初恋の還る路

みん

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第一章

聖女召喚とイレギュラー

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眩い金色の光が消え、金色の魔法陣も消えた後には、2人の男女が立ち竦んでいた。

1人はー黒い髪を右側の耳下辺りで緩く括り、胸元辺り迄髪を垂らしている。黒い瞳。年は成人しているだろうか?少し幼く見える女性だ。

もう1人はーミューからは後ろ姿しか見えていない男性。黒色の短髪。身長は、ギリュー様と同じ位だろうか?

服装を見てハッとした。

ーこの大陸の人間ではないー

いや、似ているような服装を着ている国もある。あるのだが…頭の中で

ー違うー

と声がする。何故だか分からない。魔素が落ち着き不快感も無くなった筈なのに、心臓がドクドクと酷く波打っている。

「ーここは…何処ですか?」

女性が胸元で両手をギュッと握り締め、震えを押さえながら声を出した。
その声で我に戻った第二王子が口を開いた。

「失礼しました。ここはアルム王国です。私は、このアルム王国の第二王子、ルドヴィル=ファルカ=アルムと言います。詳しい説明は後程ゆっくりさせて頂きたいと思います。まず…貴女方のお名前を教えて頂けませんか?」

流石第二王子。先程の動揺した感じなどおくびにも出さずキラースマイルで対応している。

うん。先程真っ青な顔をした女性も、ほんの少し赤みがさした。震えは止まっていないが。

ミューは、自身の嫌な心臓の鼓動を落ち着かせようと、軽く目を伏せ深呼吸を繰り返す。

「ーアルム王国?」

男性が囁く。

「はい。アルム王国です。」

「ー聞いた事が…無い…国名だな…」

誰かが息を飲む。

やはり…異世界から来たのか…。

私と神官長はフードを目深に被っているので、どんな表情をしているのかは分からない。第二王子と魔導師長は、それでも表情は変わらなかった。流石?だなと思う。ジョシュアは固まっていて…ギリューに至っては更に目がキラキラと輝いていた。

安定だなー

そう思っていると、女性の体がグラリと傾いた。
「危ないー!」

咄嗟に、横に居た男性が、その女性を抱き留めた。どうやら、女性が気を失ったようだ。

「ジョシュア、急いで医師を呼び、この2人がゆっくりできるように部屋を準備するように手配しろ!」

「分かりました」

第二王子の指示を受け、ジョシュアが直ぐ様召喚の間から転移していった。

「色々混乱する事もあるだろうが、取り敢えずここから移動して、彼女を医師にみせたいのだが…良いだろうか?」

「…」

男性は、女性を抱き抱えたまま動かず暫く沈黙した後

「分かりました。このまま放って置く事もできませんから。お願いします。」

「良かった。医師に診てもらって落ち着いたら、必ずお話ー今の状況を説明させて頂きます。
このまま、彼女を運べますか?もし無理であればー」

「大丈夫です。このまま俺が運びます。」

第二王子の問い掛けに、男性が返答し女性を抱え直し立ち上がった。

「では、私がお2人と共に転移しましょう!」

ギリューが目を輝かせながら手をあげた。第二王子は魔力無しなので、魔法陣を展開する事ができないのだ。

「ギリューは、いつでも何処ででもギリューだな」
と呆れ顔で第二王子が肩をすくめた。

「お褒めにあずかり光栄です!」

褒めてない!!と、突っ込みたいのを我慢する。

それでも、気を失った女性が心配なので、そのままギリューが2人と一緒に転移して行った。

召喚の間に残ったのは、第二王子と魔導師長と神官長とミューの4人。

「ーどう思う?やはり…異世界人か?」

第二王子が問う。

「ーおそらくはー」

魔導師長が、ひくい声を更に低くして答えた。

「ローニー様も、そうお思いか?」

「おそらくは…そうでありましょうな。」

「そうか…。それと…何故2人も?過去にもあったのか?」

それにはミューが答えた

「過去の文献は一通り熟読しましたが、2人ーと言うのも、男性が召喚されたと言う事は今まで一度もありません。」

「そうか…。しかし、これもリーデンブルク様の思し召しなのだろう。これが、例えイレギュラーだったとしても、こちら側の勝手に巻き込んだ事には変わりがないのだ。誠心誠意向き合うだけだ。」

第二王子は両手を握り締め、3人が転移して行った場所を見詰めながら囁いた。

「では、取り敢えず私達も移動しましょうか」

魔導師長の呼び掛けに頷き、魔法陣を展開させ4人同時に転移した。



「召喚された女性ですが、特に病気や怪我は無いそうです。精神的に疲れたのだろうと言うことです。」

一刻程して、召喚された女性に付けた侍女のサリーが、瑠璃宮殿にある魔導師長の執務室に報告しに来た。

女性の方はまだ眠っているようだが、男性の方は元気だそうだ。
第二王子と神官長は、今の状況の説明と、今後の方針についての話し合いをしに、国王陛下のもとに行っており、執務室には魔導師長とミューとギリューだけであった。

「では、男性の方だけでも先に話しますか?」

「いや。男性の方も少し休んでもらった方がいいだろう。それに、話をするなら、2人一緒の方が良いだろう。
サリー、男性の方にも今日は休むよう言ってくれ。お腹が空いているようであれば、何か用意を。
女性が目覚めて、2人共が落ち着いたら話をしたいから、その時に呼んでくれと伝えてくれ」

「かしこまりました」

一礼して、サリーは執務室から退室した。
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