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黒色 伏見
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2代目"恋使となった稲森 夕音は、かなり危なっかしいヒトだった。使の姿であればマシになるかと思いきや、どんな状況でも無意識に力を行使し、自身の命や体を危険に晒しながらもそれ以上の結果を出してしまう。はっきり言って、ヒトから遠くかけ離れている。確かに私が夕音の魔力を流用してヒトに毒となるモノを排していたが、介入したのはその程度だ。むしろ元の魔力も夕音のものなのだから、私から夕音に何かを渡してまで作用させたことはない。その為、天気のように心の空模様を読み取ったり、相手を後押しするような花を咲かせたり、澪愛家の強大な力を持っている心霊達をその身に宿し、剰えその力を使用するといったことは、全て夕音に始めから宿っていた力というわけだ。私が療養の為に拝借した力もあるというのに、夕音はその点において体調を崩したりすらしない。勿論私が害にならないよう調整しているからという理由もあると思うが、夕音が体調を崩すのは決まって私達より強大で、いち使という私の位ごときでは相対することすら無礼に当たるような相手に出会った時だった。夕音の視界は途中で塞いだから忘れていたのだろうけど、時折こちらの世に降りて来ていた神々と口を聞いたせいなどであった。
そんな日々も安定していたのに、夕音は何故かあの時稲荷様と世界を共有してしまった。夕音の視界に対する介入が上手くいかなかったのかと思ったが、そうではなかった。
もしかしたら、私が視界を共有したことで見られる世界が入り混じってしまったのかもしれない。
確認する術はないが、私と稲荷様の縁も関係していたかもしれない。主人と使。それは切っても切れない関係である。私と稲荷様の縁が影響して夕音にも稲荷様と縁が結ばれ、あの邂逅が起こってしまったのかもしれない。他の神様だったら、もしかしたら起こらなかったのかもしれない。
その後も夕音は、色々な神に関わっていった。体育祭とかいう学校行事では、悪知恵の神と呼ばれる徒様に。夏の旅行先では山や地を管理する姫巫女様に。2柱は私の存在にも気付いていたらしく、徒様には口止めを願った。快く受け入れていただいたのでホッとしていたが、彼らには気付かれたのに稲荷様には気付いてもらえなかったという事実が重くのしかかって来た。私と夕音の力の気配は似ているらしい。だからといって、関わりの多い者の方が少ない者より鋭敏になるというのはおかしな話ではないか。
私は、もしかして忘れられてしまったのだろうか。
夕音との力量の差に打ちひしがれながら、心の中で小さく呟いた。
そんな日々も安定していたのに、夕音は何故かあの時稲荷様と世界を共有してしまった。夕音の視界に対する介入が上手くいかなかったのかと思ったが、そうではなかった。
もしかしたら、私が視界を共有したことで見られる世界が入り混じってしまったのかもしれない。
確認する術はないが、私と稲荷様の縁も関係していたかもしれない。主人と使。それは切っても切れない関係である。私と稲荷様の縁が影響して夕音にも稲荷様と縁が結ばれ、あの邂逅が起こってしまったのかもしれない。他の神様だったら、もしかしたら起こらなかったのかもしれない。
その後も夕音は、色々な神に関わっていった。体育祭とかいう学校行事では、悪知恵の神と呼ばれる徒様に。夏の旅行先では山や地を管理する姫巫女様に。2柱は私の存在にも気付いていたらしく、徒様には口止めを願った。快く受け入れていただいたのでホッとしていたが、彼らには気付かれたのに稲荷様には気付いてもらえなかったという事実が重くのしかかって来た。私と夕音の力の気配は似ているらしい。だからといって、関わりの多い者の方が少ない者より鋭敏になるというのはおかしな話ではないか。
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夕音との力量の差に打ちひしがれながら、心の中で小さく呟いた。
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