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❋ループ編❋
1 はじまり
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「婚約破棄…ですか?」
「そうだ。」
「…………」
ここは、トルトニア王国の王城内にある応接室。そして、私の目の前に居るのは、トルトニア王国第二王子ハロルド様───と、トワイアル王国の第一王女であるジュリエンヌ様。その2人は、この応接室にある3人掛けのソファーに横並びに座っていて、その2人の向かい側に、私─エヴェリーナ=ハウンゼントが3人掛けのソファーに1人で座っている。
部屋の扉の近くに、ハロルド様の侍従と侍女が控えていて、今のハロルド様の言葉に僅かに反応したように、軽く息を呑んだ。あの2人は、この事を知らなかった…と言う事だろう。
「“解消”ではなく、“破棄”とした理由は何でしょうか?それと、念の為確認させていただきますが、この事は、国王両陛下は承諾済みなのでしょうか?」
「両陛下には、これからの話にはなるが、お前─エヴェリーナの行いを伝えれば、すぐ様納得していただけるだろう。」
「“行い”──ですか……。」
「今この場で、それらの行いを認め、反省して謝罪をすれば……修道院送りで済むだろう。」
パサッ─と、私の目の前に放り投げられた、数枚の書類にサッと目を通す。そこには、私の耳にも入って来ていた行いの数々が書かれていた。それらは、どれもこれも、エヴェリーナがやった事らしい行いであり、私には全く身に覚えのない行いの数々だ。
「………」
溜め息すら出ない。
ハロルド様の婚約者だからと、他者を見下し虐げる。
ハロルド様に色目を使う令嬢に、魔法で水を掛ける。
そのくせ、自分は令息達と仲良くお出掛け。
挙句───
留学生として来国しているジュリエンヌ=トワイアル第一王女殿下にも嫌がらせをしている。
だったかしら?
貴族達が通うトルトニア王国の王立学園に、ジュリエンヌ=トワイアル第一王女殿下が留学生としてやって来たのは1年前。同じ学年に第二王子のハロルド様が在籍していた為、ハロルド様と婚約者である私が、ジュリエンヌ様の対応をする事になった。
そのジュリエンヌ様は、とても可愛らしい王女だった。金色の髪に少し垂れ目がちのピンク色の瞳。
何より、彼女は、この大陸の創世神─アルクシェリア女神の遣いである黒龍の巫女の3人のうちの1人で、一番若い巫女だ。
アルクシェリア女神は大陸を創り、その大陸に15の国ができ、その15の国が取り囲むように大陸の中央に、自身の遣いである黒龍をはじめ、竜族の住まう竜王国を配置した。その竜王国と繋がっている国は2つだけ。それが、トルトニア王国とトワイアル王国だ。この2国以外の国と竜王国の間には海がある。船を使って渡ろうと思えば渡る事もできない事はないが、竜王国側として、“招かれざる客”であれば、辿り着けないと言われている為、海を渡って行く者は居ない。どれ程遠回りとなろうとも、トルトニアかトワイアルから許可をもらってから行くのが通常である。それ故、この2国は軍事に於いても突出して優秀であり、最強とも言われている為、他国からの侵略の心配など無く、かなり平和な国である。
“黒龍の巫女”とは、そのアルクシェリア女神の遣いであり、竜王国の王である黒龍の侍女兼癒やしを与える者の事を言う。国籍は関係無く、条件を満たした者が“黒龍の巫女”になれる。
条件はただ一つ─光属性の魔力を持ち、その魔力で黒龍を癒せる者だ。
光属性の魔力持ちは珍しいが、全く居ない訳ではない。平均にしても、各国に10人程居るそうだ。ただ、光の魔力を持ち癒やしの力が使えても、人間や獣人に効いても、それが黒龍や竜人には効かないのだ。そもそも、竜人とは殆ど病気はしないし、大怪我をしてもすぐに治癒する為、癒やしが要らない。では、何故、竜王である黒龍に巫女が必要なのかと言うと、膨大な魔力を持つ竜王は、その魔力を持って、アルクシェリア女神と繋がりを維持しつつ、この大陸の魔素の安定を図っている。その為、魔力が暴走したり乱れたりしないように、巫女達が竜王に癒やしを施すのだ。この大陸には黒龍の存在は重要であり、その黒龍に癒やしを与えられる巫女の存在は大きいもので、黒龍の巫女には色々な特権も与えられたりしているそうだ。ちなみに、黒龍の巫女としての義務さえ守れば、恋愛や結婚も自由らしいが、その恋愛や結婚相手には、必ず竜王国で調査され、問題があれば口を出される事はあるそうだけど、これは、黒龍の巫女を守る為には必要な事だろう。
そんな黒龍の巫女の1人、ジュリエンヌ様が何故竜王国から離れてトルトニア王国に留学生としてやって来たのか。
