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4月10日過ぎの少年 竜夜
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一年の頃、俺と同じように片想いしていた海斗が無事に恋を実らせた。いきなり報告されて凄く驚いた。おめでとう、と言いつつからかった。いつもなら顔を真っ赤にして「勘違いすんなよ!」とか言う海斗が、頬をうっすら赤く染めて
「次はお前の番だな」
と返した。俺はそれに驚いた。そして同時に「おう」と返して拳をこつんとぶつけ合った。なんとなく、俺の癖。しかしその拳にいつもの元気は込められなかった。
今入のことは好きだ。それは間違いない。いつも俺をからかって、揚げ足とって、それでも憎めない。触れられると鼓動が高鳴る。それでも、俺は告白する事が出来ない。この関係が壊れて、今入の笑う顔が見れないのが怖い。俺は臆病だ。そんな事はわかっている。しかし勇気が出ない。背中を押されても、一歩が出ない。俺は何を待っているのか、どうすれば良いのか分からないまま日々を過ごしていた。
「はぁ…」
ため息を吐くと幸せになれない、とよく言うがため息を吐かなくても幸せになれそうに無い。いつも通りの毎日は楽しいけれど、無防備に他の男子とも触れ合う今入に胸が締め付けられる。軽いスキンシップ。分かっているはずなのにどうしても相手を羨ましく感じてしまう。俺の方が何倍もふざけあっているのに、少しのことで嫉妬してしまう。それにイライラして、海斗とかに当たってしまって、自己嫌悪の無限ループ。俺はどうしようもない馬鹿だ。誰かに背中を押して貰っても動けない。そのくせ独占欲は人一倍強い。本人には絶対言わないが、可愛いから誰かに盗られてしまう恐怖を感じていたのかもしれない。
「どうしよう…」
今入といつも通りふざけあって、6時になった。6時になるとどんな状態でも絶対に帰るのだ。俺はそれを見送ってそっと呟いた。足音が聞こえたが、それがどこに向かっているのか気付かなくて目を伏せていた。足音が止まって、視界に誰かの上履きが入る。同じ学年カラーだったので同級生だと思う。その足は明らかに俺に向かい合うように開かれていた。
「何、悩んでいるの?」
目の前には、怪訝そうに手を腰に当てた稲盛が立っていた。
「次はお前の番だな」
と返した。俺はそれに驚いた。そして同時に「おう」と返して拳をこつんとぶつけ合った。なんとなく、俺の癖。しかしその拳にいつもの元気は込められなかった。
今入のことは好きだ。それは間違いない。いつも俺をからかって、揚げ足とって、それでも憎めない。触れられると鼓動が高鳴る。それでも、俺は告白する事が出来ない。この関係が壊れて、今入の笑う顔が見れないのが怖い。俺は臆病だ。そんな事はわかっている。しかし勇気が出ない。背中を押されても、一歩が出ない。俺は何を待っているのか、どうすれば良いのか分からないまま日々を過ごしていた。
「はぁ…」
ため息を吐くと幸せになれない、とよく言うがため息を吐かなくても幸せになれそうに無い。いつも通りの毎日は楽しいけれど、無防備に他の男子とも触れ合う今入に胸が締め付けられる。軽いスキンシップ。分かっているはずなのにどうしても相手を羨ましく感じてしまう。俺の方が何倍もふざけあっているのに、少しのことで嫉妬してしまう。それにイライラして、海斗とかに当たってしまって、自己嫌悪の無限ループ。俺はどうしようもない馬鹿だ。誰かに背中を押して貰っても動けない。そのくせ独占欲は人一倍強い。本人には絶対言わないが、可愛いから誰かに盗られてしまう恐怖を感じていたのかもしれない。
「どうしよう…」
今入といつも通りふざけあって、6時になった。6時になるとどんな状態でも絶対に帰るのだ。俺はそれを見送ってそっと呟いた。足音が聞こえたが、それがどこに向かっているのか気付かなくて目を伏せていた。足音が止まって、視界に誰かの上履きが入る。同じ学年カラーだったので同級生だと思う。その足は明らかに俺に向かい合うように開かれていた。
「何、悩んでいるの?」
目の前には、怪訝そうに手を腰に当てた稲盛が立っていた。
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