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山男?…熊騎士だ!
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秘密基地に戻ったリディアは、さっそく荷物を運び出して整理を始めた。メリーちゃんの毛から次々と出てくる椅子やランタン、小さな絨毯に感嘆の声をあげる。「ほんとに全部入ってたんだね、すごい!メリーちゃんはポーションよりも不思議だよ!」
「メェ~」と応えたメリーちゃんは、自分のふわもこ毛を得意げに揺らしながらリディアの周りを歩き回った。その姿に思わず笑顔になるリディア。「じゃあ、このランタンはここ、絨毯はこっちだね!」
秘密基地は、リディアらしい明るさと遊び心に満ちた空間へと変わっていった。ドラゴンの皮を敷いた祭壇の上には、小さなピンクの布をかけ、その上にお気に入りの石版を飾った。絨毯の上には、ふかふかのクッションをいくつも並べて、座っても寝転んでも気持ちいいコーナーが完成した。
壁際には集めたランタンを並べ、それぞれ違う色の光を放つように工夫した。リディアはうっとりとその光を眺め、「なんだか、すごくいい雰囲気になった!」と満足そうにうなずいた。
メリーちゃんはその間も秘密基地の中をぴょこぴょこと跳ね回り、時折リディアが持ち帰ったフルーツに鼻を近づけたり、絨毯の上でくるくる回ったりして遊んでいた。
「さて、休憩しよっか」とリディアは小さなテーブルを広げ、冒険者ギルドの売店で買ったクッキーと果物、ハーブティーを並べた。メリーちゃんにも、小さく切った果物をひとつ差し出すと、嬉しそうに「メェ~」と鳴いてぱくりと食べた。
「ふふ、メリーちゃんと一緒だと楽しいね」とリディアは微笑みながら、クッキーを一口。秘密基地はひんやりとして静かだったが、その中で光るランタンの温かい光と、ふわふわのメリーちゃんがいることで、どこよりも居心地のいい場所に感じられた。
「ここで、もっとたくさんのポーションを作って、もっと素敵なものを集めよう」とリディアは胸を弾ませながら言った。「メリーちゃん、これからもよろしくね!」
メリーちゃんはふんわりとした毛を揺らして「メェ」と応え、リディアの足元に丸くなって寄り添った。秘密基地での穏やかな時間は、リディアに新しい冒険への活力を与えるかのように、ゆっくりと流れていった。
すっかりおなじみになってきたダンジョンの一階、いつものようにリディアが露店を広げていた。
色とりどりのポーションが並び、通りがかった冒険者たちが興味津々に覗き込んでは、「こんなの見たことないぞ」と笑い声をあげていた。
「さあさあ、新作ポーションはいかが?今日は『軽やかステップポーション』が目玉商品だよ!」とリディアが元気よく呼びかけると、冒険者たちが「どんな効果だ?」と詰め寄ってきた。
「飲むとね、どんな崖でも軽々ジャンプできちゃうの!ただし、勢い余って飛びすぎたら注意してね!」と無邪気に笑うリディア。その場はすっかり和やかな空気に包まれた。
そんな中、ふと群衆の向こうから何か大きな影が近づいてくる気配がした。リディアが顔を上げると、現れたのは、全身ボロボロで埃まみれ、まるで山男のような姿の熊騎士だった。
「……ん?熊さん?」リディアが首をかしげる。次の瞬間、「リディア!」と太い声が響いた。
「うわっ!」驚いて一歩下がったリディアをよそに、熊騎士――いや、正確にはハーゲンがズカズカとこちらへ向かってきた。いつもの立派な鎧はどこへやら、彼は顔に泥や傷をつけ、服もボロボロ。背負った巨大な剣には草や土がこびりついている。
「ようやく見つけたぞ、お前!」とハーゲンは、声も荒くリディアの目の前に立ちはだかった。
「えっ……えっ……何?」とリディアは怯えたように、メリーちゃんの背中に隠れた。
「何じゃない!俺たちはずっとお前を探してたんだぞ!」と彼は言い放ち、大きな腕を振り上げた。「お前のポーションの力が必要だ。団長命令だ、協力してもらう!」
「いやいやいや!」リディアは必死で首を振りながら、メリーちゃんの毛を掴んでさらに後退する。「だって街を出たのに、どうして追いかけてくるの!」
「理由はどうでもいいだろうが!」とハーゲンが言いかけたそのとき、ふわっとメリーちゃんの毛から荷物がひとつ飛び出し、彼の足元に転がった。見れば、それはリディアの作った『ぴょんぴょんポーション』だ。
「あっ、触らないでね!」リディアが慌てて声をあげたが、時すでに遅し。ハーゲンの靴がポーションを踏みつけた瞬間、彼の体がぐわんと宙に浮いた。
「おい、何だこれ!?うわっ!」ハーゲンの巨体がまるで軽羽のように上下に跳ね回る。リディアは一瞬呆然としていたが、次第に「ぷっ……ふふっ……はははは!」と声を上げて笑い出した。
「何がおかしいんだ!止めろ!」と必死にもがくハーゲン。しかしその姿は、真剣さとは裏腹に滑稽で、周囲の冒険者たちまでも笑い出してしまった。
リディアは腹を抱えて笑いながら、「だから言ったのに!ぴょんぴょんポーションだって!」
「俺を実験台にするな!」と叫びつつも、結局ハーゲンはぴょんぴょん跳ねながら彼女の露店の周りを回る羽目になった。
リディアは目に涙を浮かべながら、「もう、熊さんってばおっかしい!だけど、これで怒らないでよね!」とようやく声をかけた。
