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Chain andDevils
しおりを挟むある年の冬私は東京の田舎で産声を上げた、そして長い人生を共にする仁という名を貰った。 (20××年)(仁) 「ケイくん!放課後あーそぼ!」(ケイ) 「今日は何する!そうだ団地の近くの山に虫捕りに行こうよ!」
「いいね、そしたら放課後虫取り網と虫かご持って僕んち集合ね!」
これが後の私の人生を抜けられない絶望の縁へ叩きつけ、そして縛りつけられる鎖になる小学生の夏の出来事である。
~放課後~
(仁) 「いつも思うけどここの山っていつも雨が降ってぬかるんでるよね」 (ケイ) 「沢山雨が降るし管理人さんもたまに山菜採りに来るだけだもんね笑」何気ない会話をしながら、どんどんとケイくんと山奥へ潜っていった。「すごい山奥まで来ちゃったね、珍しい虫とかいるかな?」 「あっ!見てよミヤマクワガタだよ!かっこいい~!そうだ!後で捕まえたクワガタ同士勝負しようよ!」 「よーし!僕もかっこいいクワガタ探すぞ!それじゃあまた後で日が落ちる前にこの大きな木の下でしゅーごーね!」
(仁) 「うわ~もうそろそろ暗くなってくる時間帯だ…まだ探検したいけどママにも怒られるしケイくんと合流しよう」
「うーんケイくん遅いな、どこいっちゃったんだろう。」「おーい!ケイくん!どこにいるのー!」私は集合の時間になっても現れないケイくんを探しにさらに山奥へと潜っていった。
「おーい!ケイくん!っっっうわぁ!」
「…くん、としくん!仁くん!」
「ててて、あれケイくん!も~どこにいたんだよ~探してたんだからね!」
「ごめんごめん、それより仁くん大丈夫?酷い怪我だよ」ケイくんを探しに出た私は途中で岩場から足を踏み外しかなり下の方へと転落していた。
「よし…!あと少しで入口だ!もう少し)))」「帰ったらママに怒られるよ、あれケイくん?どこ行ったの?」振り返った私は凄まじい景色を目撃した、今まで水たまりだと思っていたものにケイくんの半身は既に埋まっていた、そう、底なしの沼だったのだ。私は怯えただ呆然と立ちつくし我に返った頃には既に山の入口まで走り抜けていた。
時は現在へと移り小説家になった私は最後の詩を書いているそして今ペンを置き人生に幕を下ろそうとしている。周りの建物が小さく見えるほどのビルの屋上に立ち、夜風に吹かれながらあの日を思い出しただ立ち尽くす。「仁くん!助けて!」必死に助けを求めるケイくんをただ立ち尽くし、挙句見捨てた悪魔の私は決して抜けることの出来ない鎖に繋がれていた。そして今小説の最後のページを閉じるように深い夜の闇へ悪魔と共に沈んでいった。
Chain and Devils ~鎖と悪魔~
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