召喚先は、誰も居ない森でした

みん

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28 隠された真実③

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「そのネックレスせいで、マシロの竜人としての力が隠されていたんだろう」
「え?ちょっ…わたし……人じゃない!?」

いやいや、まさかだよね!?今迄の人生で、一瞬たりとも人じゃなかった事なんてなかった。そりゃあ、動物に懐かれた事は───

「………私が動物に懐かれずに、逃げられたりしていたのは───」
「本能的に、マシロが最強だと感じていたんだろうね」と、ルパートさんがうんうんと頷く。

「子供の頃から健康体で、記憶のある限り病気になった事が無いのは──」
「竜人は基本的に体が丈夫で、病気になる事はあまりないし、怪我をしても治りが早いわね」と、リオナさんが言う。

「…………それじゃあ、私……これからどうなるんですか?私が本当に竜人の血を引いているとして、私はこれから竜になるんですか?それに……もう、元の世界には戻れないんですか?」

無理だと思うようにしていたけど、日本に帰れるなら、日本に帰りたかった。日本でお母さんが帰って来るのを待ちたかった。

「今一番の問題は、ベレニスだ」
「あ……」
「マシロが竜人になれば、分かる者にはマシロが誰の子なのか分かる。マシロの父親と、その父親の番であるベレニスには分かってしまう。そうなれば……ベレニスはマシロを殺そうとするだろうし、番のベレニスが望む事を、彼が叶えようとする可能性がある」

本来、特に竜人は子供を大切にする種族で、血縁関係関係無く見守る習性があるのだが、喩え、自身の子だと認知しても、自身の番がそう望めば、本能的にそうしてしまうのが番なのだと言う。
おまけに、そのベレニスの実家が公爵である為、ベレニスが私に手を掛けたところで、秘密裏に処理される可能性もあると。

「でも、結婚して子供も居るそうだから、落ち着いて、もう手を出して来る事もないかもしれないが…」
「そのあたりの判断は難しいだろう。楽観的には考えぬ方が良いだろう」

サンフォルトさんの考えに難色を示したのは竜王様だ。人間と竜人の考えの違いなのかもしれない。

「それなら、喩え魔法で力が隠れているとは言え、マシロが竜王国に居るのは危険ね。かと言って、オールステニアには王女とフィンレーが居るし……」
「ああ!フィンレー!!マシロ、今回の事は、フィンレーが申し訳なかった!」

思い出して慌てて謝って来るサンフォルトさん。何故サンフォルトさんが?と驚いていると、サンフォルトさんは、オールステニア王国の魔道騎士団の元団長で、フィンの元上司だったそうだ。そして、召喚の魔法陣をフィンに継承したのがサンフォルトさんだった。召喚の魔法陣は誰にでも扱える訳ではなく、力の持った者が力の持つ次代に引き継いで行くものなんだそうだ。その引き継ぎで、自分勝手に使用する事は禁止だと伝えたものの、フィンは私欲で使用し、私を召喚してしまったのだ。

「私はユマを見て、異世界からの召喚は二度としてはならないと思った。だから、少し……魔法陣に細工をしたんだ」

もともと、神託を受けていなければ正常に展開しないようになっている魔法陣を更に上書きして、展開しても空間が繋がらないようにしたそうだ。
ただ、私が召喚される前にイレギュラーが起こったのだと言う。

「先ずは、フィンレーが自分自身を異世界に転移させたんだ」

自分を異世界に転移させたヒフィン。そこで私と出会ってしまった。そして、フィンは問題無くこの世界に帰還。往復した事で、2つの世界の路が繋がってしまい、私を召喚する事ができたのは良いけど、魔法陣の使用条件が不完全だった為に、転移先がフィンの元ではなく、あの森になってしまったのだろう──と。

「どんな代償を払っても、あの魔法陣を破壊しておくべきだった……本当に申し訳無い」

何故サンフォルトさんが謝るのかが分からない。ある意味、サンフォルトさんも被害者じゃないだろうか?サンフォルトさんは神託に従っただけ。そして、その聖女を助けただけだ。

「サンフォルトさんが謝る必要はありません。悪いのは、私欲で魔法陣を使ったフィンです。何の責任も持たず行動したフィンが悪いんです」
「マシロ………ありがとう。君の優しさはユマと同じだな」

フッと笑うサンフォルトさん。ひょっとして、サンフォルトさんはお母さんの事───

「って……ちょっと待って………マシロの父親の番がベレニスで、元公爵令嬢だと言う事は───」

リオナさんが思い出したかのように言うと、竜王様が言葉を続ける様に口を開いた。



「そうだ。マシロの父親は、イーデン=ウィンストン。今回の摘発に参加していた竜騎士の1人だ」

庭園で、私の手を掴んで来た人だ。
あの人が、私のお父さん。



『会いたかった知り合いに似ていたから、咄嗟に手を掴んでしまった』



私への謝罪の手紙に書かれていた“知り合い”は、お母さんの事だったのかもしれない。


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