トワイアル王国の王女として、他国の知識を学びたいから──と言う理由だった。
「そうだ。」
「…………」
ここは、トルトニア王国の王城内にある応接室。そして、私の目の前に居るのは、トルトニア王国第二王子ハロルド様───と、トワイアル王国の第一王女であるジュリエンヌ様。その2人は、この応接室にある3人掛けのソファーに横並びに座っていて、その2人の向かい側に、私─エヴェリーナ=ハウンゼントが3人掛けのソファーに1人で座っている。
部屋の扉の近くに、ハロルド様の侍従と侍女が控えていて、今のハロルド様の言葉に僅かに反応したように、軽く息を呑んだ。あの2人は、この事を知らなかった…と言う事だろう。
「“解消”ではなく、“破棄”とした理由は何でしょうか?それと、念の為確認させていただきますが、この事は、国王両陛下は承諾済みなのでしょうか?」
「両陛下には、これからの話にはなるが、お前─エヴェリーナの行いを伝えれば、すぐ様納得していただけるだろう。」
「“行い”──ですか……。」
「今この場で、それらの行いを認め、反省して謝罪をすれば……修道院送りで済むだろう。」
パサッ─と、私の目の前に放り投げられた、数枚の書類にサッと目を通す。そこには、私の耳にも入って来ていた行いの数々が書かれていた。それらは、どれもこれも、エヴェリーナがやった事らしい行いであり、私には全く身に覚えのない行いの数々だ。
「………」
溜め息すら出ない。
ハロルド様の婚約者だからと、他者を見下し虐げる。
ハロルド様に色目を使う令嬢に、魔法で水を掛ける。
そのくせ、自分は令息達と仲良くお出掛け。
挙句───
留学生として来国しているジュリエンヌ=トワイアル第一王女殿下にも嫌がらせをしている。
だったかしら?
貴族達が通うトルトニア王国の王立学園に、ジュリエンヌ=トワイアル第一王女殿下が留学生としてやって来たのは1年前。同じ学年に第二王子のハロルド様が在籍していた為、ハロルド様と婚約者である私が、ジュリエンヌ様の対応をする事になった。
そのジュリエンヌ様は、とても可愛らしい王女だった。金色の髪に少し垂れ目がちのピンク色の瞳。
何より、彼女は、この大陸の創世神─アルクシェリア女神の遣いである黒龍の巫女の3人のうちの1人で、一番若い巫女だ。
アルクシェリア女神は大陸を創り、その大陸に15の国ができ、その15の国が取り囲むように大陸の中央に、自身の遣いである黒龍をはじめ、竜族の住まう竜王国を配置した。その竜王国と繋がっている国は2つだけ。それが、トルトニア王国とトワイアル王国だ。この2国以外の国と竜王国の間には海がある。船を使って渡ろうと思えば渡る事もできない事はないが、竜王国側として、“招かれざる客”であれば、辿り着けないと言われている為、海を渡って行く者は居ない。どれ程遠回りとなろうとも、トルトニアかトワイアルから許可をもらってから行くのが通常である。それ故、この2国は軍事に於いても突出して優秀であり、最強とも言われている為、他国からの侵略の心配など無く、かなり平和な国である。
“黒龍の巫女”とは、そのアルクシェリア女神の遣いであり、竜王国の王である黒龍の侍女兼癒やしを与える者の事を言う。国籍は関係無く、条件を満たした者が“黒龍の巫女”になれる。
条件はただ一つ─光属性の魔力を持ち、その魔力で黒龍を癒せる者だ。
光属性の魔力持ちは珍しいが、全く居ない訳ではない。平均にしても、各国に10人程居るそうだ。ただ、光の魔力を持ち癒やしの力が使えても、人間や獣人に効いても、それが黒龍や竜人には効かないのだ。そもそも、竜人とは殆ど病気はしないし、大怪我をしてもすぐに治癒する為、癒やしが要らない。では、何故、竜王である黒龍に巫女が必要なのかと言うと、膨大な魔力を持つ竜王は、その魔力を持って、アルクシェリア女神と繋がりを維持しつつ、この大陸の魔素の安定を図っている。その為、魔力が暴走したり乱れたりしないように、巫女達が竜王に癒やしを施すのだ。この大陸には黒龍の存在は重要であり、その黒龍に癒やしを与えられる巫女の存在は大きいもので、黒龍の巫女には色々な特権も与えられたりしているそうだ。ちなみに、黒龍の巫女としての義務さえ守れば、恋愛や結婚も自由らしいが、その恋愛や結婚相手には、必ず竜王国で調査され、問題があれば口を出される事はあるそうだけど、これは、黒龍の巫女を守る為には必要な事だろう。
そんな黒龍の巫女の1人、ジュリエンヌ様が何故竜王国から離れてトルトニア王国に留学生としてやって来たのか。
トワイアル王国の王女として、他国の知識を学びたいから──と言う理由だった。
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