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12 異変
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あれから3日後、大魔女オードリナ様は、本当に約束通りに茶葉を持って会いに来てくれた。
「それと、これ、今、若い娘たちに人気のパンケーキよ」
「これが…あのパンケーキ?」
私の知っているパンケーキは、茶色一色の丸い形をしたスポンジ?みたいなので、甘みは殆どない物。だけど、今私の目の前にあるのは、淡い黄色のフワフワしたスポンジ?みたいな物に、クリームがたっぷり乗せられていて、苺が盛られている。そのお皿の横に、琥珀色の液体が入ったグラスが置かれている。
「このままでも美味しいけど、この蜂蜜を掛けて食べると、もっと美味しくなるそうよ」
「はちみつ???」
コテン─と小首を傾げてオードリナ様を見ると、何故かオードリナ様は笑顔を浮かべたまま固まってしまった。
「とっ…兎に角、食べましょう。紅茶も一緒にね」
「はい。ありがとうございます。いただきます」
「────っ!!??」
ーこれ、本当に、あのパンケーキ!?ー
パンケーキって、少し焦げ味で硬めで……でも、このパンケーキはフワフワで、甘いクリームと甘酸っぱい苺と一緒に食べると更に美味しい!
「っっ!!??」
ー蜂蜜を掛けると、甘さが増して更に美味しい!ー
「…………」
オードリナ様が少し泣きそう?な顔をしているのは気になるけど、パクパクと食べてしまう。
それと、気になるのは3日前から見えるようになった金色の蝶。その数日前から、いつもの光が二つ見えていたけど、そこに蝶が現れた。それでも、私はいつもの光も蝶も見えていないフリをしている。見えているとバレたら、またあの薬を飲まされるから。その光が妄想によるものであっても構わない。あの薬を飲むよりましだし、黙っていればお母様に迷惑を掛ける事もないだろうから。
「あ、カミリアは4年前に現れた聖女と大神官には会った?」
「聖女様と大神官様ですか?会った事はまだありません。私に会う必要なんて…ないでしょうから」
聖女と大神官は、汚点とは真反対の存在だ。聖女と大神官は神や精霊に愛された者だけど、私は神や精霊に捨てられた者だから。
「そんな事はないわ。聖女のレオノールはカミリアに会いたがっていたわ。カミリアが良ければ、今度連れて来るわ」
「聖女様がそう言うなら、私は構いませんけど…」
ーきっと、お父様が反対するだろうけどー
私より二つ年上の女の子。この4年で、魔力のレベルもかなり上がったと言われていて、土地が穢れたと報告が上がれば、すぐ浄化に向かっているそうだ。本当に私とは全く違う存在だ。
「きっと、レオノールも喜んで──」
「オードリナ様!失礼します!」
「何事なの!?ノックも無く失礼でしょう!?」
2人で話していると、ノックも無く大声を上げながらカロルが部屋へと入って来た。
「申し訳ございません。急いでおりまして!すぐに本殿にいらしていただけませんか!?ヘレンティナ様が!」
「ヘレンティナがどうしたの!?」
ガタンッ─と音を立てて椅子から立ち上がるオードリナ様。
「今朝から体調が悪く、部屋でゆっくりされていたのですが、先程急に意識を失ってしまわれて…」
「何て事!カミリア、申し訳ないけど、私は今からヘレンティナを診に行って来るわ。ごめんなさいね。また会いに来るわ」
「いえ、私の事は気にしないで下さい。あの…お姉様の事、宜しくお願いします」
ペコリと頭を下げてお願いすると「カミリアは良い子ね」と、私の頭を優しくて撫でた後、オードリナ様は急いで部屋から出て行き……
「貴方がそんな事を大魔女様にお願いするなど、何と烏滸がましい事かしら?」
「………ごめんなさい」
そう謝れば、カロルはバタンッと大きな音を立てて扉を閉じた。
*****
「ヘレンティナ!一体どうしたの!?」
「医者に診てもらったのですが、原因が分からないのです」
寝室のベッドに苦しそに寝込んでいるヘレンティナ。そのヘレンティナの手を握って、泣きそう顔をしているのはカティエ王妃。自分の娘ではなくとも、大切に思っている事がよく分かる。
ーそれなのに、何故本当の娘のカミリアには……ー
「ヘレンティナを診るから、少しの間カティエは下がっていて」
「はい…オードリナ様、ヘレンティナを宜しくお願いします」
カティエが下がった後、オードリナが入れ替わるようにヘレンティナの手を握る。
「………?」
ーおかしい。ヘレンティナの魔力は…こんなものだったかしら?ー
ヘレンティナは白属性で、魔力もそれなりのものを持っているのに、その魔力が乱れる事はなく、常に安定していた。それなのに、今は魔力をあまり感じられない程に弱くなっている。正直、ここまで弱くなるのは異常だ。
「誰か!急いで聖女レオノールを呼んで来てちょうだい!」
私が、これ以上魔力を失うのを止める事はできるけど、失った魔力を回復させるには、同じ白属性か光属性の魔力持ちが必要だ。聖女レオノールなら、何とか対処できるだろう。
「まさか!ヘレンティナの魔力が──っ!?」
「そうよ、魔力がかなり弱くなっているわ。このままだと、命に危険が及ぶわ。私がこれ以上悪化しないようにするから、急いでレオノールを連れて来てちょうだい」
「分かりました!」
王妃カティエは返事をすると、自ら部屋を出て行った。
そして、もう一人───
「飲んでいなかったのね─────」
そう言いながら、本殿奥へと走って行く姿があった。
「それと、これ、今、若い娘たちに人気のパンケーキよ」
「これが…あのパンケーキ?」
私の知っているパンケーキは、茶色一色の丸い形をしたスポンジ?みたいなので、甘みは殆どない物。だけど、今私の目の前にあるのは、淡い黄色のフワフワしたスポンジ?みたいな物に、クリームがたっぷり乗せられていて、苺が盛られている。そのお皿の横に、琥珀色の液体が入ったグラスが置かれている。
「このままでも美味しいけど、この蜂蜜を掛けて食べると、もっと美味しくなるそうよ」
「はちみつ???」
コテン─と小首を傾げてオードリナ様を見ると、何故かオードリナ様は笑顔を浮かべたまま固まってしまった。
「とっ…兎に角、食べましょう。紅茶も一緒にね」
「はい。ありがとうございます。いただきます」
「────っ!!??」
ーこれ、本当に、あのパンケーキ!?ー
パンケーキって、少し焦げ味で硬めで……でも、このパンケーキはフワフワで、甘いクリームと甘酸っぱい苺と一緒に食べると更に美味しい!
