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第六章ー帰還ー
中二病?
ビックリな事に─美樹さんと咲さんが
「有給休暇をもぎ取って来たわ!」
と言って、美樹さんの婚約者さんが不在である来週の火曜日迄、お泊まり女子会を続ける事になった。因みに、千尋さんは学校で担任クラスを受け持っている為、連休は難しい─と言う事で、美樹さんの家に泊まり、そこから学校に行く事になった。
「今日は土曜日だから、何処に行っても人がいっぱいいるよね…。琴ちゃんは、何処か行きたい所ある?」
「行きたい所…どこだろう?んー…行きたい所と言うか、日本だー!って感じられる物が食べたいです。」
「あー…それ、分かるわー。」
「うんうん。私達も、こっちに還って来てから暫くの間は、あちこち食べ歩いたよね?」
「よし!私達があの時食べた物を、もう一度琴音と一緒に回ろう!」
「あー、でも、私…お金…と言うか…私が住んでいた所って、どうなってるんだろう?」
ー私、気付くの…遅いよね?ー
2年も放ったらかしだもんね…色々アウトじゃないだろうか…。
「あー…琴音?落ち着いて聞いてくれる?」
色々考えていると、咲さんが申し訳なさそうに話し出した。
本当は良くないんだけど、お姉さん達がこっちに還って来てから、咲さんは警察官である事を利用して、私─春ノ宮琴音─について調べたそうだ。
そこで、私が借りていたワンルームマンションを見付けて、荷物を咲さんが預かってくれて、部屋は解約したと。
「勝手に解約してごめんね?琴音がこっちに還って来るかどうか分からなかったし、還って来たら来たで、私の部屋に泊めてあげたら良いか─と思って。兎に角、荷物は私が預かってるから、また返すわね。」
「ありがとうございます。」
「琴音は…ご両親は…亡くなっていたんだね…。」
「…はい…。」
父と母は、私が大学に入る直前、イギリスに住んでいる祖母に会いに行った先で飛行機事故に遭って─。その祖母も、それから1ヶ月後に亡くなったのだ。
だから─パルヴァン様やシルヴィア様、ゼンさんの優しさが、お父さんやお母さんみたいで…心がほっこり温かくなっていたのだ。
ーお礼の一つも…出来なかったなぁー
少し暗くなった空気をかき消す様に、咲さんがパンパンと手を叩き
「─よし!皆、出掛ける用意をするわよ!今から食べ歩きの旅に出るわよ!日帰りで!」
と、それからサクッと準備をして4人で食べ歩きツアーに繰り出した。
「あーお腹いっぱーい!!」
「いっぱい食べたー!」
もう、本当に─この4日間は食べまくった。
そう─。明日はいよいよ美樹さんの彼氏さんが帰って来る日だ。
「美味しい物、懐かしい物がいっぱい食べれて、嬉しかったし楽しかったです!でも、折角の週末とか、彼氏さんは…良かったんですか?デートとか…」
「あー…彼氏ね…」
と、咲さんは遠い目をして、低い声で呟いた。
「琴ちゃん…聞いて驚いてくれる?」
「え?驚く?」
美樹さんは少し怒ったような顔で話し出した。
「─浮気………。」
「琴ちゃん、覚えてるかなぁ?還ったら車でドライブに出掛けたいって言ってたの…。」
あぁ、確かに、そんな事を馬車の中で話した事があったな─と思い出す。
「咲、還って来て直ぐ位に、彼氏とドライブに行ったんだけどね…。その彼氏の車にね…後部座席の足元にね…落ちてたのよ─。」
「…落ちてた??」
ー何が?ー
「─私のじゃない、女物の下着が落ちてたのよ─。」
ーおうふっ…それは…完全にアウトですねー
咲さんは、ソレを予約していたホテルの駐車場で見付けて、それを手に持ち、無言で彼氏さんの手に握らせて、そのまま彼氏さんを無視して電車で自分の家迄帰って来たそうだ。
勿論、彼氏さんからは何度か電話が掛かって来たそうだが─
「吐かせてみたら、アイツ、二股してたのよ。だから、一発ひっぱたいて別れたわ!」
ーえっと…それは、何とも咲さんらしい別れ方…ですね?ー
「それでね、この話を知ったら、あのお馬鹿王太子が、喜んで迎えに来そうだよねって、話してたのよ。」
“お馬鹿王太子”
ーうん。確かに─。尻尾を振って迎えに来そうだー
尻尾─
いつも、フリフリしてたなぁ─
千切れないか心配になる位に─
「琴ちゃん?」
美樹さんに呼ばれて、ハッとする。
「─琴ちゃんは、やっぱり…あっちに戻りたい?」
「─え?」
美樹さんを見ると、何となく…何となくだけど、目が笑ってない笑顔をしていた。
「私ね…琴ちゃんを傷付けた人達に腹が立ってるの。まぁ…おそらくだけど、琴ちゃんの守り方を間違えただけなんだろうけど…。でもね、琴ちゃんがあっちに戻りたいって言うなら…その手立てが無い訳じゃ…ないんだよね─って言ったら…どうする?」
「「「─え?」」」
美樹さんの言葉に、私だけではなく、咲さんも千尋さんも反応した。
「私…自分でも“中二病か?”って思うんだけどね?多分…大丈夫だと思うんだよね…。まぁ…確証はないんだけど…。とにかく、琴ちゃんの気持ち次第かな?」
ー私…あっちの世界に…戻れる!?ー
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