初恋の還る路

みん

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第一章

義姉妹

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「それでは、時間になりましたら呼びに参りますので、それまではゆっくりとお寛ぎ下さいませ。」

お茶の準備を終えた後、そう言ってカリーもリザもエルライン付きの侍女も退室し、部屋には私とエルラインの2人だけになった。

さて、何を話そうかしら?取り敢えず、婚約に関してのフォローかしら?と、思案していると

「あの…お義姉様、婚約に関してなのですが…本当に私で良かったのでしょうか?」

「良かったのでしょうか?とは?公爵様側が望んだ事なのよ?良いに決まっているでしょう?」

「…そうではなくて…お義姉様は自分には無理だと仰いましたが…本当はお義姉様だって…公爵夫人に成り得る程の力量をお持ちではないですか…。淑女としてのマナーだって…。ただ、社交デビューしていないってだけで…」

あぁ…この子は、本当にちゃんと私を見ているのか。

「…エルライン、ありがとう。でもね、例えエルラインが言うように、私に公爵夫人になる力量があったとしても、社交を蔑ろにしているようでは駄目なのよ。デビューしてないから何て、言い訳にはならないわ。カーンハイル公爵は四大公爵家の筆頭でもあり、代々宰相を勤める王家の忠信。ご婦人方を束ねる為にも社交は大事なのよ。私には無理だわ。私は…エルライン、あなたなら出来ると思っているの。だから、エルラインが婚約者になって良かったと本当に思っているわよ?」

「お…義姉…さま…」

顔を真っ赤にして…泣いているー

「え?エルライン!?何故泣いてるの!?ひょっとして、この婚約が嫌だったの!?」

「違います!嬉しくて!!」

「え?嬉しい??」

ちょっと意味が分からないー

「お義姉様に褒めてもらえて…とっても嬉しくて!!」

えーそこ!?ひょっとして、執務室での涙目も私がこの子を褒めたからなの?感動してるの??

「私、お義姉様みたいに立派な女性になりたくて…お義姉様はお顔は勿論ですが、所作の一つ一つもお綺麗で…初めてお会いした時から、ずっと憧れていたんです。それで、お義姉様みたいになれたらって…少しでも近付けたらって…それで一生懸命頑張って来たんです。その…お母様の手前、お義姉様に声を掛けたりは出来なかったのですが…。」

真っ赤になった両頬を、両手でおさえ泣きながら語り出す。

よく、あの野心家(?)の母親から純粋培養できたなーうん。可愛い。
ー前世では独りっ子だった。だからだろうか?勿論、前世を思い出す前から、兄の事は大好きだった。でも、前世を思い出してからは、"妹"と言う存在が余計に可愛くて仕方無く見えるのだ。義理ではあるが、妹には変わりない。しかも、私を慕ってくれている。うん。可愛い(笑)

「こんな引きこもりの私を慕ってくれるなんて…エルラインは変な子ね?でも…嬉しいわ。ありがとう。ふふっ…これから…お義母様が居ない時だけだけど、エルと呼んでも良いかしら?」

「!勿論ですわ!!どうぞ、エルと呼んで下さい!!」

力いっぱい、嬉しそうにエルラインーエルが声を上げる。それは淑女としてはどうかと思うが、とても可愛いと思った。
もっと早くーエルと話をしていれば良かった…。後どれ位この子と姉妹として会えるのだろうか。ミューとして前に進む時に、私はこの子を傷付けてしまうのだろうか?とにかく、今日はめいいっぱい許される限り、エルを可愛がろう。



ー後どれ位ー


そう思っていたのに…。これが最後になるなんて、この時の私は思ってもいなかった。








エルと今迄の空白を埋めるように、沢山お喋りをした。それでも1時間位だっただろうか?夜会に出発する前に身嗜みを整えなければと言う事で、エル付きの侍女が早目にエルを迎えに来た。
「もっとお話をしたかったのですが…。お義姉様、また、きっと、絶対に一緒にお茶をして下さいね?」
と、名残惜しそうな顔をしながら、侍女に引き摺られるように部屋を後にした。

「エルって、本当に可愛いわね。本当に、あのお義母様の子なの?」

「お嬢様、失礼ですよ…」

ーリザ、やっぱり否定しないのねー

「では、お嬢様も身嗜みを整えましょうか」

「えぇ。リザ、宜しくね。」











「お父様、今気付いたのですけど…私、今日の夜会に参加する意味がありましたか?」


あれから、カーンハイル公爵様は、夜会前に宰相としての仕事があると、一足先に王宮へと向かった。そして、父の指示で義母とエルとルティウス様が同じ馬車に。私と父が同じ馬車にと、二台の馬車で王宮に向かう事になった。今、この馬車の中には私と父の二人だけ。リザもレイナイト邸でお留守番である。

「どう言う意味だ?」

本当に意味が分からないと言うような顔で言われる。

「もともと、私は私の婚約者だったルティウス様にエルラインを守る為に参加させられた訳ですよね?ルティウス様の婚約者がエルラインに決まったのならば、私は必要なかったのではないでしょうか?」

「あぁ、そう言う事か。必要性ね…あるのはあるが…それは、また夜会が終わったら説明しよう。それに、"参加"で噂が回ってるからなぁ…」

参加で噂が回ってる?

「…よく分かりませんが…ここまで来ましたから、参加しますけどね。後程のお話、楽しみにしておきますわ。」
と微笑めば、父は困ったように笑った。


そして、遂に王宮に到着したのである。
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