初恋の還る路

みん

文字の大きさ
56 / 105
第二章

第二騎士団長襲来?

しおりを挟む
「今回の巡礼に、私も同行する事が決まったので、挨拶に来ました。」

と、第二騎士団長は爽やかな笑顔を輝かせた。
私の横に座って居るギリューは、ややひいている。勿論、私はドン引きだけど。

「えーっと…それだけで…私達は呼び出されたんですか?」

と、少しギリューがぎこちなく、机を挟んで自身の目の前に座っている魔導師長に問う。

「いや…。第二騎士団長これはついでと言うか…呼び出す理由に使っただけだ。」

「はい?」

呼び出す理由に使っただけ??ギリューは勿論、私も頭の中は"?"だらけだ。
第二騎士団長はと言うと、意味が解るのか、肩をすくめている。

「そろそろ、タクマ殿が限界だろうな…と。」

「「……」」

私とギリューは顔を見合わせる。

「どうして、そう思ったんですか?」

「お前達2人は…恋愛ごとには…疎いからな…」

「「……」」

騎士団長の言葉に、ギリューも私も押し黙る。

ーそんな筈は…あるのか?ー

「へー…そうなのか…ミュー嬢って…そうなのか…へー……いな」

と、左手で口元を隠しながら第二騎士団長が繰り返し呟く。最後の方は小さ過ぎて聞こえなかったが、何やら魔導師長が第二騎士団長を冷たい目で見ていた。

「まぁ…確かに、タクマ殿は限界のようでしたね。本当に、あの2人には一体何があったんですかね?」

ギリューは肩をすくめながら言う。

本当に…何があったのか…。そう言えば、5年位は会ってなかったと言っていなかっただろうか?5年と言う事は…2人は今25歳。私が死んだのが18歳だから…少なくとも2年は付き合いがあったんだろう。別れたのなら、それなりにもつれたりしたのかもしれない。
でも…こんな状態のままで巡礼を無事行う事ができるのだろうか?

「それで?第二騎士団長様の要件はそれだけですか?挨拶と言われても、魔導師こちらは、まだ誰が同行するか決まってないんですよね?」

と、私が魔導師長に話をふると

「私とミューが行く事になった。」

「「はぁ!?」」

ギリューも私もビックリだ。

いやいやいやいや!私は解るけど、何故魔導師長なの!?そこはギリュー様でしょ!?

「過去の聖女と言うのは、もれなく巡礼に同行した誰かと…婚姻を結んだらしい…。」

魔導師長が遠い目をしながら口を開いた。

「第二王子に王弟である魔導師長わたし。伯爵家子息であり第二騎士団長であるジルベルト。聖女様と同郷である琢磨殿。聖女様を囲うのには…完璧な布陣なんだろう…。ジルベルトと同じ伯爵であるギリューは…上級位魔導師だが…伯爵位は継がないし魔法馬鹿だからな。ある意味除外されたんだよ。」

「よし!そこは良い判断です!!」

ギリューはガッツポーズしながら声を上げる。

「え?ギリュー様、除外されて嬉しいの!?あのユキ様ですよ?聖女様で、庇護欲そそられる可愛らしさの塊なユキ様ですよ?」

"聖女"の肩書きを抜いても、雪はこの世界ででも文句無しに可愛いと思う。性格は…ちょっとよく分からなくなったけど、どの世界でだって嫁が可愛いと言うのは嬉しい事じゃないの?

「「「……」」」 

あれ?気のせいかな?3人ともが可哀想な子を見るみたいな目で私を見て来る。
いやー何故か、第二騎士団長だけは口元を隠して震えてるけどー

「…純粋か!?」

「はいー!?」

第二騎士団長が急に立ち上がり私の両肩をガシッと掴みながら叫んだ。肩を掴まれた勢いに驚いて、その拍子にフードがずれ上がり、フード越しではなく、結構な至近距離で第二騎士団長と目が合った。

「っ!?」

第二騎士団長は、私の両肩掴んだまま目を見開いて固まった。

「え?何?この可愛い子…」

「えっと…ミューですね。」

第二騎士団長の変な質問に、ギリューが呆れ顔で答える。それでも、第二騎士団長は未だに私の両肩を掴んだままだ。

「そろそろ、離してもらえませんか?第二騎士団長様…。」

「え?何?そんな可愛い顔で睨まれても怖くないよ?」

えっと…第二騎士団長この人、壊れたの?ある意味怖いんですけど?と思いながらギリューをチラリと見ると、

「…普通の反応だと思うよ…」

と言われた。

ー何故だっ!?ー

ギリューが助けてくれないと焦っていると

「…お前、そろそろその手を離せ…」

と、魔導師長がそう言いながら第二騎士団長の手を外してくれたので、またフードを被り直す。

「顔を隠してもったいないよ?勿論、朱殷宮殿に来る時は隠してた方が良いかもしれないけどね。」

もったいないとか関係ない。魔法で髪色や瞳の色を変えてはいるが…顔の造りは魔法でも変えられない。そう、基本の顔は"ミシュエルリーナ"なのだ。社交デビューもまともにしていなかったから、ミューの顔を見たところで、ミシュエルリーナに結び付ける事はできないだろうけど…。ここには今、魔導師長が居る。

ーこの人だけは…侮れないー

ミシュエルリーナとして、まともに会ったのはあの日だけ。でも…気付かれたら…思考に囚われそうになり、無理矢理意識を第二騎士団長に向けた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

2度目の結婚は貴方と

朧霧
恋愛
 前世では冷たい夫と結婚してしまい子供を幸せにしたい一心で結婚生活を耐えていた私。気がついたときには異世界で「リオナ」という女性に生まれ変わっていた。6歳で記憶が蘇り悲惨な結婚生活を思い出すと今世では結婚願望すらなくなってしまうが騎士団長のレオナードに出会うことで運命が変わっていく。過去のトラウマを乗り越えて無事にリオナは前世から数えて2度目の結婚をすることになるのか? 魔法、魔術、妖精など全くありません。基本的に日常感溢れるほのぼの系作品になります。 重複投稿作品です。(小説家になろう)

【完結】一番腹黒いのはだあれ?

やまぐちこはる
恋愛
■□■ 貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。 三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。 しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。 ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。

あなたが残した世界で

天海月
恋愛
「ロザリア様、あなたは俺が生涯をかけてお守りすると誓いましょう」王女であるロザリアに、そう約束した初恋の騎士アーロンは、ある事件の後、彼女との誓いを破り突然その姿を消してしまう。 八年後、生贄に選ばれてしまったロザリアは、最期に彼に一目会いたいとアーロンを探し、彼と再会を果たすが・・・。

ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
第二回ドリコムメディア大賞一次選考通過作品。 ドジな公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間、前世の記憶を取り戻したのだ。 そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。 「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。 冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強騎士の恋愛物語になるはずです。でも、その騎士も訳アリで…。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。 皆様のお陰でHOTランキング第4位になりました。有難うございます。 小説家になろう、カクヨムでも連載中です。

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

笑い方を忘れた令嬢

Blue
恋愛
 お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。

あなたのためなら

天海月
恋愛
エルランド国の王であるセルヴィスは、禁忌魔術を使って偽の番を騙った女レクシアと婚約したが、嘘は露見し婚約破棄後に彼女は処刑となった。 その後、セルヴィスの真の番だという侯爵令嬢アメリアが現れ、二人は婚姻を結んだ。 アメリアは心からセルヴィスを愛し、彼からの愛を求めた。 しかし、今のセルヴィスは彼女に愛を返すことが出来なくなっていた。 理由も分からないアメリアは、セルヴィスが愛してくれないのは自分の行いが悪いからに違いないと自らを責めはじめ、次第に歯車が狂っていく。 全ては偽の番に過度のショックを受けたセルヴィスが、衝動的に行ってしまった或ることが原因だった・・・。

政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅
恋愛
きみのことなんてしらないよ 関係ないし、興味もないな。 ただ一つ言えるのは 君と僕は一生一緒にいなくちゃならない事だけだ。

処理中です...