神様自学

天ノ谷 霙

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11月23日 小5のあの日

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「夕音になら、話しても良いかな」
霙はそう小さく呟いた。悲しそうに笑って、首を横に振る。
「…ごめん。今から話すことは独り言だと思って聞き流して。それで、忘れてくれると嬉しい」
私が頷くと、霙は泣きそうな表情のまま、唇を震わせて話し出した。
「小学1年生の4月。雪と富が隣に引っ越してきた。隣っていっても、私の家は神社だから結構遠くて。でも同級生だし友達になりたくて、たくさん話しかけて遊んだ。それから何年も付き合いがあって、2人とは腐れ縁みたいになった。喧嘩もするけど、でもやっぱり絶交する事は無くて。ずっと楽しかった。そんな時に、確か小5の時、親友だと思ってた友達が私の悪口を言ってるのが教室のドア越しに聞こえたんだ。自覚してるところだったし、嫌われやすい性格なのは分かってたから、誰に何言われても、ショック、受けないつもりだったんだけどなぁ…」
くうを見つめて、ため息をつく霙。瞳が水分を含んで潤んでいる。
「…その時、私だけじゃなくて、雪と富の悪口も聞こえたんだ。私と関わっているせいで、2人も悪く言われるの、嫌だなぁって思った。2人には、死んでも言わないけど」
肩をすくめて笑う霙。その笑顔には、自嘲の意味も含まれているように感じた。
「だったら、私がいなくなれば良いと思った。そうしたら、2人が悪く言われることもないって、本気で思った」
霙は笑顔のまま、そう告げる。その意味が咄嗟に理解出来なくて、思考が一瞬停止した。何か言いそうになって、口を開く。しかし私が言葉を紡ぐ前に霙は話を続けた。途切れ途切れになった言葉の隙間から息継ぎが聞こえ、涙を我慢しているのが伝わってきた。
「死ぬのは怖くなかった。楽しみにしてたテレビも、漫画も、もう見られなくなるのは嫌だけどしょうがないかなぁって。計画して、待って、待って、待って、やっとその日が来た。私の誕生日と同じ霙が降る日が。私は職員室から鍵を盗んで屋上に侵入して、飛び降りようとした。これでやっと、雪と富が悪く言われることはないって思って。死のうとした時はそんなこと考えてなくて、人間不信になっちゃったからだと思ってたけど、よくよく考えたら1番怖かったのはそこだった。2人を巻き込んでいたのが怖かったんだ。でも、その巻き込みたくなかった2人のうちの1人に、気付かれて止められちゃった」
霙は少し頬を赤く染めて、照れたように笑う。先程の自嘲とは違う、可愛らしい笑顔。
「助けてくれた王子様に、私は恋に落ちて。でも暫く雪以外の人は信用出来なくて、竜夜とか紗奈も表面上だけ仲良くして、裏では警戒してた。それでも頑張って回復して、竜夜に背中を押されて、やっと雪と恋人になったんだ。それが私と雪の昔の話かな」
「…じゃあ、今、どうして雪くんのことを無視しているの?」
私の質問に、霙は涙をこぼした。
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