沈みゆく赤い島

ねむたん

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1章

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 潮風が心地よく吹き抜ける堤防沿いを、海斗と七海が歩いていた。

 七海は足元の小石を見つけては蹴飛ばし、くるくると回りながら先へ進む。

「お兄ちゃん、昨日の魚、めっちゃ大きかったよね!今日も行こうよ!」

 七海は無邪気な声を上げる。

「まぐれだよ、まぐれ」

 海斗はポケットに手を突っ込んだまま、鼻で笑った。

「次は七海が釣れるか試してみな」
「ぜったい釣るもん!」

 七海がムキになって言い返す。

 ふと前方を見ると、小学校の屋根が見えてきた。朝の陽ざしが反射して、瓦屋根が明るく輝いている。

 校庭の片隅に小さな影が見えた。地面をじっと見つめてしゃがんでいるのは、陽菜だ。

「おーい、ひなー!」

 海斗が手を振ると、陽菜が顔を上げた。

「おはよう!」

 陽菜は手に何かを持ったまま駆け寄ってくる。

「何持ってるの?」

 七海が興味津々で聞くと、陽菜は手の中のものを見せた。

「落ち葉だよ。さっき校庭にいっぱい落ちてたの。片付けてたら、指にヤモリが乗っちゃった!」
「ヤモリ?どこ?まだいる?」

 七海が目を輝かせると、陽菜は肩をすくめて笑った。

「もういなくなっちゃった。でも、また見つけたら教えてあげる」

 三人で校舎の玄関へ向かうと、颯太がランドセルを背負ったまま靴を脱いでいるところだった。

「颯太、おはよ!」

 七海が元気に声をかけると、颯太は振り返ってニコニコ笑った。

「おはよう!さっき、ヤギが校庭にいたんだよ!」
「えっ、ほんと?」

 陽菜が驚いて振り返るが、颯太は首を横に振る。

「もう帰っちゃったけどね」
「なんだ、いないのか…」

 陽菜は肩を落としたが、颯太はにっこりと「また来るよ!」と笑った。

 四人は靴を履き替えて教室に入った。窓際の席に座っていた悠人が、ぼんやりと空を見上げている。

「悠人、何してんの?」

 海斗が声をかけると、悠人はゆっくり振り返った。

「さっき鳥が空でクルッと回ったんだよ。あれ、どうやってやるんだろう」
「鳥の気持ちなんて知らないよ!」

 海斗が笑うと、悠人は「いや、風のせいかもしれない」と真剣な顔で言った。

「悠人くんの話って、面白いよね」

 陽菜がクスクス笑うと、悠人は「そうかな」と呟いて再び窓の外を見た。

 教室にはいつものメンバーが揃った。七海が机を叩いて話題を切り出す。

「ねえ、今度みんなで宝探ししない?北の岩場に行こうよ!」
「いいな、それ!」

 海斗がすぐに乗り気になる。

「僕、ヤギに乗って探したい!」

 颯太が目を輝かせて言うと、陽菜が呆れたように首を振る。

「ヤギは宝じゃなくて草を探すでしょ」

 教室には、みんなの笑い声が響いた。今日もきっと、にぎやかな一日になる。そんな予感が、島の朝をやさしく包み込んでいた。
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