神様自学

天ノ谷 霙

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10月3日 重なり見える

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狐耳と尻尾、そして巫女服姿。ヒトには見えない姿のはずなのに、その姿でも私、稲森夕音だと認識して蓮乃くんは話しかけてきた。
私や稲荷様の力が弱まってきて、私の姿が認識されているのかと思った。けれど、この姿の私とすれ違った他の数人は、私に奇異な目を向けることもなかった。
「…なん…で…」
戸惑って、そんな言葉しか出てこなかった。蓮乃くんは私が自分にしか見えないことに気付いていない。私は必死に頭を動かして考える。
…そういえば、前に蒼くんのファンの子の心に干渉した時も、見えていた。強い心のSOSに反応して見えるようになってしまうのだろうか。
「…同じ…?」
「…え」
「…っあ、いや、似た姿を見たことがあって…確か神社で…」
神社。もしかして、編茶乃ちゃんが来ていた時の。
そう聞くと「編茶乃ちゃんを迎えに来ていた」と話した。
「編茶乃が家から逃げたのは後にも先にもあの1回だけなんだ。だからよく覚えている。俺が迎えに行って、帰ってきたら母様が泣きじゃくってて、眠ったままの編茶乃に謝ってて…編茶乃を抱き起こした時、黄緑色に光ってて…そのあと同じ姿の人が現れたんだ」
私と同じ狐の耳と尻尾を持ち、巫女姿の誰か。神社の中にいたなら、私が直前に会っていた…稲荷様?
「…蓮乃くん、今日文化祭終わった後時間ある?」
「あ、多分、あるけど…」
私は何か考えがあったわけではない。無意識に、勘で行動していた。
「…道、真逆かもしれないけど。編茶乃ちゃんが逃げた神社に行こう。そこで、何か分かるかもしれない」
「…おう」
私はそう言葉を交わして、その場を後にした。

人目のないところでいつも通りの姿に戻り、音楽鑑賞を終えた眞里阿と合流する。その間も、ずっと蓮乃くんのことが頭から離れなかった。ぐるぐるして、少し痛くて、でも不思議と早く真実が知りたくて。
時間の流れに早く進むように願いながら歩いた。そして、一般公開終了の放送を聞いた。
「あー…終わっちゃった…」
眞里阿の心の底から残念そうな声を聞いて、私は微笑む。
「眞里阿、編茶乃ちゃんともう少し話したかった?」
「えっなんで分かったの?」
「そんな感じがしただけ。連絡して一緒に帰る?」
「え、あっ…でも、夕音は逆方向だよ…?」
「あ、そっか。なら私は別で帰るよ。さっきお母さんに買い物頼まれちゃったし。編茶乃ちゃんが来るまではいるから」
「じゃあ…連絡してみる。ごめんね、ありがとう」
眞里阿は編茶乃ちゃんにメッセージを送り、了承を得たので近くの店で待つことにした。私もそれに付き合って一緒に待つ。楽しそうな眞里阿の話を聞いているだけで、時間は過ぎて行った。
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