世にもおかしな物語ショートショート集

チャイ

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令和勝手にポンポコ話(昔話パロディ系)

令和、浦島太郎1~4

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令和のある日、浜辺でいじめられていた亀を浦島太郎が助けました。亀は感謝し、浦島太郎を竜宮城へ連れていったのです。

鯛やヒラメが舞い踊り、乙姫様と楽しい時間を過ごしてそろそろ地上へ戻る時が来ました。

その1:意識高い系浦島太郎

乙姫様:「この玉手箱をお持ち帰りください。決してあけてはなりません」
とても大事そうに抱えてきた風呂敷包み。包んであるのは玉手箱。

太郎:「え?あけちゃダメ?あけずにどうするのさ?何に使うの?ああ、なるほど、その玉手箱っていうのは、いわゆるインテリア雑貨なんだね。伝統工芸品かぁ、日本のものは大事にしたいね」

ヒラメちゃん:「はい、それは竜宮一の名工の作ったものでございます」
太郎:「僕も部屋に飾ればいいんだろうけど、やっぱ好みってもんがあるからなぁ」
乙姫様:「はぁ、でもまぁ、一応記念品ですので」

太郎:「僕って好きなものだけ飾りたい主義なんだ。だって毎日目に入るものだからね」
鯛子:「なるほどでごさいますね」
いるいる、こういう人!、嫌いじゃない……。

太郎:「あとさ、粗品もね……。タダだからってもらってたら、ホント、たまる一方だから、断ってる」
乙姫様:「えーと、フリマやリサイクルショップは?」
――粗品って失礼すぎません?この人天然?

太郎:「結構面倒だよ?あれ。ホント、結婚式の引き出物もまいっちゃうよね。カタログでもほしい物ないしさ。
僕、ミニマリストまではいかないけど、この前断捨離したばっかなんだ」

亀:――それって、部屋が狭いからだ!うちは広さだけはあるぞ!
亀も鯛も乙姫様も黙り込んでしまった。大昔に来たあの人との意識の差を感じる。

太郎:「ねぇ、君たち、風呂敷使ってるのセンスいいね!僕もエコバッグは使ってるけど、うん、風呂敷。海外の友人も喜びそうだ」



その2:チャラい系浦島太郎

「なになに?別れがさみしいって?だいじょーぶ!君たちのステキなダンスは俺っちの心のアルバムに飾ってあるからさ!」
乙姫様:「はぁ?」
深い、ため息。
太郎:「だってさ、写真とれない。ここに来るとき俺っちのスマホ水没しちゃった。保険解約してたんだよねぇ、残念。ま、ここ圏外だよね?電波も届かないか」

乙姫様一同:――一刻も早くお帰りになっていただきたいわ。後で、塩まいとかなきゃね。



その3、ネット詐欺あるある浦島太郎

乙姫様:「というわけで浦島様、この玉手箱は決してあけてはいけません」
太郎:「わかってますよー、今どき、怪しいファイルや箱、開ける人なんていませんよね。
僕なんかそれ知らなくてさ。この前、うっかりクリックしちゃって、ひどいめにあっちゃったんですよ。
乙姫様たちも気をつけて、この前スマホの電話に出たら……警察って名乗る男の人からで、僕もう怖くて……つい」

乙姫様一同:「素直な良い方なのです」
「さすが浦島様、人を疑うことを知らぬお人!」
騙されやすくて心配だよ!!



その4:ぼったくり竜宮城編

「どうぞこれをお土産に。帰ったら必ず箱を開けてくださいね」
浦島太郎は乙姫様より立派な玉手箱をもらった。
玉手箱は黒くつややかそして、美しい金色の蒔絵が施されたものだ、重さは軽い。

太郎:「わ~なんだろ、乙姫様からのラブレターだったりして。さみしいです。すぐまた会いに来てねとか?
あ~お腹減った~、もしかしてお弁当かな。気が利くよね、あの乙姫様って」

浦島太郎は、地上へ戻ると、さっそく玉手箱のフタを開けた。
中から出てきたのは、一枚の紙。

なんとクラブ「竜宮城」の請求書であった。

え?あれって、亀を助けた、お礼のご招待じゃなかったの?しかも7日間でこの値段!?ぼったくられたよ!

クラブ「竜宮城」


「タイの舞い(特別ショー料金):50,000円」

「亀乗り放題チケット:30,000円」

「真珠のカクテル(一杯):10,000円」

「お土産(玉手箱):50,000円」

亀: 「お客さんを呼び込む、この手口。実はね、ネットで買ったんですよ。結構参考になりますね!新しいのも買おうかな」

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