脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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導かれて

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翌朝、リディアは秘密基地のベッドから軽やかに起き上がり、まだ眠そうなメリーちゃんを起こすと同時にタフィーちゃんに声をかけた。

「おはよう、二人とも!昨日の地図、気になるよね。お風呂ライフをもっと充実、って書いてあったやつ!」

部屋のテーブルに広げてあった魔法の地図は、今もまるで得意げに小さく震えている。
リディアが改めて覗き込むと、地図の端が青白く光りながら、少し遠くの場所を指し示していた。
イラストのような湯気のマークや、あひるのおもちゃの絵などが点々とあり、とにかく「風呂関連!」を強く主張しているのが可笑しい。

「ふふっ、なんだか面白そう。よーし、今日はこの場所に行ってみようか!」
リディアがそう宣言すると、メリーちゃんは「メェ!」と小さく鳴いて同意を示す。チョコレートスライムのタフィーちゃんも、とろりと体を揺らしてテーブルからぷるんと下りてきた。

「タフィーちゃんも来たいよね? じゃあ全員で行こう!」
秘密基地で簡単に朝ごはんを済ませると、リディアは魔法の地図をバッグに入れ、必要なポーション類をメリーちゃんの綿菓子毛に吸い込ませた。「お風呂ライフをもっと充実」などと書かれているくらいだから、お風呂に関連する新アイテムや施設が見つかるのかもしれない。胸が自然と高鳴る。


いつものようにダンジョンの通路を抜けて街の広場へと出ると、リディアはさっそく地図を開いて方向を確かめた。
カラフルなラインが示すのは、街の外れに近い、小高い丘のあたりを指しているらしい。

「この辺、前に行ったことあったっけ? なんか、この道の先はあんまり歩いたことない気がするけど……」
リディアは首をかしげつつも、メリーちゃんとタフィーちゃんを連れて街外れへと進んだ。気分はちょっとしたピクニックだ。道行く冒険者が不思議そうに彼女たちを見ているが、リディアはご機嫌に挨拶しながら通り過ぎる。

「地図がこんなに ‘お風呂!お風呂!’って主張するなんて、相当特別な場所なのかな?」
タフィーちゃんは体をぷるんぷるんさせて、あたかも「ぼくも興味ある!」と言っているように見えた。メリーちゃんは「メェ!」と鳴きながら、足取り軽く先へ先へと進む。


やがて小高い丘に到着すると、視界に入ってきたのは苔むした古い門のようなものだった。
門の奥には細長い石畳の通路が続いているようだが、周囲の木々が生い茂っており、かなり昔から使われていない雰囲気が漂う。

「ここだね、きっと。地図が示すのは……うわ、なんか秘密の入口って感じ!」
リディアは門の前で立ち止まり、魔法の地図を再度確認する。
そこには小さく湯気のマークが描かれ、どうやら中にはお風呂関連の何かが待っているということを示している。

「ワクワクするなあ。行ってみようか、メリーちゃん、タフィーちゃん!」
勇気を出して門をくぐると、石畳が続く通路はしっとりとした空気に包まれていた。苔の匂いと、遠くから聞こえてくる水のせせらぎのような音が混じり合い、ひんやりした涼しさが心地いい。

メリーちゃんは先頭を進みながら、尻尾をふわふわさせつつ「メェ♪」とときどき鳴く。タフィーちゃんも道端の苔をぷるんと舐めては、不思議そうに体を揺らしている。

「何があるんだろうねえ。温泉か、またすごい浴槽とか?」
リディアは胸の高鳴りを感じながら、地図をしっかり握りしめる。さっそく、あの噴水みたいに面白いお風呂が現れたりするかもしれないし、未知のお風呂用品が見つかるかもしれない——そんな想像が頭の中をぐるぐる駆け巡る。

「よーし、行ってみよー!」
リディアが声を弾ませると、メリーちゃんは力強く「メェ!」と返事をし、タフィーちゃんもチョコ色の体をぷるぷるさせて一歩前へ進んだ。
丘の上の静まり返った道は、彼女たちをいったいどんな発見へ導いてくれるのだろうか。甘く、ゆるやかな冒険の風が、さわやかに三人を包み込んでいた。
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