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「ルドヴィク様、先程、参列予定だった者の変更届けの知らせが届きました」
「変更?どこの国だ?」
「隣国のデストニアで、国王の体調が悪いらしく、代わりに王太子とその婚約者が参列するとの事です」
「婚約者……あぁ、あの公爵令嬢の……」
ー2年前に会った時には、既に凛とした令嬢だったなー
「違うようです。今の婚約者は、1年程前に召喚された聖女様だそうです」
「は?替わった?聖女??」
確かに、デストニアも聖女を召喚したと知らせはあったが、婚約者が替わって聖女が婚約者となったとは……知らなかった。あぁ、だから、挨拶と紹介を兼ねて参列すると言う事か。
「分かった。ならば……少し時間を作っておいた方が良いな。式の後、夜のパーティー迄に、挨拶をする時間を作っておいてくれ」
「畏まりました」
そう言うと、侍従は私の執務室から出て行った。
「聖女か…………」
今、この国での“聖女”と言うキーワードは、ある意味鬼門だ。勿論、ミヅキが悪い訳ではない。ミヅキには感謝しかない。ただ、国民が聖女に対して敏感になっていて、少しでもボロを出せば反感を買ってしまうから、慎重にならざるを得ないのだ。
それとは別に───
最近の叔父上の様子も少しおかしい。いや、落ち着いたと言うべきか?以前のような女性との話を耳にする事がなくなった。最近では、騎士の訓練により力を入れているようで、第一騎士団の騎士達が悲鳴を上げていると言っていた。
ーようやく、叔父上にも想う人が現れたのか?ー
もしそうなら、今度のパーティーで紹介でもしてくれるだろうか?
その前に───
隣国から聖女が参列する事を、イシュメル大神官に伝えておかないといけないな。
もう二度と聖女絡みの問題が起きませんように─と、祈るしかない。
******
「隣国の聖女が、ルドヴィクさんの即位式に参列する!?」
「国王の体調が悪いようで、代わりに王太子と新たに婚約者となった聖女様が参列する事になったと、今日のお昼過ぎに連絡が入ったんですよ」
即位式の3日前、イシュメルさんから手紙が飛んで来たかと思えば、私に王都の神殿まで来て欲しい─と書かれていて「何事!?」と、急いでやって来てみれば、ジョセリンさんの元婚約者のクズ─王太子が、婚約者となった聖女を連れて、この国にやって来ると言う事を教えてくれた。
「凄すぎませんか?まだ1週間も経ってないのに、もう婚約者の座についてるって……王族の婚約って、そんなにも簡単にアッサリ覆されて調えられるモノなんですか?」
正直、ルドヴィクさんはどうかは知らないけど、王族って、本当に非常識じゃない?18歳の女の子を単身で放り出しておいて、自分は好きな女の子と王室でぬくぬくと─
「それで、チカ…ミヅキ様にお願いがあるんです。嫌なら断ってもらって良いのですが……」
「お願い…ですか?」
“チカ”ではなく“ミヅキ様”と言い改めたと言う事は、聖女のミズキへのお願い事なんだろう。他にない、イシュメルさんのお願いだから、可能な限りは叶えたいとは思うけど……
「お願いの内容にもよりますけど、そのお願いとはなんですか?」
「ミヅキ様に、即位式に参加して欲しいのです」
「──────は?」
ーえ?嫌です!!ー
「…………」
心の中では即答した。ただ、それが口から言葉にならなかっただけだ。私はそのまま、イシュメルさんを見つめる。
「実は、何故、オールデン神がデストニアに聖女を召喚したのか分からないのです」
「え?でも……デストニアも穢れや瘴気が……」
「確かにそれもありますが、もし、そうなら、他国の事ではありますが、聖女を召喚する前に私にも声が聞こえる筈なんです。それが、今回は、その声が全く聞こえなかったんです。色さえも見えませんでした」
ただ、異世界から召喚されて来た事は確かで、彼女が聖女である事も確かなんだそうだ。異世界から人を召喚するのも、その者を聖女にする事ができるのもオールデンさんだけだから、オールデンさんが召喚した聖女と言うのは疑いようがないらしい。ただ、何故事前に声が聞こえなかったのか……それに、未だオールデンさんからは何も話し掛けて来ていないらしい。
私も、何度黒羽を呼んでも飛んで来ないから、少し気にはなっていたところだった。
「私が即位式に参加するとして……どんな形でどんな理由で参加するんですか?」
即位式では、大神官であるイシュメルさんが、国王となるルドヴィクさんに戴冠するそうで、そのお手伝いする副神官のお手伝いをする神官として参列すると言う事だった。そう言った下級の神官に至っては、フード付きの正装着を着用する為、顔も隠れるから、その神官役であれば顔を隠した状態で参列者達を見回す事ができると言う事だ。
ジョセリンさんの話からも、聖女の事は気になっていた。直接何かしようとは思わないけど………
「何かをする事はありませんけど、見るだけで良いと言うなら……」
「はい、それで構いません。同じ聖女として見て、何か感じる事があれば教えて欲しいだけですから」
