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第一章
閑話ーエルライン視点ー
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今日は、私の社交デビューの日。
この日をどれだけ待ちわびただろう?
デビュタントとして夜会に参加する事も嬉しいが、お義姉様と一緒に参加できると言う事が、とても楽しみだった。
私の母が、ライラ様の後妻としてレイナイト侯爵家に迎え入れられたのは、私が3歳の時だった。お義姉様に初めて会った時の事は、幼いながらもハッキリ覚えている。
「今日から、お前達の義母になるキャスリーンと、義妹になるエルラインだ。2人とも、挨拶をしなさい。」
父であるレイナイト侯爵が言うと、先ずは義兄であるコーライル様が挨拶をする。
「…初め…まして。コーライルです。」
お義兄様は、ショックを受けたような真っ青の顔をしながら挨拶をした。
その横で今にでも泣きそうに下を向いていたお義姉様だったが、次に顔を上げた時にはそんな事をおくびにも出さず
「ミシュエルリーナです。よろしくお願いしますわ。」
と、フワリと微笑みながら挨拶をしてくれた。
その微笑みに目を奪われた。自分と二つしか変わらないのに。貴族令嬢とはこういうものなのかと…。私もこんな令嬢になれるだろうか?いや、なりたい!
それからの私は、お義姉様のような令嬢になる事が目標になった。お義姉様に少しでも近付きたくて、マナーレッスンだって勉強だって頑張った。カリー曰く、お義姉様はマナーもダンスも勉強も完璧なんだとか。勿論、お義兄様も優秀らしい。
それでも、何故かお母様は勿論、お父様も、お義姉様やお義兄様を褒める事は一切無かった。幼い頃はそれが不思議だったが、ある日気が付いた。
ーそうか。お母様にとって、お義姉様とお義兄様は自分にとって邪魔者だったライラ様の子だから、疎んでいるのだ。お父様が2人に対して無関心なのは、何故かは分からないけどー
それでも、私にとってお義姉様は私の憧れの存在だった。
そんな憧れのお義姉の婚約者だった筈のルティウス様が、私の婚約者になったと言われた時は心臓が止まるかと思った。カーンハイル公爵様だけは、お義姉様の事を心配していたが、ルティウス様本人が私を望んでいると。お義姉様より私の方が公爵夫人に相応しいと言う。
ー皆、お義姉様の事をみてないの?ー
不満が口から出そうになった時、お義姉様自身が、私が公爵夫人になるに相応しいと言ってくれた。憧れだったお義姉様に褒められて嬉しくて、泣きそうになるのをグッと我慢した。
それから、お義姉様とお茶をしながらたくさんお話した。
『エルと呼んでも良いかしら?』
もう嬉しくて、私は今日死んでしまうのでは?と思う位だった。
夜会が始まり、お義姉様とお父様の後ろから、ルティウス様にエスコートされながら付いて行く。国王両陛下と王弟殿下に挨拶をし、ルティウス様とファーストダンスを踊った。ルティウス様とのダンスはとても楽しかった。
「喉が渇いてないかい?何か、飲み物を貰って来るから、エルラインはここに居て。」
ルティウス様はそう言って、私から離れて行った。ふと、お義姉様とお父様が居る方を見ると、王弟殿下がお義姉様と話しているのが目に入った。
ーあの…滅多に社交の場に出て来ない王弟殿下。浮いた噂も無い、魔導師長でもある王弟殿下が…お義姉様にー
お義姉様は自覚が全く無いと思うが、とても綺麗な人だ。お義姉様がこの会場に入った瞬間、この場に居た令息どころか令嬢さえ目を奪われていた。お父様が側にいなければ、今頃ダンスの申し込みで令息達が群がっていただろう。お義姉様目当てでこの夜会に参加した令息がたくさんいるーと噂を耳にしていた。お父様が壁になって、行動を起こせる令息は居なかったけど。
色々思い巡らせていると
「はい、エルライン。ジュースを貰って来たよ。」
ルティウス様が優しく微笑みながら、ジュースを手渡してくれる。
「ありがとうございます。」
ジュースを受け取り、ありがたく飲む。
「エルライン、ルティウス殿。少し落ち着いたら、私と一緒に挨拶回りに行こうか。」
ついさっきまでお義姉様と壁際に居た筈のお父様が、私達の側まで来てそう言った。
「レイナイト侯爵様…それは構いませんが、ミシュエルリーナ嬢は良いのですか?」
ルティウス様が少し眉間に皺を寄せてお父様に質問をする。
「あぁ。ミシュエルリーナは帰ったからいいよ。私達3人だけで充分だ。」
「…ミシュエルリーナ嬢は…侯爵家の令嬢だと…自覚が無いのですか?」
お父様の答えに、ルティウス様は更に不快感を表した。ルティウス様は、貴族としての矜持がある。貴族として何の役目も果たそうとしないお義姉様の事を、良くは思っていないのだ。
「…ルティウス様には…お義姉様がどの様に見えているのですか?」
無意識のうちに、私の口から出ていた。
ーしまった!ー
そう思い、急いで謝罪を口にする。
「す…すみません。不躾な事を言いました。」
そっとルティウス様とお父様の顔を伺ったが、ルティウス様は気を悪くしたような雰囲気はなく、思案するような顔をしていた。
お父様に至っては、無表情に無言だった。
3人ともが暫く黙り込む。そして、その沈黙を破ったのはお父様だった。
「まぁ良い…。今から挨拶に行くぞ。」
「「はい。」」
私は、ルティウス様にエスコートされながら、お父様の後に付き、挨拶回りを始めた。
この日をどれだけ待ちわびただろう?
デビュタントとして夜会に参加する事も嬉しいが、お義姉様と一緒に参加できると言う事が、とても楽しみだった。
私の母が、ライラ様の後妻としてレイナイト侯爵家に迎え入れられたのは、私が3歳の時だった。お義姉様に初めて会った時の事は、幼いながらもハッキリ覚えている。
「今日から、お前達の義母になるキャスリーンと、義妹になるエルラインだ。2人とも、挨拶をしなさい。」
父であるレイナイト侯爵が言うと、先ずは義兄であるコーライル様が挨拶をする。
「…初め…まして。コーライルです。」
お義兄様は、ショックを受けたような真っ青の顔をしながら挨拶をした。
その横で今にでも泣きそうに下を向いていたお義姉様だったが、次に顔を上げた時にはそんな事をおくびにも出さず
「ミシュエルリーナです。よろしくお願いしますわ。」
と、フワリと微笑みながら挨拶をしてくれた。
その微笑みに目を奪われた。自分と二つしか変わらないのに。貴族令嬢とはこういうものなのかと…。私もこんな令嬢になれるだろうか?いや、なりたい!
それからの私は、お義姉様のような令嬢になる事が目標になった。お義姉様に少しでも近付きたくて、マナーレッスンだって勉強だって頑張った。カリー曰く、お義姉様はマナーもダンスも勉強も完璧なんだとか。勿論、お義兄様も優秀らしい。
それでも、何故かお母様は勿論、お父様も、お義姉様やお義兄様を褒める事は一切無かった。幼い頃はそれが不思議だったが、ある日気が付いた。
ーそうか。お母様にとって、お義姉様とお義兄様は自分にとって邪魔者だったライラ様の子だから、疎んでいるのだ。お父様が2人に対して無関心なのは、何故かは分からないけどー
それでも、私にとってお義姉様は私の憧れの存在だった。
そんな憧れのお義姉の婚約者だった筈のルティウス様が、私の婚約者になったと言われた時は心臓が止まるかと思った。カーンハイル公爵様だけは、お義姉様の事を心配していたが、ルティウス様本人が私を望んでいると。お義姉様より私の方が公爵夫人に相応しいと言う。
ー皆、お義姉様の事をみてないの?ー
不満が口から出そうになった時、お義姉様自身が、私が公爵夫人になるに相応しいと言ってくれた。憧れだったお義姉様に褒められて嬉しくて、泣きそうになるのをグッと我慢した。
それから、お義姉様とお茶をしながらたくさんお話した。
『エルと呼んでも良いかしら?』
もう嬉しくて、私は今日死んでしまうのでは?と思う位だった。
夜会が始まり、お義姉様とお父様の後ろから、ルティウス様にエスコートされながら付いて行く。国王両陛下と王弟殿下に挨拶をし、ルティウス様とファーストダンスを踊った。ルティウス様とのダンスはとても楽しかった。
「喉が渇いてないかい?何か、飲み物を貰って来るから、エルラインはここに居て。」
ルティウス様はそう言って、私から離れて行った。ふと、お義姉様とお父様が居る方を見ると、王弟殿下がお義姉様と話しているのが目に入った。
ーあの…滅多に社交の場に出て来ない王弟殿下。浮いた噂も無い、魔導師長でもある王弟殿下が…お義姉様にー
お義姉様は自覚が全く無いと思うが、とても綺麗な人だ。お義姉様がこの会場に入った瞬間、この場に居た令息どころか令嬢さえ目を奪われていた。お父様が側にいなければ、今頃ダンスの申し込みで令息達が群がっていただろう。お義姉様目当てでこの夜会に参加した令息がたくさんいるーと噂を耳にしていた。お父様が壁になって、行動を起こせる令息は居なかったけど。
色々思い巡らせていると
「はい、エルライン。ジュースを貰って来たよ。」
ルティウス様が優しく微笑みながら、ジュースを手渡してくれる。
「ありがとうございます。」
ジュースを受け取り、ありがたく飲む。
「エルライン、ルティウス殿。少し落ち着いたら、私と一緒に挨拶回りに行こうか。」
ついさっきまでお義姉様と壁際に居た筈のお父様が、私達の側まで来てそう言った。
「レイナイト侯爵様…それは構いませんが、ミシュエルリーナ嬢は良いのですか?」
ルティウス様が少し眉間に皺を寄せてお父様に質問をする。
「あぁ。ミシュエルリーナは帰ったからいいよ。私達3人だけで充分だ。」
「…ミシュエルリーナ嬢は…侯爵家の令嬢だと…自覚が無いのですか?」
お父様の答えに、ルティウス様は更に不快感を表した。ルティウス様は、貴族としての矜持がある。貴族として何の役目も果たそうとしないお義姉様の事を、良くは思っていないのだ。
「…ルティウス様には…お義姉様がどの様に見えているのですか?」
無意識のうちに、私の口から出ていた。
ーしまった!ー
そう思い、急いで謝罪を口にする。
「す…すみません。不躾な事を言いました。」
そっとルティウス様とお父様の顔を伺ったが、ルティウス様は気を悪くしたような雰囲気はなく、思案するような顔をしていた。
お父様に至っては、無表情に無言だった。
3人ともが暫く黙り込む。そして、その沈黙を破ったのはお父様だった。
「まぁ良い…。今から挨拶に行くぞ。」
「「はい。」」
私は、ルティウス様にエスコートされながら、お父様の後に付き、挨拶回りを始めた。
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