「っっ!!??」
ー蜂蜜を掛けると、甘さが増して更に美味しい!ー
「…………」
オードリナ様が少し泣きそう?な顔をしているのは気になるけど、パクパクと食べてしまう。
それと、気になるのは3日前から見えるようになった金色の蝶。その数日前から、いつもの光が二つ見えていたけど、そこに蝶が現れた。それでも、私はいつもの光も蝶も見えていないフリをしている。見えているとバレたら、またあの薬を飲まされるから。その光が妄想によるものであっても構わない。あの薬を飲むよりましだし、黙っていればお母様に迷惑を掛ける事もないだろうから。
「あ、カミリアは4年前に現れた聖女と大神官には会った?」
「聖女様と大神官様ですか?会った事はまだありません。私に会う必要なんて…ないでしょうから」
聖女と大神官は、汚点とは真反対の存在だ。聖女と大神官は神や精霊に愛された者だけど、私は神や精霊に捨てられた者だから。
「そんな事はないわ。聖女のレオノールはカミリアに会いたがっていたわ。カミリアが良ければ、今度連れて来るわ」
「聖女様がそう言うなら、私は構いませんけど…」
ーきっと、お父様が反対するだろうけどー
私より二つ年上の女の子。この4年で、魔力のレベルもかなり上がったと言われていて、土地が穢れたと報告が上がれば、すぐ浄化に向かっているそうだ。本当に私とは全く違う存在だ。
「きっと、レオノールも喜んで──」
「オードリナ様!失礼します!」
「何事なの!?ノックも無く失礼でしょう!?」
2人で話していると、ノックも無く大声を上げながらカロルが部屋へと入って来た。
「申し訳ございません。急いでおりまして!すぐに本殿にいらしていただけませんか!?ヘレンティナ様が!」
「ヘレンティナがどうしたの!?」
ガタンッ─と音を立てて椅子から立ち上がるオードリナ様。
「今朝から体調が悪く、部屋でゆっくりされていたのですが、先程急に意識を失ってしまわれて…」
「何て事!カミリア、申し訳ないけど、私は今からヘレンティナを診に行って来るわ。ごめんなさいね。また会いに来るわ」
「いえ、私の事は気にしないで下さい。あの…お姉様の事、宜しくお願いします」
ペコリと頭を下げてお願いすると「カミリアは良い子ね」と、私の頭を優しくて撫でた後、オードリナ様は急いで部屋から出て行き……
「貴方がそんな事を大魔女様にお願いするなど、何と烏滸がましい事かしら?」
「………ごめんなさい」
そう謝れば、カロルはバタンッと大きな音を立てて扉を閉じた。
*****
「ヘレンティナ!一体どうしたの!?」
「医者に診てもらったのですが、原因が分からないのです」
寝室のベッドに苦しそに寝込んでいるヘレンティナ。そのヘレンティナの手を握って、泣きそう顔をしているのはカティエ王妃。自分の娘ではなくとも、大切に思っている事がよく分かる。
ーそれなのに、何故本当の娘のカミリアには……ー
「ヘレンティナを診るから、少しの間カティエは下がっていて」
「はい…オードリナ様、ヘレンティナを宜しくお願いします」
カティエが下がった後、オードリナが入れ替わるようにヘレンティナの手を握る。
「………?」
ーおかしい。ヘレンティナの魔力は…こんなものだったかしら?ー
ヘレンティナは白属性で、魔力もそれなりのものを持っているのに、その魔力が乱れる事はなく、常に安定していた。それなのに、今は魔力をあまり感じられない程に弱くなっている。正直、ここまで弱くなるのは異常だ。
「誰か!急いで聖女レオノールを呼んで来てちょうだい!」
私が、これ以上魔力を失うのを止める事はできるけど、失った魔力を回復させるには、同じ白属性か光属性の魔力持ちが必要だ。聖女レオノールなら、何とか対処できるだろう。
「まさか!ヘレンティナの魔力が──っ!?」
「そうよ、魔力がかなり弱くなっているわ。このままだと、命に危険が及ぶわ。私がこれ以上悪化しないようにするから、急いでレオノールを連れて来てちょうだい」
「分かりました!」
王妃カティエは返事をすると、自ら部屋を出て行った。
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そう言いながら、本殿奥へと走って行く姿があった。
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