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第四章ー私の還る場所ー
癒えた体
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『あなたは…どうしたい?』
「どうしたい?…とは?」
何がだろうか?「戻らない」と言う選択肢は無い。
『あなたは、"ミシュエルリーナ"ではなく、"ミュー"として生きて行く事を選んだ。その為に今迄自分の魔力の色を偽って来たわね?』
「はい…。」
『自分の魔力の色を変えると言う事は、自分に負担を掛けると言う事。それは、あなたが一番分かっていると思うけれどね。』
確かに、魔力の色を変えると言う事は自分に負担を掛ける。その分魔力は使うし、本来の力を発揮する事もできない。
『今のあなたは…銀髪に淡いラベンダー色の瞳をしているわ。』
ウォルテライト女神様が右手を私に向けると、私の目の前に鏡が顕れた。
確かに、髪はミューである銀髪だが、瞳は…本来の色ー淡いラベンダー色ーだった。
ーこの色を自分で見るのは…久し振りだー
『銀髪はレイナイト侯爵の色。そして…その淡いラベンダー色の瞳は…ライラの色。』
そう、母は、ピンクに近い…私よりも更に淡いラベンダー色だった。
『リーデンブルクが言った事覚えてる?』
「あっ!」
『ふふっ。ミューは、リーデンブルクの力と加護の影響で、魔力の色が変わったかもしれないのよ?ミューが望むなら銀髪と淡いラベンダー色の瞳でミューを固定してあげるわ。嫌なら…青色の瞳で固定するけれど。どちらにしても、もう、ミューが自分に魔法を掛けて偽ると言う事をしないようにしてあげる。いえ、させて欲しい。私には…それ位しか…ミューに恩を返せないから…。』
「ウォルテライト女神様…」
ウォルテライト女神様は、本当に申し訳なさそうな顔をしていた。
そして、もう一度私に問いかける。
『さぁ、ミューは…どうしたい?』
「私はー」
「そう言えば…ウォルテライト女神様。私が意識を失ってから、どれ位経っているのですか?」
私は、左腕に大怪我を負い、体に穢れも流し込まれた。かなり酷い状態だったと思うのに、体が軽いのは勿論のこと、大怪我を負った筈の左腕には、掠り傷一つ残っていなかった。
おそらく、ウォルテライト女神様の住みかとしているこの湖で、私の体を浄化し治癒したと言う事だろう。
ならば、一体どれ程の時間が掛かったのだろうか?そんなにお腹が空いたなぁ…とかはないから…数時間とか?と思っていたのだけど…
『一週間よ』
「はい!?一週間!?」
まさかの一週間!
ーえっ!?何で!?お腹も空いてなければ喉が渇いたって事もないのにっ!?ー
『ふふっ。この湖には神々の力が宿っているのよ。そのお陰で、ミューの怪我が治り、穢れを浄化する事ができたの。勿論、お腹が空く事も喉が渇く事もないわ。むしろ、以前より健康体になったのではないかしら?』
「…はい…本当に…体が軽くて…って…え?一週間!???」
そんなに経っているとは…思わなかった。
ならば、あの巡礼に同行していた人達は、もうそれぞれの国に戻り日常生活に戻っているのだろう。
勿論…魔導師長も…。
『目が覚めたら、私が彼の元に送ると言ったのだけどね…』
「彼の元に?」
ー何の事だろう?ー
『彼、毎日この湖に来ていたわ。今日も…そろそろ来るのではないかしら?ふふっ。』
ウォルテライト女神様は、楽しそうに笑う。
『ミュー、本当にありがとう。あなたのお陰で、"歪み"は完璧に修正できたわ。ミューは嫌かもしれないけれど、私とリーデンブルクの加護は…外さないわ。ミューには、幸せになってもらいたいから。』
ー女神様2人の加護…有難いやら恐ろしいやら…ですー
『そんなに、怖がらないでね。』
「すみません。ありがとうございます。」
ふと思い出し、ウォルテライト女神様に確認する。
「あの…一つ確認させてもらっても良いでしょうか?」
『何かしら?』
「私…魔導師長に、今回の巡礼の旅が終わったら、前世の事やミシュエルリーナの事を告白しようと思っていたんです。魔導師長に…話しても良いでしょうか?勿論、口外しないようにお願いはします。」
『勿論。彼なら何の問題もないわ。ライラの事も…。全て話してもらっても大丈夫よ。それによって、何かに影響を与えると言う事も無いわ。』
「ありがとうございます。」
ーこれで、心置きなく魔導師長に話せるー
『あぁ、やっぱり来たわね。』
ー何が?ー
と問う前に
『それじゃあ、ミュー。私はここに居てあなたの幸せを祈っているわ。』
そう言いながら優しく微笑んで、ウォルテライト女神様が右手を軽く振ると、私の体が金色の光で包まれた。あまりの眩しさにキュッと目を瞑り…一瞬の浮遊感の後、足が地に着いた感覚と、体を優しく撫でるように流れる風を感じて、ゆっくりと目を開けた。
私は、キリアンの森の湖の畔に立って居た。
服装は…ローブは着ていないが、魔導師の服を着ていた。アーシムと戦ってボロボロだった筈だけど、綺麗になっていた。
ーよし、魔力も十分あるし、このまま瑠璃宮殿に転移してー
と魔法陣を展開させようとして…
