巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第四章ー王都ー

謁見とお願い


「ハル殿…大丈夫か?」

「はい、緊張はしてますけど…だっ大丈夫です。」


ー緊張し過ぎて震えてるけどー

スリッと、震える手にレフコースが顔を擦り付けてくる。

ーくぅっ…モフモフしたいけど…我慢だー



王様との謁見は、ビックリする位あっと言う間に実現される事になった。

ー王様も、丁度暇?な時間があったんだろうか?ー


ハルは知らない。国王や宰相だけではなく、第一騎士団団長のルイスや各部署のお偉い方が必死に仕事を終わらせ、グレンの謁見の為に時間を作ったと言う事を。この日の国王の公務は、この謁見だけだった。








パルヴァン様と一緒に登城し、侍従らしき人に案内されて来たのは、前にも一度だけ来た事がある王様の執務室だった。その扉の前に立つ。

「陛下、パルヴァン辺境伯様とルディ様をお連れ致しました。」

「あぁ、入ってくれ。」


静かに扉が開かれて、パルヴァン様と共にその部屋に入った。





「陛下、早々に時間を作って頂いて感謝します。」

パルヴァン様がそう言い、私もパルヴァン様と共に礼をとる。

「2人とも、顔を上げて、そこに座ってくれ。」

顔を上げて部屋を視線だけで見渡すと、私がお願いした人達が既に椅子に座っていた。

王様、宰相様、王太子様、ダルシニアン様、カルザイン様、ハンフォルト様の6人。

パルヴァン様と私は、王様に促され3人掛けのソファーに並んで座った。レフコースは、今は姿を隠してもらっている。

「それで?大事な話とは何だろうか?先日の夜会での事なら…まだ進展は無いのだが…」

と、少し困った様な顔をする王様。

「いや、その話ではない。そもそも、1日2日で進展があるとも思っていないから安心して欲しい。」

「そうですか…」

ー何だろう?全く安心できないのは…私だけだろうか?ー

チラリと周りを窺い見ると…王様の顔が心なしか引き攣っていた。

「…コホン…。では、どの様なお話しでしょうか?」

と、宰相様が仕切り直した。

パルヴァン様が、私にチラリと視線を向ける。
私はその視線にコクリと頷き、王様を見据えながらスッとソファーから立ち上がった。

「先ずは…ご挨拶と謝罪を…。私はパルヴァン邸付きの薬師ルディです。先日の夜会に、カテリーナ様と共に参加させていただいていました。ですが─。私の本当の名前は…ハル。以前、王城こちらでお世話になっていた…ハルです。名を偽り参加をして…すみませんでした。」

ペコリと頭を下げる。
そのままの姿勢で待ってみるが、誰からも反応が無くて心配になって、ソロソロと顔を上げる。

「…え?ハル…殿?って…は?」

ダルシニアン様が軽くパニクっている。

王様と王太子様と宰相様とハンフォルト様は、瞠目したままだ。

カルザイン様は…ただ静かに私を見ていた。

「…ハル殿は…聖女様達と一緒に、元の世界に還ったのでは…なかったのか?」

王様が、何とかと言った感じで言葉にする。

「えっと…私だけ…還れなかったんです…。」

へにょりと…多分情けない顔になっている自覚はあるが、何とか笑って答えた。

「…還れなかった?」

王様が酷く困惑した顔で言う。

「その事に関して…何故還れなかったか…その理由が分かりまして…。その説明をする為に、を呼んでも良いでしょうか?」

「…あ、あぁ…それは構わないが…。」

王様の許可を得たので、私はレフコースを呼ぶ。

急に現れたレフコースに王様達も驚いたようだが、パルヴァンの巫女の話から始め、そのまま夜会の話、そして、フェンリルであるレフコースと名を交わした事を話した。

「パルヴァンの巫女とフェンリルの事は、王族側我々も伝え聞いている。そうか…そのフェンリルが…。レフコース殿、また新たなる主に出会えて良かった。」

王族も、パルヴァン様と同じ様に、レフコースに微笑んでくれた。

「それで─だ。ハル殿。どうして還れなかった事を今迄黙っていたのだ?」

ーやっぱり、ソレ、訊かれるよね…ハッキリ言ってしまっても良いのかなぁ?ー

と、言い躊躇っていると

「ハル殿が王城で、どんな扱いをされたか…忘れた訳ではあるまいな?それで、誰が王家に助けを求めようと思うのだ?」

と、それはそれはボス然りな顔で、パルヴァン様が言いはなった。これには、王様をはじめ、誰も反論する事はなかった。

「えっと…あの…その事に関しては、私も謝罪を受け取ってますから、もういいと言えばいいんですけど…えっと…その通りなんです…すみません。それで、視察の際にも…偽っていました。すみませんでした。」

「…本当に…全く気が付かなかった…。でも、以前とは見た目が全く違うが、どちらが本当の容姿なんだ?」

王太子様が、ようやく我に戻ったようだ。

「今の姿が本来の私です。以前は…髪の色は黒色に染めていたんです。瞳は、眼鏡で違う色に見えるようにしていました。還れなくなって、私の時が進むようになったので、元の姿に戻ったんです。」

「そうか…それで、今回はどうして王城ここに?」

「ここで生きていく為に。逃げたり隠れたりするのではなくて、“ルディ”ではなく“ハル”として前に進む為に…せめて、お世話になった人には…伝えておこうと思って来ました。」

「それと…」


ーこれは、パルヴァン様にもまだ言っていない事だー


「パルヴァンに帰る前に…お願いしたい事があります。聞いて…いただけますか?」









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