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お披露目会
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大森彩香は、聖女としての力を失った。
大森彩香が持っていた力は、その場に居た4人の聖女達に分け与えられた。
大森彩香は、力を失い倒れた後、そのまま眠ったままだ。
お披露目会については、予定通りに行われる事になった。
もともと、召喚の儀を行なった事事態が極秘事項であり、何人やって来たのか、どんな力を持っているのか知らされていなかった為、大森さんが抜けたところで問題は無いから─だそうだ。
“最初から、聖女は居なかった”
と言う事になるそうだ。
それに対して、私は「可哀想に…」なんて事は……思わなかった。「これで良かったんじゃないかな?」なんて思っている。
倒れた大森さんは、ウンディーネ様が一瞬にして王城内にある大森さんの部屋へと転移させた。それから、ウンディーネ様は私と、風の精霊さんらしき人は美緒さんと、火の精霊さんらしき人は樹君と少し話をした後、アシーナさんを連れて何処かへ転移して行った。多分、国王陛下の所だろう。
ー国王陛下の胃に、穴が空きませんようにー
と、心の中でお祈りしておきました。
「───少し…落ち着く為に…お茶でもしましょうか……。」
と、カミリア王女が声を掛けると、部屋の外で待機していた城付きの女官達がやって来て、あっと言う間にお茶のセッティングが始まったのだった。
お披露目会の夜会では、前日の出来事が嘘だったかのように何事もなく予定通りに進んで行った。変更があったのは、陽真がエスコートする筈だった大森さんが居なくなった為、この国の聖女─ケリーさんをエスコートする事になったぐらいだ。
ケリーさんは、4人の聖女さん達の中では一番年上の25歳。南の森の近くにある修道院で、聖女として汚れを祓ったり、怪我人や病気の人を癒やしたりしているそうだ。
聖女は結婚できない─事はなく、恋愛も結婚もある程度の自由はあるそうだ。
エスコート役の陽真は、見た目だけは文句無しにイケメンだけど、ケリーさんが陽真に対して顔を赤らめたり見惚れるような感じは……全く無かった。
国王陛下から、剣士だと紹介された時は、ホールに居たご令嬢方の目はキラキラ?ギラギラ?と輝いていたけど。
魔導士である樹君と美緒さんが紹介された時も、色んな子息令嬢が反応していたけど、精霊の加護持ちだと言われた瞬間、皆、冷静さを取り戻していた。
特に、樹君は火の精霊の加護持ち。皆、昔の話を知っているんだろう。樹君の嫌がるような事でもしたら───。
「───そして、この3人と共に召喚されながら、少しトラブルが起こり、2年前の時間に飛ばされたキョウコ。」
と、考え事をしているうちに、気が付けば私の紹介が始まっていた。
「キョウコは聖女でも、魔導士でも剣士でもない為、今回の巡礼には同行しない──が、キョウコも水の精霊の加護持ちである。そして──リュークレイン=アリスタ。」
国王陛下が名を呼ぶと、リュークレインさんが一歩前に出る。
「この度、めでたく──リュークレイン=アリスタとキョウコの婚約が調った。コレは、水、風、火の精霊の祝福も受けている。」
その言葉に、ホール内全体がざわめきに包まれた。
精霊の祝福を受けた事に驚く者、喜ぶ者、そして──フラフラとよろめくご令嬢達。
ーラノベあるあるの、“結婚したいイケメンの、まさかの婚約で気を失う令嬢達の図”だよね?ー
本当に、こんなイケメンさんの相手が私ですみません。でも──誰にも譲る気は……ないので……譲りませんよ?
“精霊の祝福”を受けた婚約は、余程の事が無い限り解消される事はない。例え、陽真が何を言って来ようとも。
チラリと陽真に視線を向けると、エスコートをしているケリーさんと並んで立ったままで、私とも距離がある。この場では、何もする気配がなくてホッとする。
念の為と、アシーナさんやリュークレインさんが色々と警戒していたけど、お披露目会は何事も無く無事に終わったのだった。
お披露目会から3日経っても、大森さんは眠ったままだった。
体内に流れていた強い魔力が一気に無くなり、一種の魔力の枯渇状態に陥っているらしい。本来、“魔力の枯渇=死”なのだけど、今回の枯渇に関しては精霊達が与えた魔力を、その精霊達が無効化した─と言う事で、死に至る事はなかったのでは?との事だった。どれ位掛かるかは分からないけど、体力が回復すれば目覚めるそうだ。
問題があるとすれば、この事実を大森さんが素直に受け入れるかどうか──だけだろう。
「………」
ー大森さんが、ひと暴れする姿しか思い浮かばないー
と思うのは、私だけでは………ないよね?