少し不安なところもあるけど、私は即位式にコッソリと参加する事になった。
「変更?どこの国だ?」
「隣国のデストニアで、国王の体調が悪いらしく、代わりに王太子とその婚約者が参列するとの事です」
「婚約者……あぁ、あの公爵令嬢の……」
ー2年前に会った時には、既に凛とした令嬢だったなー
「違うようです。今の婚約者は、1年程前に召喚された聖女様だそうです」
「は?替わった?聖女??」
確かに、デストニアも聖女を召喚したと知らせはあったが、婚約者が替わって聖女が婚約者となったとは……知らなかった。あぁ、だから、挨拶と紹介を兼ねて参列すると言う事か。
「分かった。ならば……少し時間を作っておいた方が良いな。式の後、夜のパーティー迄に、挨拶をする時間を作っておいてくれ」
「畏まりました」
そう言うと、侍従は私の執務室から出て行った。
「聖女か…………」
今、この国での“聖女”と言うキーワードは、ある意味鬼門だ。勿論、ミヅキが悪い訳ではない。ミヅキには感謝しかない。ただ、国民が聖女に対して敏感になっていて、少しでもボロを出せば反感を買ってしまうから、慎重にならざるを得ないのだ。
それとは別に───
最近の叔父上の様子も少しおかしい。いや、落ち着いたと言うべきか?以前のような女性との話を耳にする事がなくなった。最近では、騎士の訓練により力を入れているようで、第一騎士団の騎士達が悲鳴を上げていると言っていた。
ーようやく、叔父上にも想う人が現れたのか?ー
もしそうなら、今度のパーティーで紹介でもしてくれるだろうか?
その前に───
隣国から聖女が参列する事を、イシュメル大神官に伝えておかないといけないな。
もう二度と聖女絡みの問題が起きませんように─と、祈るしかない。
******
「隣国の聖女が、ルドヴィクさんの即位式に参列する!?」
「国王の体調が悪いようで、代わりに王太子と新たに婚約者となった聖女様が参列する事になったと、今日のお昼過ぎに連絡が入ったんですよ」
即位式の3日前、イシュメルさんから手紙が飛んで来たかと思えば、私に王都の神殿まで来て欲しい─と書かれていて「何事!?」と、急いでやって来てみれば、ジョセリンさんの元婚約者のクズ─王太子が、婚約者となった聖女を連れて、この国にやって来ると言う事を教えてくれた。
「凄すぎませんか?まだ1週間も経ってないのに、もう婚約者の座についてるって……王族の婚約って、そんなにも簡単にアッサリ覆されて調えられるモノなんですか?」
正直、ルドヴィクさんはどうかは知らないけど、王族って、本当に非常識じゃない?18歳の女の子を単身で放り出しておいて、自分は好きな女の子と王室でぬくぬくと─
「それで、チカ…ミヅキ様にお願いがあるんです。嫌なら断ってもらって良いのですが……」
「お願い…ですか?」
“チカ”ではなく“ミヅキ様”と言い改めたと言う事は、聖女のミズキへのお願い事なんだろう。他にない、イシュメルさんのお願いだから、可能な限りは叶えたいとは思うけど……
「お願いの内容にもよりますけど、そのお願いとはなんですか?」
「ミヅキ様に、即位式に参加して欲しいのです」
「──────は?」
ーえ?嫌です!!ー
「…………」
心の中では即答した。ただ、それが口から言葉にならなかっただけだ。私はそのまま、イシュメルさんを見つめる。
「実は、何故、オールデン神がデストニアに聖女を召喚したのか分からないのです」
「え?でも……デストニアも穢れや瘴気が……」
「確かにそれもありますが、もし、そうなら、他国の事ではありますが、聖女を召喚する前に私にも声が聞こえる筈なんです。それが、今回は、その声が全く聞こえなかったんです。色さえも見えませんでした」
ただ、異世界から召喚されて来た事は確かで、彼女が聖女である事も確かなんだそうだ。異世界から人を召喚するのも、その者を聖女にする事ができるのもオールデンさんだけだから、オールデンさんが召喚した聖女と言うのは疑いようがないらしい。ただ、何故事前に声が聞こえなかったのか……それに、未だオールデンさんからは何も話し掛けて来ていないらしい。
私も、何度黒羽を呼んでも飛んで来ないから、少し気にはなっていたところだった。
「私が即位式に参加するとして……どんな形でどんな理由で参加するんですか?」
即位式では、大神官であるイシュメルさんが、国王となるルドヴィクさんに戴冠するそうで、そのお手伝いする副神官のお手伝いをする神官として参列すると言う事だった。そう言った下級の神官に至っては、フード付きの正装着を着用する為、顔も隠れるから、その神官役であれば顔を隠した状態で参列者達を見回す事ができると言う事だ。
ジョセリンさんの話からも、聖女の事は気になっていた。直接何かしようとは思わないけど………
「何かをする事はありませんけど、見るだけで良いと言うなら……」
「はい、それで構いません。同じ聖女として見て、何か感じる事があれば教えて欲しいだけですから」
少し不安なところもあるけど、私は即位式にコッソリと参加する事になった。
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