神様自学

天ノ谷 霙

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12月9日 疲労

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朝の登校時、夢見があまり良くなかったせいか、体に何か重石が乗っているような気怠さがあった。やはりお母さんに言われた通り疲れているのだろうか。電車で数駅の間も、いつもよりやる気が起きなくてぼんやりしてしまう。危うく乗り過ごすところだった。
どうしよう、寝不足かな。
昨日は気付かぬ内に寝てしまったように、本格的に疲れが溜まっているのかもしれない。授業中には眠気が襲い、授業中は瞼との格闘に苦戦した。先生の声がぼんやりとしか耳に入らない。聞き取れない。何だかグラグラする。黒板に何が書いてあるのか、判断が付かなくなって来た。
その時襲い来る、喉元に何かせり上がってくる感覚。
思わず唾を飲み込み、胸元をぎゅっと押さえる。
え、嘘。何で、吐き気?
混乱して、それでも何とか押さえ込もうとして、もう授業どころでは無い。呼吸がしづらくて、浅いものを繰り返す。浅い呼吸じゃ脳内に血が巡らなくて、余計にクラクラして来た。座ってるのもやっとで、動くこともままならない。
「…どうした?」
隣から聞こえてきた声に、私は緊張が走る。バレてはいけない。なんだかそんな気がして、無理に笑顔を作る。
「ううん、何でもない」
私の返答に、竜夜くんは怪訝そうな顔をして手を挙げた。
「先生、稲森さんが体調悪そうなので保健室に連れて行きます」
「えっ」
竜夜くんはそのまま立って、私を誘導する。戸惑ったが、何とか体が動いたのでついて行くことにした。
「…ごめん」
「何で謝るんだ?体調悪いんだろ、無理すんな」
私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれる竜夜くん。竜夜くんを借りるなんて、紗奈に怒られちゃうな、なんて考えて自分の体調から目を背けていた。
「…なんで、わかったの?」
「え?あぁ…何も無かったら『どうした』って聞いたところで『何が?』って返ってくるんだよ、普通。『何でもない』って言うことは、何かしら誤魔化してるってことだ。強情な奴が俺の近くには多いからな」
そう言って笑う竜夜くん。隣がこの人で良かったな、と思った。紗奈の相手で、良かったなぁ。
「失礼します」
竜夜くんの先導で、保健室に入る。保健の先生はこちらを向いて眉尻を下げる。
「真っ青ね。風邪かしら」
私をソファに座らせた後、竜夜くんと簡単な問答をする。私はもうそれを聞き取る元気も無かったため、何を話しているかは分からなかった。
「お願いします」
礼儀正しくそう言って、竜夜くんは保健室を後にした。先生は私の額に触れ、しょうがないな、と言うように微笑んだ。
「熱測るよ」
差し出された体温計を手に取る元気も、私にはもう既に無かった。
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