【三章完結しました】チートは無いけどAIがある!社畜OLの異世界立身出世録

星 見人

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第2話 【社畜式、村の朝礼改革!働け、怠け者ども!】

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「……あの~、お姉さんって、どこから来たんですか?」

 村の中心広場で、さっきの麦わら帽子の少女、、
 エルナが、おそるおそる話しかけてくる。

「ん~、遠いところから“転職”に来たってことで。
 私としては、有給消化で休みたいんですけどね…」

「て、転職……?? 有給消化……??」

 首を傾げるエルナをよそに、ミサトにリリィの冷静な分析が流れる。

『はい。ミサト。現状、この村の労働人口は30人中5人のみ。他25人は“働きたくない”を理由に労働拒否中』

「は?」

 思わずミサトは素で声を漏らした。

『はい。ミサト。理由•働いても生活が楽にならないから。収穫物は国の税で持っていかれ、働くモチベーションが崩壊しております』

「……でた~、ブラック企業じゃん。てか、私が前いた会社よりタチ悪いわ…いや五分五分か??」

 ミサトは頭を抱えた。
 このままだと、村どころか自分の生活拠点すら消し飛ぶ。

「んー、、どうしたらいい?リリィ?」

『はい。ミサト。提案•まずは“朝礼”を導入し、意識改革を図るのが効果的です。しかし、村の権限者の許可が必要です』

「朝礼って、あの地獄の朝礼?会社でやってた“気合入れ”? そして、村長の許可取れってことね?」

『はい。ミサト。その通りです。しかし、ここでは“村の未来を語る場”として演出すれば、効果は絶大です』

 ミサトはニヤリと笑った。
 社畜根性に火がついてしまったのだ。

◇◇◇

 村の奥の小さな家。
 そこにいたのは、いかにも“田舎のおじいちゃん”といった風情の村長だった。

「ふむ、お前さんが……村人志望者、とな?」

「はい、桜井ミサトです。村の働き方改革に来ました!」

「働き方改革……?」

 村長は困惑している。
 だが、村長の表情にはどこか“諦めの色”がにじんでいた。

「……無理じゃよ。この村は、働いてもどうにもならん。国の税は重いし、皆のやる気は尽き果てておる」

『はい。ミサト。説得には“具体的な利益”を提示するのが有効です。
 私が調べた所、この村の麦はとても品質が良いみたいです』

「オッケー。ありがとう。 村長さん。この村の麦、すごく質が良いらしいですよね?」

「ふむ、……まあ、そこだけは自慢じゃな!」

「だったら、もっと高く売れるはずなんですよ」

「何?」

 ミサトはスーツの袖をまくった。
 社畜の血が騒ぎ始めている。

「ただし、そのためには“組織力”と“信用”が必要です。私にこの村の“朝礼”をさせてください。村のみなさんに、“チーム”としての意識を植え付けます」

「チーム……?」

「はい。そうすれば、まとまりができる。“この村は一致団結して生産性を上げている”ってアピールができるんです」

『はい。ミサト。この村の課題は“組織化不足”です。村長がリーダーシップを発揮すれば、外部への影響力が増します』

「村長。今こそ“経営者”になりましょう。この村を会社にして利益を出しましょう!」

 ミサトは真剣に言った。
 村長はしばし沈黙し、、、

「何かお嬢さんと話してると……何やら久々に胸が熱くなったわい。好きにしてみい、お嬢さん」

「ありがとう!村長!私頑張ってみるね☆」
 ミサト許可、獲得である。

◇◇◇

 村長の家からの帰り道、、
「さてと、村長の許可も取ったし、、
 今日はなんか疲れた…寝る……」
 
 ミサトは村の外れにある大きな木に寄りかかるとそのまま寝てしまった。

『はい。ミサト。…どこでも寝れる…素晴らしい社畜ですね』

◇◇◇

 翌朝。

「みんなー!広場に集まってくださーい!新しいお姉さんが話があるって!」

 エルナの声に、村人たちは渋々広場に集まってきた。
 その顔は眠そうで、やる気のカケラも感じられない。

「お集まり頂きありがとうございます。
 さて……皆さん、今日から“朝礼”をします」

 ミサトがスーツ姿で堂々と宣言する。

「誰だ?あいつ?」
「朝礼?何だそれ?面倒くせぇ……」
「どうせ働いても意味ねぇし……」
「寝てた方がマシだ!」
「なんだあの格好??」
 文句ばかりの村人たち。
 しかし、ミサトは笑顔を崩さない。

『はい。ミサト。ここで彼らの“承認欲求”を刺激する言葉を投げかけましょう』

 リリィの助言が脳内に響く。

「みなさん。いきなりですけどこの村はすごいんです!」

 村人たちがポカンとする。

「こんなに美味しい麦が採れる村、私は初めて見ました。もっと外に売り出せば、村の名前も知れ渡るはず!」

「お、おう……?」

「でもね、それを実現するには、皆さんの“チームワーク”が必要なんです。今日から皆さんを“開拓チーム一課”として任命します!」

『はい。ミサト。効果的です。“課”や“チーム”という組織名が、彼らに“特別感”を与えています』

「チーム?……一課……?」

 村人たちは互いに顔を見合わせ始める。
 どうやら、名前を与えられ、何かを任されると少し誇らしい気持ちになるらしい。

「ちなみに、今日一番頑張った人には“村長直々の表彰”を出します!」

「ほ、本当かよ!?」

「表彰!?俺も表彰されたい!」
 村人たちの目がギラリと輝き出した。

『はい。ミサト。承認欲求と競争意識。人間を動かす2大エンジンですね』

「あははっ!社畜根性ナメんなよ、リリィ」

 こうして、辺境の村に突如として“社畜式朝礼”が導入されたのだった。

◇◇◇

「……で、みなさんどうでした?」

 その日の夕方、作業を終えた村人たちは見違えるほど活き活きしていた。

「いや~、久しぶりに働いたら身体が軽くなった気がするわ!」

「表彰狙いで張り切っちまったぜ!」

 まさかの“働く喜び”を再確認した村人たち。
 ミサトは心の中でガッツポーズを取った。

『はい。ミサト。労働意識の改善ミッション成功です。
 次は“成果主義評価制度”を導入して、持続的モチベーションを維持させましょう』

「リリィ…。言ってることブラック企業上司みたいになってきてるぞ」

『はい。ミサト。ミサトの影響ですね』
「はは、、私の影響かいっ!」
 リリィの毒舌にミサトは苦笑した。

 だが、確かにこれがミサトの“この世界で生きるための道”なのだろう。

「よし、次は“売上を伸ばす営業活動”だね」

 こうして、桜井ミサトの“異世界働き方改革”が本格的に始動するのだった。


          続
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