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3月24日 閉幕
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わぁぁ、と歓声と拍手が会場に響き渡る。内容としてはかなりグロテスクで重かったような気がするが、社会風刺が多いというだけある、という感じだった。言葉やセイが溶ける演出も、アマネが飛び降りる演出もかなり本格的で、リアルな風景を見せられているようだった。心のこもった絶叫は息苦しいものがある。
「凄かったね…!」
「みーちゃん、主役だったのねぇ…!」
「いやぁ、霙はなんだかんだ主役…というかそれに1番近いところやってるよなぁ。今回はちゃんと主役側か?」
「霙…」
重苦しい呟きに振り向けば、紗奈の後ろに座っている雪くんが顔を覆って呻いていた。
そういえば霙って、昔自殺しようとしたことがあったんだっけ。
本人から告げられたから間違いないとは思うが、それを知っているのは止めた雪くんだけだと話していた。そんな霙の過去を知っているのなら、確かに今回の配役については思うところがあるだろうし、霙も話しにくかっただろうと思う。今更ながら、霙が主役になったのも頷ける。飛び降りる寸前の、それすらも仕方ないと諦めるような姿は不安を煽られるものがあった。由芽が男役をしているのはかなり珍しかったが、新鮮で面白かった。由芽の動きは軽やかで、重力を感じさせない動きだった。普段だったらやはり霙がやる側の動きだったので、今回の公演は演劇部にとってかなり新しいものになったのではないだろうか。
ざわざわと出て行く人を遠目に見ていたら、反対に舞台から飛び降りてくる影が見えた。噂をすれば、素早い動きを見せたのは霙だ。由芽は呆れ顔で舞台の上に立っている。尻尾が重いのか、ゆっくり階段を使って降りて来た。
「どうだったー!?」
「面白かったよー!」
「凄かったわ」
「流石みーちゃんね!」
褒められて喜んでいる霙の胸元へ、いつの間に移動したのか雪くんが倒れ込む。それを支えた霙は申し訳なさそうな顔を浮かべて、小さく笑った。
「大丈夫。大丈夫だから演じたんだよ」
「…」
「うん、ごめん。でも私がやるべきだと思った役だったから。由芽には無茶言っちゃった」
雪くんを抱き留めながら由芽に視線をやると、由芽は呆れたように「本当よ」と返した。
「あんなピョンピョン跳ねる役、普通霙の役割でしょうに。ワイヤーアクションなんて慣れてないんだからすっごく大変だったわ」
「でも逆に新鮮だったよ。2人とも演技上手いね」
「当然。…まぁ、あの動きは霙の得意なやつなんだから、1番見て来たところではあるしね」
「私も最初のシーンとか最後の告白とか、由芽をイメージしたよー!」
「普段に戻るとさっきのイメージ全部崩れるから黙ってほしい」
「お?富、ワイヤーに吊るされたいって?」
「任せておきなさいよ。演劇部でワイヤー演技に慣れたトップ2が手伝ってあげるわ」
「すみません勘弁してください!!」
そんなこんなで、演劇部の公演は幕を閉じたのだった。
「凄かったね…!」
「みーちゃん、主役だったのねぇ…!」
「いやぁ、霙はなんだかんだ主役…というかそれに1番近いところやってるよなぁ。今回はちゃんと主役側か?」
「霙…」
重苦しい呟きに振り向けば、紗奈の後ろに座っている雪くんが顔を覆って呻いていた。
そういえば霙って、昔自殺しようとしたことがあったんだっけ。
本人から告げられたから間違いないとは思うが、それを知っているのは止めた雪くんだけだと話していた。そんな霙の過去を知っているのなら、確かに今回の配役については思うところがあるだろうし、霙も話しにくかっただろうと思う。今更ながら、霙が主役になったのも頷ける。飛び降りる寸前の、それすらも仕方ないと諦めるような姿は不安を煽られるものがあった。由芽が男役をしているのはかなり珍しかったが、新鮮で面白かった。由芽の動きは軽やかで、重力を感じさせない動きだった。普段だったらやはり霙がやる側の動きだったので、今回の公演は演劇部にとってかなり新しいものになったのではないだろうか。
ざわざわと出て行く人を遠目に見ていたら、反対に舞台から飛び降りてくる影が見えた。噂をすれば、素早い動きを見せたのは霙だ。由芽は呆れ顔で舞台の上に立っている。尻尾が重いのか、ゆっくり階段を使って降りて来た。
「どうだったー!?」
「面白かったよー!」
「凄かったわ」
「流石みーちゃんね!」
褒められて喜んでいる霙の胸元へ、いつの間に移動したのか雪くんが倒れ込む。それを支えた霙は申し訳なさそうな顔を浮かべて、小さく笑った。
「大丈夫。大丈夫だから演じたんだよ」
「…」
「うん、ごめん。でも私がやるべきだと思った役だったから。由芽には無茶言っちゃった」
雪くんを抱き留めながら由芽に視線をやると、由芽は呆れたように「本当よ」と返した。
「あんなピョンピョン跳ねる役、普通霙の役割でしょうに。ワイヤーアクションなんて慣れてないんだからすっごく大変だったわ」
「でも逆に新鮮だったよ。2人とも演技上手いね」
「当然。…まぁ、あの動きは霙の得意なやつなんだから、1番見て来たところではあるしね」
「私も最初のシーンとか最後の告白とか、由芽をイメージしたよー!」
「普段に戻るとさっきのイメージ全部崩れるから黙ってほしい」
「お?富、ワイヤーに吊るされたいって?」
「任せておきなさいよ。演劇部でワイヤー演技に慣れたトップ2が手伝ってあげるわ」
「すみません勘弁してください!!」
そんなこんなで、演劇部の公演は幕を閉じたのだった。
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