神様自学

天ノ谷 霙

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修学旅行 平和な時間

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「…お腹いっぱい…!」
今はお腹に触りたくないほどにパンパンになっている。夕食はバイキング形式で、席はクラスごとに指定された場所であれば自由だった。私の近くに明と深沙ちゃんがいたので、自然と大量の皿が机の上に並ぶ。凄いなぁ、と思って見ていると八千奈ちゃんが「夕音ちゃんも食べんー?めっちゃ美味しいよ」と一口分取って差し出してくる。ありがたいのだが、善意100%の笑顔でいわゆる「あーん」をされるのは、友達同士とはいえ恥ずかしさがあった。八千奈ちゃんの取ってきた料理のほとんどを一口くれたので、自分の取ってきた分も合わせてお腹にきた。私が食べると嬉しそうな笑顔を向けるのも、やめてと言えない理由の1つだった。
「美味しかったねー!満足だー」
「うん、満足満足」
霙が楽しそうに言ったのに、由芽が返す。平和な時間だ。
「部屋帰ったらお風呂か。誰から入る?」
「由芽、班長会議あるでしょ?先入って良いよ」
「あ、そう?ありがとう」
由芽と私が会話をしていると、霙が急に視界から消えた。それに気付いて周りを見ようとすると、後ろから勢いよく体温がのさがってきた。霙が抱きついてきたのだ。
「じゃあ夕音は私と入るー?」
腕を首に回され、少し歩きにくい。
「え?」
「馬鹿。やめなさい変態。通報するわよ」
「冗談だよ!?」
そこで霙の拘束は解かれた。長い廊下での会話は、目の前にドアが現れたことでそこで終了を告げた。由芽がカードキーでロックを開け、部屋に入る。戻るといった方が正しいのだろうか。
「じゃ、お先入るね~」
後の私たちのことも考えてなのだろうか、部屋に戻ってすぐに由芽は準備を済ませ、お風呂に入った。その間暇になったが、明日の準備とお風呂の準備を確認し、歯を磨く。私と霙はこの後何も無いので、完全な自由時間だ。
「どっちが先にお風呂入るー?」
霙が四肢をベッドに投げ出した状態で問いかける。逆さまになった顔で目線をこちらに向けるので、リラックスしているのが伝わってくる。私はそんな霙の姿に苦笑いをして、返事をする。
「どっちが良いー?」
「んー…夕音の方が髪長いし、先の方が良いんじゃない?私は後で良いし」
「本当?じゃあ先入らせてもらうね」
「りょうか~い」
ぐでぇ、と効果音が聞こえてきそうなほどだらけた霙。その後ろを見ると綺麗に袋が整列しているので、お風呂と明日の準備は終わっているのだろう。
「夕音~」
「んー?何ー?」
「暇だねー」
「暇だねー」
脳の溶けそうな中身のない会話を2、3していると、髪の濡れた由芽が現れた。
「お風呂上がったよ。次、どっち?」
「あ、私だ。いってきまーす」
そう言って私はお風呂セットを掴み、お風呂へ向かった。
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