兎に角、大森さんが眠ったままでも、目覚めても、一週間後に浄化巡礼が始まる事には変わりはないようです。
大森彩香が持っていた力は、その場に居た4人の聖女達に分け与えられた。
大森彩香は、力を失い倒れた後、そのまま眠ったままだ。
お披露目会については、予定通りに行われる事になった。
もともと、召喚の儀を行なった事事態が極秘事項であり、何人やって来たのか、どんな力を持っているのか知らされていなかった為、大森さんが抜けたところで問題は無いから─だそうだ。
“最初から、聖女は居なかった”
と言う事になるそうだ。
それに対して、私は「可哀想に…」なんて事は……思わなかった。「これで良かったんじゃないかな?」なんて思っている。
倒れた大森さんは、ウンディーネ様が一瞬にして王城内にある大森さんの部屋へと転移させた。それから、ウンディーネ様は私と、風の精霊さんらしき人は美緒さんと、火の精霊さんらしき人は樹君と少し話をした後、アシーナさんを連れて何処かへ転移して行った。多分、国王陛下の所だろう。
ー国王陛下の胃に、穴が空きませんようにー
と、心の中でお祈りしておきました。
「───少し…落ち着く為に…お茶でもしましょうか……。」
と、カミリア王女が声を掛けると、部屋の外で待機していた城付きの女官達がやって来て、あっと言う間にお茶のセッティングが始まったのだった。
お披露目会の夜会では、前日の出来事が嘘だったかのように何事もなく予定通りに進んで行った。変更があったのは、陽真がエスコートする筈だった大森さんが居なくなった為、この国の聖女─ケリーさんをエスコートする事になったぐらいだ。
ケリーさんは、4人の聖女さん達の中では一番年上の25歳。南の森の近くにある修道院で、聖女として汚れを祓ったり、怪我人や病気の人を癒やしたりしているそうだ。
聖女は結婚できない─事はなく、恋愛も結婚もある程度の自由はあるそうだ。
エスコート役の陽真は、見た目だけは文句無しにイケメンだけど、ケリーさんが陽真に対して顔を赤らめたり見惚れるような感じは……全く無かった。
国王陛下から、剣士だと紹介された時は、ホールに居たご令嬢方の目はキラキラ?ギラギラ?と輝いていたけど。
魔導士である樹君と美緒さんが紹介された時も、色んな子息令嬢が反応していたけど、精霊の加護持ちだと言われた瞬間、皆、冷静さを取り戻していた。
特に、樹君は火の精霊の加護持ち。皆、昔の話を知っているんだろう。樹君の嫌がるような事でもしたら───。
「───そして、この3人と共に召喚されながら、少しトラブルが起こり、2年前の時間に飛ばされたキョウコ。」
と、考え事をしているうちに、気が付けば私の紹介が始まっていた。
「キョウコは聖女でも、魔導士でも剣士でもない為、今回の巡礼には同行しない──が、キョウコも水の精霊の加護持ちである。そして──リュークレイン=アリスタ。」
国王陛下が名を呼ぶと、リュークレインさんが一歩前に出る。
「この度、めでたく──リュークレイン=アリスタとキョウコの婚約が調った。コレは、水、風、火の精霊の祝福も受けている。」
その言葉に、ホール内全体がざわめきに包まれた。
精霊の祝福を受けた事に驚く者、喜ぶ者、そして──フラフラとよろめくご令嬢達。
ーラノベあるあるの、“結婚したいイケメンの、まさかの婚約で気を失う令嬢達の図”だよね?ー
本当に、こんなイケメンさんの相手が私ですみません。でも──誰にも譲る気は……ないので……譲りませんよ?
“精霊の祝福”を受けた婚約は、余程の事が無い限り解消される事はない。例え、陽真が何を言って来ようとも。
チラリと陽真に視線を向けると、エスコートをしているケリーさんと並んで立ったままで、私とも距離がある。この場では、何もする気配がなくてホッとする。
念の為と、アシーナさんやリュークレインさんが色々と警戒していたけど、お披露目会は何事も無く無事に終わったのだった。
お披露目会から3日経っても、大森さんは眠ったままだった。
体内に流れていた強い魔力が一気に無くなり、一種の魔力の枯渇状態に陥っているらしい。本来、“魔力の枯渇=死”なのだけど、今回の枯渇に関しては精霊達が与えた魔力を、その精霊達が無効化した─と言う事で、死に至る事はなかったのでは?との事だった。どれ位掛かるかは分からないけど、体力が回復すれば目覚めるそうだ。
問題があるとすれば、この事実を大森さんが素直に受け入れるかどうか──だけだろう。
「………」
ー大森さんが、ひと暴れする姿しか思い浮かばないー
と思うのは、私だけでは………ないよね?
兎に角、大森さんが眠ったままでも、目覚めても、一週間後に浄化巡礼が始まる事には変わりはないようです。
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