6 / 23
1章
6
しおりを挟む次の日、教室に集まった5人は、先生のために何ができるか真剣に話し合っていた。普段はふざけることが多い海斗も、このときばかりはリーダーらしい顔つきで言う。
「とにかく先生を元気にするには、先生が好きなことをするのが一番だろ」
「やっぱりフラダンスじゃない?」
悠人があっさり提案すると、七海がすぐに首を振った。
「いやいや、それは前にやったでしょ!何か新しいことをしなきゃダメだよ」
「じゃあ、先生の好きなものをプレゼントするのはどう?」
陽菜が控えめに提案すると、颯太が手を挙げた。
「僕、お花摘んでくる!」
「お花もいいけど、それだけじゃ地味じゃない?」
七海が悩むように言う。
「じゃあさ、プレゼントも用意して、何か面白いことを一緒にやるとかどう?」
海斗が言うと、全員がうなずいた。
「それで、面白いことって何?」
陽菜が聞き、みんながしばらく考え込む。
すると、悠人がぽつりと言った。
「川遊びはどう?」
「川遊び?」
七海が目を丸くする。
「先生、滝のある川が好きって言ってたじゃん。みんなで行って、川で遊びながら何か楽しいことをしようよ」
悠人の案に、ほかの4人は顔を見合わせたあと、頷いた。
「いいじゃん、それ!」
海斗が笑いながら拳を握る。
「先生を川に連れて行って、みんなで遊んで、元気にしてあげよう!」
「じゃあ、プレゼントはどうする?」
陽菜が気にすると、七海がニヤリと笑った。
「それは私たちが準備するから、みんなも協力してね!」
放課後、5人は先生を校庭に誘い出した。七海が走り寄って、腕を掴む。
「先生!今日は特別な場所に行こう!」
「特別な場所?」
先生は首を傾げたが、七海の熱心な様子に少し笑みを浮かべた。
「どうして?」
「それは行ってからのお楽しみ!」
海斗が横で笑い、颯太が先生の手を引く。
「早く早く!」
渋る先生を連れ、子どもたちは滝のある川へと向かった。途中、草むらを飛ぶバッタを見つけて立ち止まったり、川沿いの石を拾っては投げたりと、相変わらずのにぎやかさだ。
滝の前に到着すると、先生は驚いたように目を丸くした。「ここ、お祭りで来た川ね。昔、この辺りでよく遊んだのよ」
「そうでしょ!先生もここ好きかなって思ったんだ!」
七海が胸を張る。
「で、せっかくだから!」海斗が大声を上げる。「今日はみんなで遊ぶんだ!」
颯太は早速靴を脱いで川に飛び込む。
「ひんやりして気持ちいい!」
陽菜は少し迷いながら足を水に入れ、「冷たいけど、確かに気持ちいいね」と微笑む。
悠人は川辺の石を拾い上げて、「この形、先生に似てるかも」と言って笑いを誘う。
先生はその光景を見ながら、次第に顔をほころばせた。
「みんな、ありがとうね。私、なんだか元気が出てきた気がする」
「まだ終わりじゃないよ!」
七海が声を張り上げる。彼女が手にしていたのは、小さな花束と、子どもたちが寄せ書きしたメッセージカードだった。
「これ、先生に!」
先生は驚きながら受け取り、花束とカードをじっと見つめた。
「みんな…こんな素敵なことをしてくれるなんて…」
「先生、これで元気になったでしょ!」
颯太が嬉しそうに言うと、先生は笑顔でうなずいた。
「ええ、とっても元気になったわ。本当にありがとう」
夕焼けが川辺を染める頃、子どもたちの笑い声と水しぶきの音が滝の音に混ざって響いていた。先生の笑顔を取り戻したことで、5人はまたひとつ、忘れられない思い出を作ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
1話5分でゾッと出来る話。短編ホラー集。短編怖い話は、そこにある
みにぶた🐽
ホラー
9時から24まで1時間に1話更新中。7/26 14時に100話で終了か判断中です!
1話完結型短編ホラー集。非日常、ホラーチックなちょい怖、世にも奇妙な体験をどうぞ
下記の怖さメーターをタイトルで確認して希望の話だけでもどうぞ
怖さメーター
★★★★★(極恐怖)
★★★★☆(高恐怖)
•絶望的結末、逃れられない運命
★★★☆☆(中恐怖)
•超常現象の不安だが最終的に解決
★★☆☆☆(軽恐怖)
•温かい結末への転換が明確
★☆☆☆☆(微恐怖)
•ほぼ感動系への完全転換
―それは、「日常」が崩れる瞬間。
ドアのすき間、スマホの通知、すれ違った人の顔。
あなたのすぐ隣にある“気づいてはいけない恐怖”を、あなたは何話まで読めるか?
これは、100の物語に潜む、100通りの終わらない悪夢。
──あなたの知らない日常が、ここにある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる