贄の令嬢はループする

みん

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❋竜王国編❋

26 守るから

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「どうしても…行った方が良いんですか?」
「──────っっっ……だ…な……。」

私が我儘を言ったせいか、フィリベールさんはより一層眉間に皺を寄せて、イケメンもビックリするぐらいの恐ろしい顔になっている。

「すみません。もう我儘なんて言いません。誕生会に行きます。嫌ですけど行きますから、フィリベールさん……本当に宜しくお願いします!」

「あ、いや、別に怒っている訳では───。エヴェリーナが嫌がっているのは分かるが、喩え、この誕生会に出席しなかったとしても、また、同じ事の繰り返しになると思う。そうしたら、そのうち、向こうがを使ってくる可能性がある。それを使われれば……それこそ、エヴェリーナ達は断る事ができなくなるだろう?」
「………」

確かにそうだ。過去も、王族の権力を使われた訳ではなかったけど、王族側から望まれた事だと断る事ができず、婚約者になったのだ。

「なら、この誕生会に出席して、婚約者にならないと言う意思表示をした方が良いと思う。」
「それでも………意思表示をしても……望まれてしまったら?」

ハッキリとは口にしなかったけど、四度目では拒絶を表したのに、結局は婚約者になってしまった。

「それは、大丈夫だ。喩え第二王子がエヴェリーナに気があろうとも……望ませないようにするから。」
「どうやって?」

ーその自信は…どこからくるのか?ー

「それは秘密だ。兎に角、エヴェリーナは、俺に合わせてくれるか……黙って俺の背中にでも隠れていれば良いから。」

目を細めて笑うフィリベールさん。
私の手を握っていた手が私から離れていき、その手が今度は私の肩に掛っていた髪をすくい上げた。

「必ず守るから。」
「───っ!?」

そのすくい上げられた髪に……キスを……されて……

ーはう─────っー

変な声をあげそうになるのを我慢して、呑み込んだ。
恥ずかし過ぎて、フィリベールさんの漆黒の瞳から逃れるように視線を外すと、ニノンさんとバッチリ視線が合った。

「なっ─────」

ニノンさんも居た事を……すっかり忘れていた。

「ハウンゼントさん、私の事は気にしなくて大丈夫ですから。その辺に転がっている石とでも、空気とでも思ってもらえれば…ふふっ……」

ー“石”だとも“空気”だとも思えませんー

「後3ヶ月か……準備は全て俺がするから、エヴェリーナは今迄通り勉強を頑張ってくれ。」
「え?でも………」
「そうですよ。ハウンゼントさんは勉強をする為に竜王国ここに来ているんですから、勉強に集中して下さい。準備等に関する事も、私の方からハウンゼント侯爵にお伝えしておきますから。」
「何だか…申し訳無いんですけど……宜しくお願いします。」

これ以上断るのも悪いかな?と言う思いと、これで、今世は違う路に進めるのかもしれないと言う思いもあり、五度目の誕生会の準備は、フィリベールさんとニノンさんにお任せする事にした。










*エヴェリーナを寮迄送って行った後*


ー学園長室にてー
(ニノン視点)


「まさか、留学中の彼女にまで招待状が来るとは…しかも、王家を通して。」
「ハウンゼントさんは優秀ですし、貴族のマナーも完璧で、言葉の裏も読み切ってますからね。トルトニアの王家としては、是が非でも欲しい人材なんでしょうね。第二王子は、やはりハウンゼントさんを気にしているらしいですし……」
「────ちっ…」
「「舌打ち!」」

感情を露わにするのはフィリベール=スコルッシュ。
ようやく、彼本来の姿に近い状態に戻ってきた。そんな彼を優しい目で見ているは現学園長であるアリソン=ガーナード。アリソンも、ようやく安心した─と言うところだろう。

「ところで……はどうなっている?」
「あぁ……なら、今回も既に光属性が発現したそうだ。予定通りなら……来年だな。」
「そうか……アレには、絶対に近付けるな。」
「分かってますよ。近付いたところで、今回は……何もさせないけどね。」

あの女を切り捨てるだけなら、今すぐにでもできる。も、こればかりは反対する事も止める事もされないだろう。ただ、の許可が下りないだけ。



『切り捨てるで、俺の気が済むとでも…思っているのか?』



真っ白な顔をして、我が主の腕の中に収まっているしか目にした事はなかった。その白い顔とは反対に、体は赤色で染め上がっていた。
また会える─と分かっていながら、どんな思いで口を開いていたのか……想像すらできない。どれ程の苦痛だっただろう……。

「……それにしても……“濃藍”ですか………石を探しますか?」
「あぁ。勿論、できる限り濃藍で頼む。」
「自分から言っておいて……その色にまで嫉妬しないで下さいね。」
「────うるさい……」

ムッと顔をしかめるフィリベールは、見た目は年相応の少年で可愛らしい。

「それじゃあ……ニノン、今日は久し振りに一緒に夕食を食べよう。」
「ええ、勿論よ!」

私は、アリソン愛しい人の手を取る。

「はいはい。いってらっしゃい。また……明日から頼む。」

フィリベールはそれだけ言うと、ヒラヒラと手を振りながら部屋から出て行った。








❋エールを頂き、ありがとうございます❋
*ଘ(੭*ˊᵕˋ)੭*




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