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30 聖女ユマ
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*引き続き、レナルド視点となります*
暫くカイルス様と話をした後、ユマはティータイムの途中だったなと思い、紅茶を新しく用意してからユマ達に声を掛けに行った。
コンコン──
「ユマ、大丈夫かな?一緒に皆でお茶を──」
と声を掛けながらドアを開けると、2人はソファーに座っていて、マシロは泣き疲れたのか、ユマに寄り添って寝てしまっていた。
「泣き疲れて寝てしまったみたい……」
そう言って、マシロの頭を撫でながらマシロを見つめるユマの目はとても優しい。赤くなっているのは、ユマも泣いていたからだろう。それも当たり前な事だ。ユマが再びこちらの世界に来てから3年。『もう娘には会えないの?』と、泣いている姿は痛々しいものだった。
「もし許されるなら、マシロをベッドに運んでも良いですか?」
とユマに声を掛けたのはカイルス様だ。
「カイルスさんが?」
「このままだと、マシロも体が辛くなるかもと思って」
「ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えてお願いするわ」
ユマが笑ってお願いすると、カイルス様がマシロを抱き上げて、ユマの案内で2階にあるユマの部屋のベッドへとマシロを運んで行った。あの冷たい印象の目のカイルス様も、マシロに向ける視線だけは柔らかい─と言う事に、本人は気付いていないだろう。
「あのカイルス様がなぁ……」
2人がリビングに戻って来ると、私達はお茶をしながらこれまでの事を話し合った。
「あくまで、私の予測でしかないが、ユマが再びこちらの世界に来てしまったのは、フィンレーがあちらの世界に転移する時にユマがこちらの世界に引き摺られたからだと思う」
おそらく、ユマが竜人の子を生んだ事で、僅かながらも2つの世界が繋がっていたんだろう。そこへ、フィンレーが無理矢理世界を跨いだ事で、2つの世界の均衡を保つ為にユマがこちらの世界に。
「それなら、フィンレーがこっちに戻って来る時に、ユマ様も元の世界に帰れたのでは?」
「ユマは、こっちに来てからは魔力を隠していたから、魔法陣には反応しなかったか、2人分の転移の魔力が無かったか、それとも……ユマがこちら側の人間として受け入れられたか………」
ユマは神託を受けて召喚された正式な聖女で、竜王国を救った聖女でもある。そもそも、ベレニス云々がなければ竜王国で生きて行く筈だったのだ。
「調べようがないから何とも言えないが、娘のマシロもこちらに来たと言う事は、もう元の世界には戻れない可能性の方が高いのだと思う」
いくら魔力を持っていようとも、体に掛かる負担は相応なもので、次に魔法陣を展開させても体が耐えれるかどうかは分からない。それも、2人の転移となれば、私もフィンレーも不可能に近いだろう。
「そう……それじゃあ、今回の色んな事の要因は、その魔道士のフィンレー=コペルオンなのね?」
「そうだ」
「茉白に会ったのは3年ぶりで、記憶の茉白より窶れてる感じなんだけど、何かあったのかしら?」
「それは………」
母親が行方不明になってからの生活が大変だったんだろう──と思っていたが、カイルス様から聞かされた話はとんでもないものだった。
フィンレーの身勝手による召喚。誰も居ない森で商品として拘束され暴力を振るわれた上に魔獣との対面。
フィンレーは、マシロを探さず放置。王女と婚約が決まった後に再会し、王女の機嫌を損ねて刺客を送り込まれ、マシロの身を護る為に竜王国に連れて行った。
「おそらく、王女殿下もあの魔道士も、マシロの事は諦めていないと思う」
竜王国に居れば安心─と思ったところでのベレニス様問題。何とも厄介な話だ。
「これからどうするか───」
「へぇ…茉白をそんな目に遭わせたのね………」
「「………」」
忘れていた──
「勝手に茉白を召喚して放置?魔力も知識も無い上、言葉が全く通じない茉白を放置?やってくれるじゃない………」
魔力を封印していたから、すっかり忘れていた──
「“知らなかった”で済まされる筈無いわよね?」
ユマが普通の聖女とは違った事を──
「全力で受け入れてやるわ」
「「…………」」
聖女とは、光属性の魔力を持ち、治癒や浄化の魔法に特価している者をさす。勿論、ユマもそうだ。でも、ユマの場合はそれだけではなかった。
光属性での攻撃魔法に加え、戦闘能力もずば抜けていたのだ。魔道騎士団の団長の私とも互角……それ以上だった。だから、ユマがベレニス様に狙われていたとしても、ユマが負ける事はなかった。ただ、お腹の中の子の為に闘わなかっただけなのだ。
「その前に、カイルスさん。茉白を何度も助けてくれて、ありがとう」
「騎士として、当たり前の事をしただけです」
「ふふっ。でも、その当たり前の事ができない騎士も居るみたいだから、ちゃんと教えてあげないとね?ふふっ………」
「「…………」」
色んな過去の記憶が蘇る。ユマが救ったのは竜王国だけではない。竜王国が荒れれば世界の均衡も崩れる。竜が狂えば大陸が火の海になる可能性もあった。それ故に、聖女としてのユマはどの国でも尊い存在であり尊い身分でもある。
ーさて、同じ聖女の王女はどう出る?ー
暫くカイルス様と話をした後、ユマはティータイムの途中だったなと思い、紅茶を新しく用意してからユマ達に声を掛けに行った。
コンコン──
「ユマ、大丈夫かな?一緒に皆でお茶を──」
と声を掛けながらドアを開けると、2人はソファーに座っていて、マシロは泣き疲れたのか、ユマに寄り添って寝てしまっていた。
「泣き疲れて寝てしまったみたい……」
そう言って、マシロの頭を撫でながらマシロを見つめるユマの目はとても優しい。赤くなっているのは、ユマも泣いていたからだろう。それも当たり前な事だ。ユマが再びこちらの世界に来てから3年。『もう娘には会えないの?』と、泣いている姿は痛々しいものだった。
「もし許されるなら、マシロをベッドに運んでも良いですか?」
とユマに声を掛けたのはカイルス様だ。
「カイルスさんが?」
「このままだと、マシロも体が辛くなるかもと思って」
「ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えてお願いするわ」
ユマが笑ってお願いすると、カイルス様がマシロを抱き上げて、ユマの案内で2階にあるユマの部屋のベッドへとマシロを運んで行った。あの冷たい印象の目のカイルス様も、マシロに向ける視線だけは柔らかい─と言う事に、本人は気付いていないだろう。
「あのカイルス様がなぁ……」
2人がリビングに戻って来ると、私達はお茶をしながらこれまでの事を話し合った。
「あくまで、私の予測でしかないが、ユマが再びこちらの世界に来てしまったのは、フィンレーがあちらの世界に転移する時にユマがこちらの世界に引き摺られたからだと思う」
おそらく、ユマが竜人の子を生んだ事で、僅かながらも2つの世界が繋がっていたんだろう。そこへ、フィンレーが無理矢理世界を跨いだ事で、2つの世界の均衡を保つ為にユマがこちらの世界に。
「それなら、フィンレーがこっちに戻って来る時に、ユマ様も元の世界に帰れたのでは?」
「ユマは、こっちに来てからは魔力を隠していたから、魔法陣には反応しなかったか、2人分の転移の魔力が無かったか、それとも……ユマがこちら側の人間として受け入れられたか………」
ユマは神託を受けて召喚された正式な聖女で、竜王国を救った聖女でもある。そもそも、ベレニス云々がなければ竜王国で生きて行く筈だったのだ。
「調べようがないから何とも言えないが、娘のマシロもこちらに来たと言う事は、もう元の世界には戻れない可能性の方が高いのだと思う」
いくら魔力を持っていようとも、体に掛かる負担は相応なもので、次に魔法陣を展開させても体が耐えれるかどうかは分からない。それも、2人の転移となれば、私もフィンレーも不可能に近いだろう。
「そう……それじゃあ、今回の色んな事の要因は、その魔道士のフィンレー=コペルオンなのね?」
「そうだ」
「茉白に会ったのは3年ぶりで、記憶の茉白より窶れてる感じなんだけど、何かあったのかしら?」
「それは………」
母親が行方不明になってからの生活が大変だったんだろう──と思っていたが、カイルス様から聞かされた話はとんでもないものだった。
フィンレーの身勝手による召喚。誰も居ない森で商品として拘束され暴力を振るわれた上に魔獣との対面。
フィンレーは、マシロを探さず放置。王女と婚約が決まった後に再会し、王女の機嫌を損ねて刺客を送り込まれ、マシロの身を護る為に竜王国に連れて行った。
「おそらく、王女殿下もあの魔道士も、マシロの事は諦めていないと思う」
竜王国に居れば安心─と思ったところでのベレニス様問題。何とも厄介な話だ。
「これからどうするか───」
「へぇ…茉白をそんな目に遭わせたのね………」
「「………」」
忘れていた──
「勝手に茉白を召喚して放置?魔力も知識も無い上、言葉が全く通じない茉白を放置?やってくれるじゃない………」
魔力を封印していたから、すっかり忘れていた──
「“知らなかった”で済まされる筈無いわよね?」
ユマが普通の聖女とは違った事を──
「全力で受け入れてやるわ」
「「…………」」
聖女とは、光属性の魔力を持ち、治癒や浄化の魔法に特価している者をさす。勿論、ユマもそうだ。でも、ユマの場合はそれだけではなかった。
光属性での攻撃魔法に加え、戦闘能力もずば抜けていたのだ。魔道騎士団の団長の私とも互角……それ以上だった。だから、ユマがベレニス様に狙われていたとしても、ユマが負ける事はなかった。ただ、お腹の中の子の為に闘わなかっただけなのだ。
「その前に、カイルスさん。茉白を何度も助けてくれて、ありがとう」
「騎士として、当たり前の事をしただけです」
「ふふっ。でも、その当たり前の事ができない騎士も居るみたいだから、ちゃんと教えてあげないとね?ふふっ………」
「「…………」」
色んな過去の記憶が蘇る。ユマが救ったのは竜王国だけではない。竜王国が荒れれば世界の均衡も崩れる。竜が狂えば大陸が火の海になる可能性もあった。それ故に、聖女としてのユマはどの国でも尊い存在であり尊い身分でもある。
ーさて、同じ聖女の王女はどう出る?ー
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