7 / 22
7話 ローズフェスタ狂騒曲!生徒会VS風紀委員、開戦!?
しおりを挟む
その日の放課後、ミアの教室に生徒会からの使者が姿を見せた。
「ミア・ハートウェル様はいらっしゃいますか?」
「は、はい」
突然の指名に、ミアは思わず背筋を伸ばした。教室中が、ざわめき始める。生徒会長直々のお呼び出しなんて、よほどのことがない限りありえない。
「私、何か悪いことしましたでしょうか?」
「いえ、お話したいことがあるとのことです。ご安心ください」
生徒会役員の後をついて歩くミアは、市場へ連れていかれる家畜のように、顔が真っ青だ。
「失礼いたします、ミア様をお連れしました」
「あ、来てくださったのですね!」
ミアは息を呑んだ。
(昔、アレクシスの家で見た、可愛い女の子!やはりあの子も学園に……)
そこにいたのは、あの上品な少女セレスティアだった。子猫だったミアは、二人が並んで本を読んでいたのを覚えていた。
「初めてお会いいたします。男爵家ハートウェルの娘、ミアと申します」
「こちらこそ。公爵家ヴァンドーム、セレスティアですわ」
セレスティアは優雅に微笑むと、次の瞬間、ケーキを目の前にした子供のように目を輝かせた。
かたわらに控えていたルイスは嫌な予感に震えた。
「ああ、なんて素敵!その髪の色、その瞳、その仕草!すべてが、私の理想そのものですわ!」
「はっ?」
(ついに、出会えた!私の物語を彩る、運命のヒロインちゃん!)
完璧お嬢様だが、裏の顔は恋愛小説マニアの生徒会長。
書いていた小説の主人公が見つからず、スランプに陥っていた彼女は、ミアを見て思わず胸を高鳴らせてしまった。
しかし慣れた様子でオタクの顔をしまい込み、生徒会長の顔に戻る。
「おほほ、いえ、なんでもありませんわ。実は、あなたにどうしてもお願いしたいことがあるのです」
ルイスがホッと胸をなでおろす。
「私に?」
「今年のローズフェスタの企画委員をお願いしたいのです。入学早々、面白いことをやっている新入生がいる、と噂はかねがね耳にしていましたわ」
(え?一体なぜ?おとなしくしていたつもりだったのに……)
しかし、学園祭と聞いて、ミアの瞳はキラリと輝きを放った。
故郷の村の祭りを思い出す。
春の花冠祭、夏の星降り祭、秋の黄金祭。
田舎の楽しみと言えば祭りは一大イベント。
中でも12月の銀星祭りで、村で一番高い木のてっぺんに星を取り付けるのは、元おてんば猫の彼女の仕事。
梯子なんて使わずに、ひょいひょいと登っていくのだ。
「私に任せてください!大船に乗ったつもりで」
とミアは胸をドンッと叩きたくなったが、ぐっとこらえもう少し話を聞いてみる。
「ローズフェスタは、薔薇の季節6月に開催されるの。学園の優雅さや、自由、気品を表現する祭りで、今年は創立記念で例年より大規模に行われるわ。何か『これだ!』って思える目玉企画を探しているところなのです」
側近のルイスが手元の資料を見ながら説明し始めた。
「学園祭では、孤児院への寄付金を集めてます。正直、ミア様の手芸部の売り上げは毎年芳しくありませんが」
先輩たち、芸術度は高いんだけどね……とミアは、蛇やクラゲのクッション、ド派手な薔薇だらけの帽子を思い浮かべた。
そして、ルイスが指さした先には、フルーツジュース、クレープ屋台に薔薇のブーケ販売など楽しそうな屋台が並んでいた。
「集めた寄付で孤児院に本を贈っているんです。文字の読めない子を減らすことは、我が校のなすべきことですから」
「もしかして、隣町の孤児院にあったあの本も!」
ミアが村にいた頃、慰問に行くと、必ず聖アルカディア学園の刻印が押された本が寄贈されていた。文字を覚える絵本もあれば、高学年向けの冒険小説もあった。
「今年はね、聖薬師協会から横槍が入りそうなのよ」
セレスティアの表情が曇った。
「ええ、まあ、色々とね。学園の自由と革新の理念を守るのって、意外と大変みたい……」
その瞳の奥には、強い意志が宿っていた。
「あの……もし、よろしければ、屋上で癒しのサロンを開くのは、いかがでしょうか?」
「癒しのサロン?」
「はい!私が勝手に作った、屋上のお昼寝サロンです」
「素晴らしいアイデアですわ!ぜひ、詳しく聞かせてください!」
セレスティアの目が輝きを増した。
「まるで、隣国にあるという猫サロンのようではありませんか!」
「ただ、動物たちの手配が大変そうで」
「それでしたら、風紀委員長のアレクシス様にご相談してみてはいかがでしょう?彼は学園一の博識ですから、きっといい知恵を出してくれますわ。それに、最近、研究棟にこもりすぎているの。少しは学内に出てきていただかないと!」
「ええ、その方がアレクシス様のためにもなりますよね」
ミアの心臓が跳ね上がった。アレクシスと一緒に企画を進められるなんて!
