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悩み事relieve 利羽(短編)
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考え事に耽っていて、蒼くんが戻って来ていたことに気付けなかった。
「…う、利羽?」
「はっ、えっ、な、何?」
反射的にそう答えて、蒼くんが向かいの席に座っていることを知った。どうもボーッとしてしまう。考え事に夢中になってしまう。せっかく夕音に背中を押して貰って、両思いだと知って、付き合えたのに。
そこまで考えて、ハッとする。思い出す。夕音のおかげで今の私達の関係があることを。夕音のおかげで女子からの反感を乗り越えられて、私らしくいられて、それはずっと思っていたこと。お礼がしたい。次は私が力になりたい。そう思っていたのに、どうして今迷っているんだろう。
「利羽、何か悩みでもあるの?」
蒼くんが新しいコーヒーを頼んで、私に問いかける。私は図星をつかれて、何と返すべきか戸惑って黙ってしまった。そんな私の様子を見て、蒼くんはふっと悲しそうに微笑んだ。
「言いたくないなら無理しなくていいよ」
それは強制ではないことを示す、優しい言葉。優しいはずなのにそれは私の胸を締め付けて。体調が悪いわけではないのに息苦しかった。私は何も言えずに俯いてしまう。
私の言葉で、何か蒼くんが気付いてしまうかもしれない。北原くんのことは同じクラスだし知っているだろうけど、夏川さんのことは話せない。夕音の恋心についても触れられない。だから余計なことを言って、蒼くんに知られるよりは…。
顔を上げて、私の考えは浅はかだと知った。悲しそうな蒼くんを見て、胸が締め付けられた。そりゃそうだ。久しぶりのデートなのに、彼女は考え事に耽って自分を見てくれない。そんな態度を取られて、悲しくないわけがない。私は意を決して、震える唇を動かした。
「…と、友達がね、ある男の子から好かれてるんだけど、その友達には別に好きな人がいて…その男の子を好きな女の子もいて…その女の子と友達は仲良くて、男の子が友達を好きって気付いたら、仲違いしてしまうかもしれないの。それでね、私はその女の子とあまり話したことが無いのだけど、誤解ですれ違ってしまうのは嫌で、それで、何とかしたいんだけど…分からなくて…私はその友達に何度も助けて貰ってるし、やっぱり彼女の好きな人と結ばれて欲しくて…えぇと…その…」
見切り発車で話し始めてしまったせいで、めちゃくちゃな説明になってしまった。声は震えるし、最悪だ。じわっと涙が溢れそうになる。
「利羽は、その友達が凄く大切なんだね」
蒼くんの助け舟のような言葉に、私は精一杯頷く。蒼くんはふっと微笑んだ。
「なら、支えてあげれば良いと思うよ。拗れたり仲違いしたとき、第三者が介入って難しいと思うんだ。本人同士で解決しなきゃならない、本人同士で乗り越えなきゃいけない問題だと思うんだ。だから利羽は、その友達が乗り越えられるように支えてあげると良いと思う。絶対の解答とはいかないけど、俺は利羽なら出来ると思うよ。それだけ大切に想ってる相手なんだ。きっと利羽の気持ちは伝わるよ」
蒼くんの言葉に、瞳の中がチカチカするような目の覚める思いだった。難しく考えすぎていた。わざわざ間に入って拗らないように振る舞うなんて難しいこと、私には出来ない。私に出来るのは、夕音を支えること。確かに、そうだ。
「ありがとう、蒼くん。そうだね、私、頑張ってみる。それから、デート中なのに考え事ばっかりでごめんね。この後は楽しもうね!」
笑顔になった私を見て、蒼くんも釣られてか笑う。やっと私らしくなれた。良かった。相談して、良かった。
私は、蒼くんのことがまた少し好きになった。
「…う、利羽?」
「はっ、えっ、な、何?」
反射的にそう答えて、蒼くんが向かいの席に座っていることを知った。どうもボーッとしてしまう。考え事に夢中になってしまう。せっかく夕音に背中を押して貰って、両思いだと知って、付き合えたのに。
そこまで考えて、ハッとする。思い出す。夕音のおかげで今の私達の関係があることを。夕音のおかげで女子からの反感を乗り越えられて、私らしくいられて、それはずっと思っていたこと。お礼がしたい。次は私が力になりたい。そう思っていたのに、どうして今迷っているんだろう。
「利羽、何か悩みでもあるの?」
蒼くんが新しいコーヒーを頼んで、私に問いかける。私は図星をつかれて、何と返すべきか戸惑って黙ってしまった。そんな私の様子を見て、蒼くんはふっと悲しそうに微笑んだ。
「言いたくないなら無理しなくていいよ」
それは強制ではないことを示す、優しい言葉。優しいはずなのにそれは私の胸を締め付けて。体調が悪いわけではないのに息苦しかった。私は何も言えずに俯いてしまう。
私の言葉で、何か蒼くんが気付いてしまうかもしれない。北原くんのことは同じクラスだし知っているだろうけど、夏川さんのことは話せない。夕音の恋心についても触れられない。だから余計なことを言って、蒼くんに知られるよりは…。
顔を上げて、私の考えは浅はかだと知った。悲しそうな蒼くんを見て、胸が締め付けられた。そりゃそうだ。久しぶりのデートなのに、彼女は考え事に耽って自分を見てくれない。そんな態度を取られて、悲しくないわけがない。私は意を決して、震える唇を動かした。
「…と、友達がね、ある男の子から好かれてるんだけど、その友達には別に好きな人がいて…その男の子を好きな女の子もいて…その女の子と友達は仲良くて、男の子が友達を好きって気付いたら、仲違いしてしまうかもしれないの。それでね、私はその女の子とあまり話したことが無いのだけど、誤解ですれ違ってしまうのは嫌で、それで、何とかしたいんだけど…分からなくて…私はその友達に何度も助けて貰ってるし、やっぱり彼女の好きな人と結ばれて欲しくて…えぇと…その…」
見切り発車で話し始めてしまったせいで、めちゃくちゃな説明になってしまった。声は震えるし、最悪だ。じわっと涙が溢れそうになる。
「利羽は、その友達が凄く大切なんだね」
蒼くんの助け舟のような言葉に、私は精一杯頷く。蒼くんはふっと微笑んだ。
「なら、支えてあげれば良いと思うよ。拗れたり仲違いしたとき、第三者が介入って難しいと思うんだ。本人同士で解決しなきゃならない、本人同士で乗り越えなきゃいけない問題だと思うんだ。だから利羽は、その友達が乗り越えられるように支えてあげると良いと思う。絶対の解答とはいかないけど、俺は利羽なら出来ると思うよ。それだけ大切に想ってる相手なんだ。きっと利羽の気持ちは伝わるよ」
蒼くんの言葉に、瞳の中がチカチカするような目の覚める思いだった。難しく考えすぎていた。わざわざ間に入って拗らないように振る舞うなんて難しいこと、私には出来ない。私に出来るのは、夕音を支えること。確かに、そうだ。
「ありがとう、蒼くん。そうだね、私、頑張ってみる。それから、デート中なのに考え事ばっかりでごめんね。この後は楽しもうね!」
笑顔になった私を見て、蒼くんも釣られてか笑う。やっと私らしくなれた。良かった。相談して、良かった。
私は、蒼くんのことがまた少し好きになった。
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