脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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待ち遠しい

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ある日の午後、リディアはチョコエッグをにこにこと眺めていた。

チョコ色の殻はほんのり艶を帯びていて、見ているだけで甘い香りがしてきそう。メリーちゃんの卵だった頃のことを思い出し、少しだけ胸がきゅんと高鳴る。

「本当に何かが生まれてくるのかな…? 食べちゃったらどうしようって思ってたけど、やっぱりこれは“卵”だよね」

メリーちゃんは「メェ!」と鳴いて、リディアを覗きこむようにしている。ふわふわの綿菓子毛を揺らしながら、その卵が気になるのか、くんくんと鼻先を近づけていた。

「メリーちゃんも卵から生まれてきたし、もしこの子も生まれてきたら、仲良くしてあげてね」

リディアはそう言いながら、卵を手のひらで包み込むように持ち上げた。少しひんやりとした感触がする。まだ温めが足りないのかもしれない。とりあえず、お布団の上に柔らかなクッションを置いて、その上に卵を安置することにした。

「こうして温めておいたら、何か変化があるかな。メリーちゃんが生まれたときは、私も分からないまま一生懸命抱いてたっけ…」

卵をクッションに寝かせると、リディアは小さな毛布まで持ってきて優しくかける。まるで大事な赤ちゃんをあやすみたいに、そっと撫でながら様子を見守った。メリーちゃんは少し離れた場所で、なんだか誇らしげに尻尾を振っている。

翌朝、リディアは目をこすりながら卵のところへ行ってみた。すると、チョコレート色の殻の表面に、うっすらと白い斑点が浮かんでいるのを発見した。触れてみると、ほんの少しだけ温かい。

「え、もしかして、温められてきたってこと…? それともチョコが溶けて模様が出てきたのかな」

リディアは興奮気味にメリーちゃんを呼んで、卵の変化を確認する。一方のメリーちゃんは「メェ!」と鳴き、卵をじっと見つめながら満足そうにふわふわの毛を揺らした。リディアは引き続き、卵を冷やさないように少し手を添えて温めてやることにした。

そうして何日かが過ぎた。リディアはポーション作りの合間に卵を覗き込む日々を送る。夜になると抱きかかえて寝たり、メリーちゃんの毛に卵を包んでもらったりして、温度を保とうとしていた。卵の表面に増えていく淡い模様と、小さな温かさが徐々に育っているようで、リディアの胸は期待と不安でいっぱいだ。

「本当に孵化してくれたら、きっと可愛い茶色の子が生まれてきてくれるんだよね…」

ある夜、リディアは卵のそばでウトウトしながら、そんな甘い夢を見ていた。チョコレート色の毛並みをもつ子が、メリーちゃんのふわもこ毛に埋もれて楽しそうに戯れる光景。想像するだけで頬が緩んで、リディアは目を閉じながらメリーちゃんの鳴き声を聞く。

「メェ…」
「うん、焦らず待とうね。きっと大丈夫…」

こうして日々、大事に卵を温めるリディアとメリーちゃん。

彼女たちの秘密基地では、ふわふわで甘い雰囲気が漂う中、新たな仲間を迎え入れる準備が少しずつ進められていた。
どんな姿が殻を割って顔を出すのか、その瞬間を思うだけで、リディアの胸はときめきでいっぱいになっていくのだった。
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