神様自学

天ノ谷 霙

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11月2日 頑張りすぎる子

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「稲峰さんはまた眠ったみたいね」
「はい。先生の言葉に驚いて戸惑っていたみたいなので」
「そうねぇ…頑張り屋さんな子程、他人ひとに頼るの苦手なのよね。他人に教えるよりも自分でやった方が効率が良くて、ついつい抱え込んじゃうのよね。何か、誰か、心当たりはある?」
「…そうですね」
頑張り過ぎて空回り。花火が空回ってるところはあまり見たことは無いが、その前に失敗しないように気を張って、張りすぎて、今日みたいなことになってしまうのだろう。
「しかも大体それって気付かれてないのよね。むしろあの人は"出来る子だから"って仕事増やされちゃうの。もしくは自分で増やしちゃうの。頼られるのが嬉しくて、つい、ね」
先生は少し切なそうな表情をして目を細めた。昔のことを思い出しているかのようだった。
「あー…でも自分で増やしたら自業自得とか言われませんか?」
「そうね。そう言われることが多いわ。でもあれは自業自得じゃないのよ」
竜夜くんの言葉を、そっと先生が訂正する。私も同じようなことを考えていたので、後に続く言葉に耳を傾ける。
「頼り方が分からないのよ。自分で出来ることを頼るのが申し訳なくて。時間があれば出来る事も、たくさんあって忙しい時に全部出来るかって言ったら、そうじゃないでしょ?でも、それに気付けないの。稲峰さんみたいに、頑張りすぎる子は」
「…納得しました」
竜夜くんが先生と同じような表情で頷いた。国語の問題みたいな難しい言い回しに、少し理解が追い付かない。
「…えっと?」
「時間があるときに簡単な仕事一つやるのは簡単だろ?でも、忙しい時に簡単な仕事たくさんは出来ない。わかる?」
「…後半が…」
「書き終えるのに1つ10分かかるレポートを、6つ書くとするだろ?どれくらいの時間がかかる?」
「1時間だね」
「単純に考えたらそうだろ?でもそれは休憩なしでぶっ通しでやった場合だ。その中には調べなきゃいけないものや誰かに聞かなきゃいけないものもある。書くだけで10分かかるのに、聞いたり調べたらもっとかかるだろ?」
「うん。1つ2、30分はかかりそうかな」
「そうだろ?でも頑張りすぎる人はその計算で考えてしまうんだ。私が急げば間に合うんだから、私が頑張れば終わるような簡単な仕事を、他の人に頼るのは申し訳ないって」
「あー。分かったかも」
丁寧に例を混ぜた説明が、とても分かりやすかった。私が納得した時、後ろから「うぅん」と唸る声が聞こえた。どうやら、花火が起きたようだ。
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