよ!』
引っ越し当日、我は─────ノアに出迎えられた。聞くと、騎士もノアもここで一緒に暮らすと言う。嬉しい事には変わらぬが……
『ふむ。いつか仕返ししてやろう。』
と、我はソッと呟いた。
「ネージュ!引っ越しの時の仕返しをしない?」
主が満面の笑顔で言って来た。
『仕返し?どうするのだ?』
コテンと首を傾げて訊けば
「ウチの子可愛い!!」
と、いつもの様にモフモフワシャワシャされた。
我は、コレがとても気に入っている。
どうやら、聖女に提案され、騎士の訓練を内緒で見学に行く故、我もノアを内緒で驚かそう─と言う事らしい。
『ふむ。それは面白いな。』
主のソレは、あの騎士にとって“仕返し”ではなく、“ご褒美”にしかならぬであろうが…ふむ。黙っておこう。
そうして、邸の使用人総出の気合いの入った送り出しを受け、王城へと向かった。
「じゃあ、ネージュは姿を消して…ノアに会いに行っててね。私の見学が終わったら呼び掛けるから。」
『分かった。主、気を付けて─』
と言い、我は主の足にスリッと顔を寄せた後、姿を消してノアの元へと向かった。
姿を消したまま、少し遠くからノアを見ると、ノアは他の騎士の馬達と一緒になり寝ているようだった。
『ふむ─。アレで…行くか。』
ニヤリと笑いそうになる口元に力を入れて、静かにノアに近付いた。
『───ノア』
『───ん?ネー…うん?』
ーふむ。寝起きの寝ぼけたノアは、相変わらず可愛いなー
ノアがパチクリと瞬きをしてから、我を見ている。
『あれ?ネージュ?どうしてここに?それに…どうして…人型になってるの?』
キョトンとした顔で、首を傾げるノア。
『くくっ。引っ越しの時のお返しらしいぞ?聖女に仕返しを勧められた主が、内緒で騎士に会いに行き、驚かそうと。我もノアにしないか?と言われてな。成功…したな?』
ニヤッと笑うと
『成功…なのかなぁ?会えて嬉しいだけだけど。きっと、私の主─エディオル様にとっても、“ご褒美”でしかないと思うよ?』
と、ノアが目を細めて笑う。
我は、この目をするノアが大好きだ。
ー一番は主だがー
『やはり、ノアもそう思うか?騎士は、喜ぶだけだな。』
それでもおそらく、“仕返し成功!”と、主は喜んだりするのだろう。
『ノア、今日は、この姿の我を乗せてくれぬか?』
『ふふっ。それは、勿論喜んで。』
ノアが嬉しそうに答えれば、ネージュも嬉しそうにノアの背中に乗った。そうして、そのまま姿を消して、外へと繰り出した。
*****
「すみません!!そのっ!妖艶な美女が馬小屋に来まして…次に気が付いた時には…その女性と共に…ノアが居なくなってしまってたんです!本当にすみません!今、数名の者達で探しているところです!!!」
と、馬の面倒を見ていた見習い騎士の青年が、顔を真っ青にして土下座の勢いでエディオルの前に居る。
「……妖艶な美女……。あぁ、それなら…きっと大丈夫だ。そのうち…いや、そろそろ帰って来るだろうから、探さなくても良い。」
と、エディオルは苦笑した。
そんな騒動になっている事を知らないネージュとノアは、ネージュの主であるハルが呼び掛ける迄、2人の時間を楽しんだ。
我には大切なモノが増えた。
一つは─大好きな主
もう一つは─大好きなノア
パルヴァンの巫女、我は今…とても…とても幸せだ。
我の名は─ネージュ─
我が主は、普通の令嬢達とは少し違っている。もともと貴族ではないし、異世界から来た故に─と言う事もあるが…。
主は、どうしても自立したいらしい。自立した上で、騎士の隣に立ちたいと言う。普通の貴族令嬢と言えば、いかに自分が楽をして暮らしていけるか─を考えたりするが、我が主は、寧ろ─騎士を支えたいとも言っていた。
我は、そんな主が大好きである。
そんな主の為に、主が騎士の家に引っ越す事になった。色々な条件はあったが、まさか、最強執事がここまですんなりと我が主の一人暮らしを許すとは思わなかった故に、我も聖女も驚いた。
それでも、主が嬉しそうにしている故、我もまた嬉しくなり、自然と尻尾は揺れていた。
『ネージュ!来るのをずっと待っていたよ!』
引っ越し当日、我は─────ノアに出迎えられた。聞くと、騎士もノアもここで一緒に暮らすと言う。嬉しい事には変わらぬが……
『ふむ。いつか仕返ししてやろう。』
と、我はソッと呟いた。
「ネージュ!引っ越しの時の仕返しをしない?」
主が満面の笑顔で言って来た。
『仕返し?どうするのだ?』
コテンと首を傾げて訊けば
「ウチの子可愛い!!」
と、いつもの様にモフモフワシャワシャされた。
我は、コレがとても気に入っている。
どうやら、聖女に提案され、騎士の訓練を内緒で見学に行く故、我もノアを内緒で驚かそう─と言う事らしい。
『ふむ。それは面白いな。』
主のソレは、あの騎士にとって“仕返し”ではなく、“ご褒美”にしかならぬであろうが…ふむ。黙っておこう。
そうして、邸の使用人総出の気合いの入った送り出しを受け、王城へと向かった。
「じゃあ、ネージュは姿を消して…ノアに会いに行っててね。私の見学が終わったら呼び掛けるから。」
『分かった。主、気を付けて─』
と言い、我は主の足にスリッと顔を寄せた後、姿を消してノアの元へと向かった。
姿を消したまま、少し遠くからノアを見ると、ノアは他の騎士の馬達と一緒になり寝ているようだった。
『ふむ─。アレで…行くか。』
ニヤリと笑いそうになる口元に力を入れて、静かにノアに近付いた。
『───ノア』
『───ん?ネー…うん?』
ーふむ。寝起きの寝ぼけたノアは、相変わらず可愛いなー
ノアがパチクリと瞬きをしてから、我を見ている。
『あれ?ネージュ?どうしてここに?それに…どうして…人型になってるの?』
キョトンとした顔で、首を傾げるノア。
『くくっ。引っ越しの時のお返しらしいぞ?聖女に仕返しを勧められた主が、内緒で騎士に会いに行き、驚かそうと。我もノアにしないか?と言われてな。成功…したな?』
ニヤッと笑うと
『成功…なのかなぁ?会えて嬉しいだけだけど。きっと、私の主─エディオル様にとっても、“ご褒美”でしかないと思うよ?』
と、ノアが目を細めて笑う。
我は、この目をするノアが大好きだ。
ー一番は主だがー
『やはり、ノアもそう思うか?騎士は、喜ぶだけだな。』
それでもおそらく、“仕返し成功!”と、主は喜んだりするのだろう。
『ノア、今日は、この姿の我を乗せてくれぬか?』
『ふふっ。それは、勿論喜んで。』
ノアが嬉しそうに答えれば、ネージュも嬉しそうにノアの背中に乗った。そうして、そのまま姿を消して、外へと繰り出した。
*****
「すみません!!そのっ!妖艶な美女が馬小屋に来まして…次に気が付いた時には…その女性と共に…ノアが居なくなってしまってたんです!本当にすみません!今、数名の者達で探しているところです!!!」
と、馬の面倒を見ていた見習い騎士の青年が、顔を真っ青にして土下座の勢いでエディオルの前に居る。
「……妖艶な美女……。あぁ、それなら…きっと大丈夫だ。そのうち…いや、そろそろ帰って来るだろうから、探さなくても良い。」
と、エディオルは苦笑した。
そんな騒動になっている事を知らないネージュとノアは、ネージュの主であるハルが呼び掛ける迄、2人の時間を楽しんだ。
我には大切なモノが増えた。
一つは─大好きな主
もう一つは─大好きなノア
パルヴァンの巫女、我は今…とても…とても幸せだ。
あなたにおすすめの小説
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
愛とオルゴール
夜宮
恋愛
ジェシカは怒っていた。
父親が、同腹の弟ではなく妾の子を跡継ぎにしようとしていることを知ったからだ。
それに、ジェシカの恋人に横恋慕する伯爵令嬢が現れて……。
絡み合った過去と現在。
ジェシカは無事、弟を跡継ぎの座につけ、愛する人との未来を手にすることができるのだろうか。
緑の指を持つ娘
Moonshine
恋愛
べスは、田舎で粉ひきをして暮らしている地味な女の子、唯一の趣味は魔法使いの活躍する冒険の本を読むことくらいで、魔力もなければ学もない。ただ、ものすごく、植物を育てるのが得意な特技があった。
ある日幼馴染がべスの畑から勝手に薬草をもっていった事で、べスの静かな生活は大きくかわる・・
俺様魔術師と、純朴な田舎の娘の異世界恋愛物語。
第1章は完結いたしました!第2章の温泉湯けむり編スタートです。
ちょっと投稿は不定期になりますが、頑張りますね。
疲れた人、癒されたい人、みんなべスの温室に遊びにきてください。温室で癒されたら、今度はベスの温泉に遊びにきてくださいね!作者と一緒に、みんなでいい温泉に入って癒されませんか?
王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする
葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。
そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった!
ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――?
意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
次こそあなたと幸せになると決めたのに…中々うまくいきません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のシャレルは、第二王子のジョーンによって無実の罪で投獄されてしまう。絶望の中彼女を救ってくれたのは、ずっと嫌われていると思っていた相手、婚約者で王太子のダーウィンだった。
逃亡生活を送る中、お互い思い合っていたのにすれ違っていた事に気が付く2人。すれ違った時間を取り戻すかのように、一気に距離を縮めていく。
全てを失い絶望の淵にいたシャレルだったが、ダーウィンとの逃避行の時間は、今まで感じた事のないほど、幸せな時間だった。
新天地マーラル王国で、ダーウィンとの幸せな未来を思い描きながら、逃避行は続く。
そしていよいよ、あと少しでマーラル国というところまで来たある日、彼らの前にジョーンが現れたのだ。
天国から地獄に叩き落されたシャレルは、絶望の中生涯の幕を下ろしたはずだったが…
ひょんなことから、ダーウィンと婚約を結んだ8歳の時に、戻っていた。
2度目の人生は、絶対にダーウィンと幸せになってみせる、そう決意したシャレルだったが、そううまくはいかず、次第に追い詰められていくのだった。
※シャレルとダーウィンが幸せを掴むかでのお話しです。
ご都合主義全開ですが、どうぞよろしくお願いします。
カクヨムでも同時投稿しています。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。