(素敵な庭園にして、彼にもサロンで癒されて欲しい!そして、あの時のように、また、二人で話せたらいいな)
胸の奥から湧き上がる期待と、少しの不安。
これは、彼ともう一度、心を通わせるための、大切なチャンスだ。
「ミア・ハートウェル様はいらっしゃいますか?」
「は、はい」
突然の指名に、ミアは思わず背筋を伸ばした。教室中が、ざわめき始める。生徒会長直々のお呼び出しなんて、よほどのことがない限りありえない。
「私、何か悪いことしましたでしょうか?」
「いえ、お話したいことがあるとのことです。ご安心ください」
生徒会役員の後をついて歩くミアは、市場へ連れていかれる家畜のように、顔が真っ青だ。
「失礼いたします、ミア様をお連れしました」
「あ、来てくださったのですね!」
ミアは息を呑んだ。
(昔、アレクシスの家で見た、可愛い女の子!やはりあの子も学園に……)
そこにいたのは、あの上品な少女セレスティアだった。子猫だったミアは、二人が並んで本を読んでいたのを覚えていた。
「初めてお会いいたします。男爵家ハートウェルの娘、ミアと申します」
「こちらこそ。公爵家ヴァンドーム、セレスティアですわ」
セレスティアは優雅に微笑むと、次の瞬間、ケーキを目の前にした子供のように目を輝かせた。
かたわらに控えていたルイスは嫌な予感に震えた。
「ああ、なんて素敵!その髪の色、その瞳、その仕草!すべてが、私の理想そのものですわ!」
「はっ?」
(ついに、出会えた!私の物語を彩る、運命のヒロインちゃん!)
完璧お嬢様だが、裏の顔は恋愛小説マニアの生徒会長。
書いていた小説の主人公が見つからず、スランプに陥っていた彼女は、ミアを見て思わず胸を高鳴らせてしまった。
しかし慣れた様子でオタクの顔をしまい込み、生徒会長の顔に戻る。
「おほほ、いえ、なんでもありませんわ。実は、あなたにどうしてもお願いしたいことがあるのです」
ルイスがホッと胸をなでおろす。
「私に?」
「今年のローズフェスタの企画委員をお願いしたいのです。入学早々、面白いことをやっている新入生がいる、と噂はかねがね耳にしていましたわ」
(え?一体なぜ?おとなしくしていたつもりだったのに……)
しかし、学園祭と聞いて、ミアの瞳はキラリと輝きを放った。
故郷の村の祭りを思い出す。
春の花冠祭、夏の星降り祭、秋の黄金祭。
田舎の楽しみと言えば祭りは一大イベント。
中でも12月の銀星祭りで、村で一番高い木のてっぺんに星を取り付けるのは、元おてんば猫の彼女の仕事。
梯子なんて使わずに、ひょいひょいと登っていくのだ。
「私に任せてください!大船に乗ったつもりで」
とミアは胸をドンッと叩きたくなったが、ぐっとこらえもう少し話を聞いてみる。
「ローズフェスタは、薔薇の季節6月に開催されるの。学園の優雅さや、自由、気品を表現する祭りで、今年は創立記念で例年より大規模に行われるわ。何か『これだ!』って思える目玉企画を探しているところなのです」
側近のルイスが手元の資料を見ながら説明し始めた。
「学園祭では、孤児院への寄付金を集めてます。正直、ミア様の手芸部の売り上げは毎年芳しくありませんが」
先輩たち、芸術度は高いんだけどね……とミアは、蛇やクラゲのクッション、ド派手な薔薇だらけの帽子を思い浮かべた。
そして、ルイスが指さした先には、フルーツジュース、クレープ屋台に薔薇のブーケ販売など楽しそうな屋台が並んでいた。
「集めた寄付で孤児院に本を贈っているんです。文字の読めない子を減らすことは、我が校のなすべきことですから」
「もしかして、隣町の孤児院にあったあの本も!」
ミアが村にいた頃、慰問に行くと、必ず聖アルカディア学園の刻印が押された本が寄贈されていた。文字を覚える絵本もあれば、高学年向けの冒険小説もあった。
「今年はね、聖薬師協会から横槍が入りそうなのよ」
セレスティアの表情が曇った。
「ええ、まあ、色々とね。学園の自由と革新の理念を守るのって、意外と大変みたい……」
その瞳の奥には、強い意志が宿っていた。
「あの……もし、よろしければ、屋上で癒しのサロンを開くのは、いかがでしょうか?」
「癒しのサロン?」
「はい!私が勝手に作った、屋上のお昼寝サロンです」
「素晴らしいアイデアですわ!ぜひ、詳しく聞かせてください!」
セレスティアの目が輝きを増した。
「まるで、隣国にあるという猫サロンのようではありませんか!」
「ただ、動物たちの手配が大変そうで」
「それでしたら、風紀委員長のアレクシス様にご相談してみてはいかがでしょう?彼は学園一の博識ですから、きっといい知恵を出してくれますわ。それに、最近、研究棟にこもりすぎているの。少しは学内に出てきていただかないと!」
「ええ、その方がアレクシス様のためにもなりますよね」
ミアの心臓が跳ね上がった。アレクシスと一緒に企画を進められるなんて!
(素敵な庭園にして、彼にもサロンで癒されて欲しい!そして、あの時のように、また、二人で話せたらいいな)
胸の奥から湧き上がる期待と、少しの不安。
これは、彼ともう一度、心を通わせるための、大切なチャンスだ。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら
渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!?
このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!!
前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡
「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」
※※※
現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。
今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました!
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる