二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん

文字の大きさ
34 / 82
二度目の召喚

ティータイム、後、キッカ

しおりを挟む

もう、目の前に居る生き物は、人間ひとではないのだろう。いつからこんな人間になってしまったのか……。私達が諦めなければ、こんな事にはならなかったんだろうか?

「第一王女アリシア、お前の王族としての権限を全て剥奪の上、北の棟に一生涯幽閉とする。連れて行け……。」

「何を───っ!?」

私の一言で、どこからともなく影が現れ、妹が叫ぶ前に口を塞がれ、抵抗する間もなく連れ去ろうとした時──



『甘いわね──まだ、大福の方がよっぽどマシじゃない?』

と、声が響いたのと同時に、私の周りにピンッ─と結界が張られたのが分かった。

「……キッカ殿?」

何故か、そこには少し弱った感じのキッカ殿が居た。弱ってはいるが、しっかりと私達には圧を掛けている。

『幽閉だなんて、甘いわね。幽閉後に病死なんて、更に甘くしてどうするの?その女の処遇は……一度私が預かるわ。』

パチンッ─と、キッカ殿が指を弾くと、捕まえていた影の手から妹の姿が消えてしまった。

『取り敢えずは、最低半年は預かるわ。それからあの女の様子を見ながら……返せるようなら返してあげるわ。それじゃあ、私、まだまだする事があるから、また後日改めて来るわね。』

と言って、結界を解除した後、やっぱりどこか弱った感じのキッカ殿は、私達の目の前から姿を消した。


「「…………」」


妹を連れ去ったのは、神の使い(妖)魔だ。「駄目だ」「返せ」とは言えないし、言うつもりもない。もう連れ去られた後だ。キッカ殿に任せる以外は無い。

「お前達、今、見た事聞いた事は他言無用だ。分かったな?」

控えていた侍女や近衛達にそう告げた後、私はルーファスと共に国王陛下の元へと急ぎ戻った。



ー“ダイフク”とは…何だろうか?ー












その翌日──

バーミリオンとエラ殿が揃って、王太子わたしの執務室へとやって来た。


「ようやく、名前を取り戻せたので、先に婚姻届けだけでも出す事にしました。」

「そうか、それは……良かった。色々とおめでとう。」

確か、6年も空いてしまったから、名を戻す迄には時間が掛かる─と言っていなかったか?それが…3日?で全て終わらせたのか?あぁ、だから、昨日見たキッカ殿は、弱ったように見えたのか?

「あの…それで…一つ、訊いても良いですか?」

「ん?何だ?」

「アズールやエメラルドも…名前を取り戻せているんですか?」

「それはまだ分からない。このバーミリオンからの報告が初めてだからね。アズールは…王都に居るかどうかも分からないから、名前を取り戻せていたとしても、報告はまだ先になるだろうね。」

取り敢えずは、アズールにはウィステリア殿の事は伏せておいて、“召喚者らしき者を保護した”と魔法で手紙を飛ばしたから、2、3日もすれば、一度王都には戻って来るだろう。

「エメラルド殿には、今日の午後に会う予定をしているから、その時に確認してみるが…何か気になる事でもあるのか?」

バーミリオンはギュッと口を閉じた後、エラ殿と視線を合わせて軽く頷いた後、また私の方に視線を向けた。

「エメラルドに…色々訊きたい事があって…。“いつか訊いてみよう”と思いながら4年も経ってしまって…。それで、名前を思い出したら、自分を取り戻せたようで…目の前が広がった?明るくなった?感じで…今なら訊けなかった事を訊ける気がして。だから、エメラルドと話す時間を作ってもらいたいんです。」

おそらく、バーミリオンの言う訊きたい事とは、ウィステリア殿の事だろう。名前を思い出した今、燻っていた色んな思いを消化させて前に進みたいのだろう。

「バーミリオンは、午後からは予定はあるのか?」

「いえ。今日は俺もエラも午後からは休みだったので、下城する前に─と思ってここに来ました。」

「なら、午後、私と一緒にエメラルド殿の所に行くのはどうだ?あぁ、私の事が気になるのなら、別の日で調整するが……」

「いえ、アレサンドル様が良ければ、今日でお願いします。」


取り敢えず、時間迄エラと外でランチでもして来ます─と言って、2人は一旦下城した。

ようやく名を取り戻せて、ようやくの結婚だ。あの2人は、本当に仲が良いとしか聞かない。今だって、本当に嬉しそうな顔をして──手を繋いで出て行った…よな?

ーいや、羨ましくなんてない……筈だー

チラリと、机の上に置いてあるカレンダーに視線を向ける。

「後……半年か……長いな……………」

そう呟いて、耳に着けているピアスをそっと触れてから、私は手元にある資料に目を落とし、執務を再開させた。




    
しおりを挟む
感想 223

あなたにおすすめの小説

妹なんだから助けて? お断りします

たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

エアコン魔法、全自動チョコレート製造魔法、魔法の無駄遣い? ――快適な生活のために、全部必要ですわ

鷹 綾
恋愛
「魔法の無駄遣いだ」 そう言われて婚約を破棄され、南方の辺境へ追放された元・聖女エオリア。 けれど本人は、まったく気にしていなかった。 暑いならエアコン魔法を使えばいい。 甘いものが食べたいなら、全自動チョコレート製造魔法を組めばいい。 一つをゆっくり味わっている間に、なぜか大量にできてしまうけれど―― 余った分は、捨てずに売ればいいだけの話。 働く気はない。 評価されても困る。 世界を変えるつもりもない。 彼女が望むのは、ただひとつ。 自分が快適に、美味しいものを食べて暮らすこと。 その結果―― 勝手に広まるスイーツブーム。 静かに進む元婚約者の没落。 評価だけが上がっていく謎の現象。 それでもエオリアは今日も通常運転。 「魔法の無駄遣い? ――快適な生活のために、全部必要ですわ」 頑張らない。 反省しない。 成長もしない。 それでも最後まで勝ち続ける、 アルファポリス女子読者向け“怠惰ざまぁ”スイーツファンタジー。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

異世界に行った、そのあとで。

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。 ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。 当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。 おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。 いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。 『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』 そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。 そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

処理中です...