その言葉にハーゲンはぐっと黙り、ぴょんぴょんの勢いでその場に転がり込んだ。彼の泥まみれの顔には、いつの間にか微かな苦笑が浮かんでいた。
「メェ~」と応えたメリーちゃんは、自分のふわもこ毛を得意げに揺らしながらリディアの周りを歩き回った。その姿に思わず笑顔になるリディア。「じゃあ、このランタンはここ、絨毯はこっちだね!」
秘密基地は、リディアらしい明るさと遊び心に満ちた空間へと変わっていった。ドラゴンの皮を敷いた祭壇の上には、小さなピンクの布をかけ、その上にお気に入りの石版を飾った。絨毯の上には、ふかふかのクッションをいくつも並べて、座っても寝転んでも気持ちいいコーナーが完成した。
壁際には集めたランタンを並べ、それぞれ違う色の光を放つように工夫した。リディアはうっとりとその光を眺め、「なんだか、すごくいい雰囲気になった!」と満足そうにうなずいた。
メリーちゃんはその間も秘密基地の中をぴょこぴょこと跳ね回り、時折リディアが持ち帰ったフルーツに鼻を近づけたり、絨毯の上でくるくる回ったりして遊んでいた。
「さて、休憩しよっか」とリディアは小さなテーブルを広げ、冒険者ギルドの売店で買ったクッキーと果物、ハーブティーを並べた。メリーちゃんにも、小さく切った果物をひとつ差し出すと、嬉しそうに「メェ~」と鳴いてぱくりと食べた。
「ふふ、メリーちゃんと一緒だと楽しいね」とリディアは微笑みながら、クッキーを一口。秘密基地はひんやりとして静かだったが、その中で光るランタンの温かい光と、ふわふわのメリーちゃんがいることで、どこよりも居心地のいい場所に感じられた。
「ここで、もっとたくさんのポーションを作って、もっと素敵なものを集めよう」とリディアは胸を弾ませながら言った。「メリーちゃん、これからもよろしくね!」
メリーちゃんはふんわりとした毛を揺らして「メェ」と応え、リディアの足元に丸くなって寄り添った。秘密基地での穏やかな時間は、リディアに新しい冒険への活力を与えるかのように、ゆっくりと流れていった。
すっかりおなじみになってきたダンジョンの一階、いつものようにリディアが露店を広げていた。
色とりどりのポーションが並び、通りがかった冒険者たちが興味津々に覗き込んでは、「こんなの見たことないぞ」と笑い声をあげていた。
「さあさあ、新作ポーションはいかが?今日は『軽やかステップポーション』が目玉商品だよ!」とリディアが元気よく呼びかけると、冒険者たちが「どんな効果だ?」と詰め寄ってきた。
「飲むとね、どんな崖でも軽々ジャンプできちゃうの!ただし、勢い余って飛びすぎたら注意してね!」と無邪気に笑うリディア。その場はすっかり和やかな空気に包まれた。
そんな中、ふと群衆の向こうから何か大きな影が近づいてくる気配がした。リディアが顔を上げると、現れたのは、全身ボロボロで埃まみれ、まるで山男のような姿の熊騎士だった。
「……ん?熊さん?」リディアが首をかしげる。次の瞬間、「リディア!」と太い声が響いた。
「うわっ!」驚いて一歩下がったリディアをよそに、熊騎士――いや、正確にはハーゲンがズカズカとこちらへ向かってきた。いつもの立派な鎧はどこへやら、彼は顔に泥や傷をつけ、服もボロボロ。背負った巨大な剣には草や土がこびりついている。
「ようやく見つけたぞ、お前!」とハーゲンは、声も荒くリディアの目の前に立ちはだかった。
「えっ……えっ……何?」とリディアは怯えたように、メリーちゃんの背中に隠れた。
「何じゃない!俺たちはずっとお前を探してたんだぞ!」と彼は言い放ち、大きな腕を振り上げた。「お前のポーションの力が必要だ。団長命令だ、協力してもらう!」
「いやいやいや!」リディアは必死で首を振りながら、メリーちゃんの毛を掴んでさらに後退する。「だって街を出たのに、どうして追いかけてくるの!」
「理由はどうでもいいだろうが!」とハーゲンが言いかけたそのとき、ふわっとメリーちゃんの毛から荷物がひとつ飛び出し、彼の足元に転がった。見れば、それはリディアの作った『ぴょんぴょんポーション』だ。
「あっ、触らないでね!」リディアが慌てて声をあげたが、時すでに遅し。ハーゲンの靴がポーションを踏みつけた瞬間、彼の体がぐわんと宙に浮いた。
「おい、何だこれ!?うわっ!」ハーゲンの巨体がまるで軽羽のように上下に跳ね回る。リディアは一瞬呆然としていたが、次第に「ぷっ……ふふっ……はははは!」と声を上げて笑い出した。
「何がおかしいんだ!止めろ!」と必死にもがくハーゲン。しかしその姿は、真剣さとは裏腹に滑稽で、周囲の冒険者たちまでも笑い出してしまった。
リディアは腹を抱えて笑いながら、「だから言ったのに!ぴょんぴょんポーションだって!」
「俺を実験台にするな!」と叫びつつも、結局ハーゲンはぴょんぴょん跳ねながら彼女の露店の周りを回る羽目になった。
リディアは目に涙を浮かべながら、「もう、熊さんってばおっかしい!だけど、これで怒らないでよね!」とようやく声をかけた。
その言葉にハーゲンはぐっと黙り、ぴょんぴょんの勢いでその場に転がり込んだ。彼の泥まみれの顔には、いつの間にか微かな苦笑が浮かんでいた。
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