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みん

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フェリシティとシリル

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*エスタリオン視点になります*






学園内におけるフェリシティ=エルダインは

“第一王子の婚約者候補の1人であり、幼馴染みでもあるが、今では第一王子からは見放されている”

“フェリシティ=エルダイン、第一王子から距離を取っている”

概ね、この2パターンの見解に分かれている。一番多い見解は

“ティアリーナ=グレイソンが婚約者になる”だった。

高位貴族の者程、フェリに対する印象が良い。
ティアリーナ嬢の様に誰もが目を惹く容姿ではないが、笑った顔が……可愛らしいのだ。誰に対しても態度が変わらない─いや、には変わらない。マナー、教養は完璧。色んな意味で、モテない筈が無い。それを、フェリは何一つ理解していない。
兎に角、フェリが候補から外れる事を願っている者は多い。

ーそんな奴等にフェリを渡す気はないけどー

予め、俺がフェリと一緒に居てもおかしくないようにと、担任の先生には俺とフェリが幼馴染みで気安いと言う事を仄めかせば、担任はすんなりとフェリを俺の世話役にと指名した。そこに、グレイシーが付いてくるのも想定内。更に良かったのは、エルドが付いてきた事。エルドは第一騎士団の見習い騎士でありながら、メルヴィルの側近候補。脳筋かと思えば、物事を冷静に判断ができる奴だった。
兎に角、この4人で居る事が当たり前の状況を作れた事は本当に良かった。

何かとフェリに視線を向ける子息達には、俺からを向けておいた。
最近では、その中にメルヴィルが入っているが─

メルヴィルあいつは、本当に何がしたいんだ?ー

フェリに訊けば、謝罪?のようなモノはあったらしいが、アレは謝罪では無く“自己満足に浸っているだけ”と、一蹴していた。文句の一つや二つ、言ってやりたかったと。なんとも逞しいご令嬢だ。

それから、表立っての変化は無いが、時折誘われるお茶会では、言葉を交わす事もあるらしい。視線は相変わらず合わない?─合わせない?ようにしているようだが。

まぁ、このままいけば、フェリが婚約者になる事はないだろう。選ばれないか───かだ。

ー本当に、楽しみだよなー






******

俺は今、フェリとココの3人でエルダイン領に帰る馬車に乗っている。
この前日に得た情報によると、メルヴィルが婚約者に贈るティアラの宝石を決めたらしい。流石にどの色かまでは分からなかったけど…。決定迄後半年程。それ迄に、もっと外堀を埋めておかないとな─と、思いながら馬車の窓から見える風景に目をやった。

2日掛けてエルダイン領迄やって来て、出迎えてくれたのはシリル殿だった。

「エスタリオン様、ようこそ。フェリシティ、おかえり。」

「シリル殿、出迎えありがとう。冬休みの間は、宜しく頼む。」

「──お兄様、お出迎え、ありがとうございます。」

フェリは、ぎこちなくシリル殿にお礼を言い、シリル殿は無表情でコクリと頷いた。

ーよく見れば、口元が緩んでいるんだけどなぁー

フェリがシリル殿を事はないだろうから、そんな些細な変化にはきっと気付いていない。

「エスタリオン様、いつでも良いので、時間がある時にお話ししたい事があるんですが──。」

「俺はいつでも大丈夫だから、シリル殿の都合の良い時間を指定してくれれば良いよ。」

「ありがとうございます。それでは───」

と、シリル殿とは翌日のランチをとってからと言う事になった。




翌日

「私はココと買い物に行って来るわ。」

と、雪が積もる前に─と、ウキウキしながらフェリとココは街へと繰り出して行き、俺は、約束通りにシリル殿の執務室へとやって来た。

「そう言えば、辺境伯を見掛けていないが……」

「父は一昨日から明後日迄、領地内視察に行っているんです。それで、父が不在の時の方が良いかと思って…。」

と言いながら、シリル殿がいくつかの束になった書類を取り出した。

「これは?」

「見ていただければ分かります。ゆっくりで良いので、確認して下さい。」

シリル殿はそれだけ言うと、目の前にある紅茶を口にした。






「これは……………」

「その書類があれば、直ぐに動く事ができると思います。何も無いとは思いますが……の動きは未知数ですからね。向こうは、喜んで受け入れると言ってくれています。なので、そこは安心して下さい。」

「これは、辺境伯は知っているのか?」

「いえ。私の独断です。父が──いまいちどうなのか分からなくて。毒なのか薬なのか……。父の事は、エスタリオン様に一任させてもらいます。」

「──分かった。」

「それと、こちらを───」

と、シリル殿が更に書類を取り出した。

「コレは、まだ調べただけで、裏はとれていません。と言うか、これが精一杯だったんです。真偽も分かりませんが、一応エスタリオン様にお渡ししておきます。」


「───凄いな…よくここ迄……。倣ったのか?」


「いえ。は用心深いですからね。私にも何も言いませんし、隠していますよ。私が、運良く気付いただけです。」

と、なんてことない─と言うように、シリル殿はサラリと言うが──

「─俺のに────」
「ご遠慮させていただきます。」
「──だよな……。」

と、2人で少し笑った。














❋❋❋補足❋❋❋

婚約者候補について。
候補に上がる前に、無理、駄目な場合は候補から外されます。なので、候補に上がった者は、婚約者に選ばれたら素直に受け入れます。なれなかった場合は、王家がしっかりフォローしてくれるので、ラッキーと言う感じです。
フェリシティも、候補になった当時はメルヴィルとは仲が良かったので、今の状態が異例と言う感じです。
王妃教育を受けていますが、第二王子が立太子したとしても、第二王子の候補にはなりません。
あくまでも、メルヴィルの婚約者候補です。

王太子側近候補について。
メルヴィルが立太子しない場合、第二王子の側近に─となりますが、拒否もできます。メルヴィルが立太子しなかった場合、優秀な側近候補であれば、手放すのは惜しい─と言った感じです。
側近候補達も、学園生活において、色々試されていると言った感じなので、本人達もメルヴィルには厳しい?目で見て判断しています。自分達の未来も掛かっているので。
王家側としても、イエスマンはいらないので。



そんな感じの、ゆるふわ?な設定ですみません!
_:( ´o`」∠):_


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