グイッと、後ろから私のお腹に誰かの腕が回され、背中から抱き寄せられた。
「どうしたい?…とは?」
何がだろうか?「戻らない」と言う選択肢は無い。
『あなたは、"ミシュエルリーナ"ではなく、"ミュー"として生きて行く事を選んだ。その為に今迄自分の魔力の色を偽って来たわね?』
「はい…。」
『自分の魔力の色を変えると言う事は、自分に負担を掛けると言う事。それは、あなたが一番分かっていると思うけれどね。』
確かに、魔力の色を変えると言う事は自分に負担を掛ける。その分魔力は使うし、本来の力を発揮する事もできない。
『今のあなたは…銀髪に淡いラベンダー色の瞳をしているわ。』
ウォルテライト女神様が右手を私に向けると、私の目の前に鏡が顕れた。
確かに、髪はミューである銀髪だが、瞳は…本来の色ー淡いラベンダー色ーだった。
ーこの色を自分で見るのは…久し振りだー
『銀髪はレイナイト侯爵の色。そして…その淡いラベンダー色の瞳は…ライラの色。』
そう、母は、ピンクに近い…私よりも更に淡いラベンダー色だった。
『リーデンブルクが言った事覚えてる?』
「あっ!」
『ふふっ。ミューは、リーデンブルクの力と加護の影響で、魔力の色が変わったかもしれないのよ?ミューが望むなら銀髪と淡いラベンダー色の瞳でミューを固定してあげるわ。嫌なら…青色の瞳で固定するけれど。どちらにしても、もう、ミューが自分に魔法を掛けて偽ると言う事をしないようにしてあげる。いえ、させて欲しい。私には…それ位しか…ミューに恩を返せないから…。』
「ウォルテライト女神様…」
ウォルテライト女神様は、本当に申し訳なさそうな顔をしていた。
そして、もう一度私に問いかける。
『さぁ、ミューは…どうしたい?』
「私はー」
「そう言えば…ウォルテライト女神様。私が意識を失ってから、どれ位経っているのですか?」
私は、左腕に大怪我を負い、体に穢れも流し込まれた。かなり酷い状態だったと思うのに、体が軽いのは勿論のこと、大怪我を負った筈の左腕には、掠り傷一つ残っていなかった。
おそらく、ウォルテライト女神様の住みかとしているこの湖で、私の体を浄化し治癒したと言う事だろう。
ならば、一体どれ程の時間が掛かったのだろうか?そんなにお腹が空いたなぁ…とかはないから…数時間とか?と思っていたのだけど…
『一週間よ』
「はい!?一週間!?」
まさかの一週間!
ーえっ!?何で!?お腹も空いてなければ喉が渇いたって事もないのにっ!?ー
『ふふっ。この湖には神々の力が宿っているのよ。そのお陰で、ミューの怪我が治り、穢れを浄化する事ができたの。勿論、お腹が空く事も喉が渇く事もないわ。むしろ、以前より健康体になったのではないかしら?』
「…はい…本当に…体が軽くて…って…え?一週間!???」
そんなに経っているとは…思わなかった。
ならば、あの巡礼に同行していた人達は、もうそれぞれの国に戻り日常生活に戻っているのだろう。
勿論…魔導師長も…。
『目が覚めたら、私が彼の元に送ると言ったのだけどね…』
「彼の元に?」
ー何の事だろう?ー
『彼、毎日この湖に来ていたわ。今日も…そろそろ来るのではないかしら?ふふっ。』
ウォルテライト女神様は、楽しそうに笑う。
『ミュー、本当にありがとう。あなたのお陰で、"歪み"は完璧に修正できたわ。ミューは嫌かもしれないけれど、私とリーデンブルクの加護は…外さないわ。ミューには、幸せになってもらいたいから。』
ー女神様2人の加護…有難いやら恐ろしいやら…ですー
『そんなに、怖がらないでね。』
「すみません。ありがとうございます。」
ふと思い出し、ウォルテライト女神様に確認する。
「あの…一つ確認させてもらっても良いでしょうか?」
『何かしら?』
「私…魔導師長に、今回の巡礼の旅が終わったら、前世の事やミシュエルリーナの事を告白しようと思っていたんです。魔導師長に…話しても良いでしょうか?勿論、口外しないようにお願いはします。」
『勿論。彼なら何の問題もないわ。ライラの事も…。全て話してもらっても大丈夫よ。それによって、何かに影響を与えると言う事も無いわ。』
「ありがとうございます。」
ーこれで、心置きなく魔導師長に話せるー
『あぁ、やっぱり来たわね。』
ー何が?ー
と問う前に
『それじゃあ、ミュー。私はここに居てあなたの幸せを祈っているわ。』
そう言いながら優しく微笑んで、ウォルテライト女神様が右手を軽く振ると、私の体が金色の光で包まれた。あまりの眩しさにキュッと目を瞑り…一瞬の浮遊感の後、足が地に着いた感覚と、体を優しく撫でるように流れる風を感じて、ゆっくりと目を開けた。
私は、キリアンの森の湖の畔に立って居た。
服装は…ローブは着ていないが、魔導師の服を着ていた。アーシムと戦ってボロボロだった筈だけど、綺麗になっていた。
ーよし、魔力も十分あるし、このまま瑠璃宮殿に転移してー
と魔法陣を展開させようとして…
グイッと、後ろから私のお腹に誰かの腕が回され、背中から抱き寄せられた。
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