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修学旅行2 浜辺
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「…つ、辻さん、少し…時間良いですか」
敬語で話しかけてきたのは、荷物積み込みの日に眞里阿が好きだと話していた男子だった。後ろの方であの時話していた友達2人が、心配そうにチラチラと彼を見ている。
「…は、はい…?」
眞里阿は困惑した様子で飲み終えたジュースのストローをいじっている。
「私が捨てておくから、行っておいで」
私がそう言うと、眞里阿は数秒迷って「ありがとう」と言った。
「え…っと、その、ちょっとついてきてください」
緊張した様子で私達の元から連れ出す男子。久しぶりの感覚。ズキズキと頭に痛みが走る。雨の気配が近付いて、遠ざかる。眞里阿の背中を見送って、痛みを何とか 堪える。眞里阿を追いかけたい衝動を必死に堪える。
その時後ろから、不規則な呼吸音と走るような足音が聞こえた。
「辻…は…!?」
呼吸の合間に絞り出したらしい声で問いかけてきたのは、浅野くんだった。
「男子に呼ばれて行ったよー。告白かな?」
紗奈がソフトクリームを食べ終えた指を舐めながら答える。浅野くんは明らかに動揺して、眞里阿が行った方向にもう一度走り出す。
「…っどこ行くの…!?」
「辻のとこ!!」
気温が上がってきて、12月だとは思えないほどに暑い今日。全力で走ったせいで滲む汗を手で拭いながら、浅野くんはそう答えた。紗奈はびっくりしてそのまま固まってしまっている。
「…っごめん紗奈、すぐ戻る!」
私はゴミを捨てておくという約束を放って、浅野くんを追いかけた。
眞里阿達がいたのは、階段を降りた先の小さな浜辺だった。浅野くんは上から2人が見える場所に倒れこむようにして立った。2人の声は、上からじゃ聞こえない。私は浅野くんの数歩後ろに着いた時に、それは起こった。
「…眞里阿ぁぁあああ!!!!」
浅野くんから聞いたことのない大きな声。呼吸も未だ整っていないのに、そんなの関係ないとでもいうかのように、はっきりと叫んだ。2人が同時に浅野くんを見上げる。
「ごめん、告白の邪魔して…!でも、俺も言いたい…!好きだ…好きだぁぁぁあああ!!」
力任せに叫んで、浅野くんは咳込む。ムードも何もない、勢い任せの告白。
「…かおくん…」
眞里阿は戸惑った様子だったが、頬を赤く染めてはにかむように笑った。そして相手の男子に向き直って、
「ごめんなさい。私、好きな人がいるんです。…でも、好きだと言ってくださって、ありがとうございました」
と言った。
晴れの気配が、雨の気配と混ざり合って変な感じがする。眞里阿はきっちりとお辞儀をして、階段を上って浅野くんに駆け寄った。
「…かおくん、ありがとう。私も好きよ」
荒い息を整えている浅野くんの耳元で、囁く眞里阿。私は微笑んで、すぐに浜辺にいる男子を確認した。
そこにはもう既に駆け寄った友達と泣き笑いの表情で悔しそうにしている彼らの姿があった。
敬語で話しかけてきたのは、荷物積み込みの日に眞里阿が好きだと話していた男子だった。後ろの方であの時話していた友達2人が、心配そうにチラチラと彼を見ている。
「…は、はい…?」
眞里阿は困惑した様子で飲み終えたジュースのストローをいじっている。
「私が捨てておくから、行っておいで」
私がそう言うと、眞里阿は数秒迷って「ありがとう」と言った。
「え…っと、その、ちょっとついてきてください」
緊張した様子で私達の元から連れ出す男子。久しぶりの感覚。ズキズキと頭に痛みが走る。雨の気配が近付いて、遠ざかる。眞里阿の背中を見送って、痛みを何とか 堪える。眞里阿を追いかけたい衝動を必死に堪える。
その時後ろから、不規則な呼吸音と走るような足音が聞こえた。
「辻…は…!?」
呼吸の合間に絞り出したらしい声で問いかけてきたのは、浅野くんだった。
「男子に呼ばれて行ったよー。告白かな?」
紗奈がソフトクリームを食べ終えた指を舐めながら答える。浅野くんは明らかに動揺して、眞里阿が行った方向にもう一度走り出す。
「…っどこ行くの…!?」
「辻のとこ!!」
気温が上がってきて、12月だとは思えないほどに暑い今日。全力で走ったせいで滲む汗を手で拭いながら、浅野くんはそう答えた。紗奈はびっくりしてそのまま固まってしまっている。
「…っごめん紗奈、すぐ戻る!」
私はゴミを捨てておくという約束を放って、浅野くんを追いかけた。
眞里阿達がいたのは、階段を降りた先の小さな浜辺だった。浅野くんは上から2人が見える場所に倒れこむようにして立った。2人の声は、上からじゃ聞こえない。私は浅野くんの数歩後ろに着いた時に、それは起こった。
「…眞里阿ぁぁあああ!!!!」
浅野くんから聞いたことのない大きな声。呼吸も未だ整っていないのに、そんなの関係ないとでもいうかのように、はっきりと叫んだ。2人が同時に浅野くんを見上げる。
「ごめん、告白の邪魔して…!でも、俺も言いたい…!好きだ…好きだぁぁぁあああ!!」
力任せに叫んで、浅野くんは咳込む。ムードも何もない、勢い任せの告白。
「…かおくん…」
眞里阿は戸惑った様子だったが、頬を赤く染めてはにかむように笑った。そして相手の男子に向き直って、
「ごめんなさい。私、好きな人がいるんです。…でも、好きだと言ってくださって、ありがとうございました」
と言った。
晴れの気配が、雨の気配と混ざり合って変な感じがする。眞里阿はきっちりとお辞儀をして、階段を上って浅野くんに駆け寄った。
「…かおくん、ありがとう。私も好きよ」
荒い息を整えている浅野くんの耳元で、囁く眞里阿。私は微笑んで、すぐに浜辺にいる男子を確認した。
そこにはもう既に駆け寄った友達と泣き笑いの表情で悔しそうにしている彼らの姿があった。
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