神様自学

天ノ谷 霙

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話の中に見えた気付き

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虹様は、淡々と事実を語る。そこには赦しを請う様子も、逆に煽って逆上させてやろうという気もない。ただ起こった出来事とそれに付随した感情を、まるで寝物語でも語るように淡々と述べるだけだ。羅樹が時折私を抱き締める腕に力を入れるのを感じ、そっと手を重ねた。あの時は夢中で動いていたから、今になって並べられると私の行動の無茶が目立つ。
虹様の目線だけでは語り切れないことは、恋音こいねさんが代わって説明してくれた。私の説明では穏便に済ませようと誤魔化してしまう恐れがあったので助かった。私は羅樹の体温を感じながら、じっと彼女らの言葉を聞く。
虹様がヒトの世に降りて恋をし、しかし神という身分故に隣にいることが叶わず離れ、再度会おうと降りた時には既に命尽きていたこと。ショックを受けて塞いでいた時期に、"恋使コイツカイ"の力を得ればどんな恋心も叶うと聞いたこと。それを本気にし、恋使である私の力を狙ったこと。その為に命を奪おうと呪ったこと。
呪いは毒だからと、解毒の力を持つ恋音さんが代わりに解呪してくれたこと。それ故無事だった私は、逆にその力を利用して虹様と過去を見、再び言葉を交わす機会を与えたこと。そして未練のなくなった虹様は、神々の掟で裁かれていること。
「今回は任を賜ったので夕音様に付かせていただきましたが、本来それも許されぬ立場。夕音様には妹共々、ご迷惑をお掛けしました」
深々と礼をされ、私だけが罪悪感に心が沈む。今回迷惑を掛けたのは私だ。私が稲荷様にもう一度会いたいと我儘を言ったから、それに羅樹を連れて行きたいと願ったから、しなくていい負担をすることになった。本当は穏やかな日々を、低級のヒトならざるモノが私を諦めるまで続けるだけで良かったのに。
「あ」
ふと、思い至った。そういえばそもそもこのような対応に神そのものが出て来るのは稀だと、虹様も言っていたではないか。そしてその時に、もう2度と間違わぬようにと、呟いていた。それは上の命令だと、否守いなもり様の存在を暗に告げていた。
だから、そう。最初から私が稲荷様の所に出向くのは想定内で、そうなるよう促されたのだ。私が稲荷様と会えるように、稲荷様に想いを伝え、稲荷様が私の想いを受け止められるように。
本来1つに降ることのない神の慈しみ。それが私に向けられ、稲荷様に向けられた。
その始まりは、確か呼ばれたように聞こえたから。
コツンと降って来たガラス玉は、確か虹様の色をしていた。
「あぁ、そうか」
私が私であれる道を選べたのは、あの時確信したからだ。私は一つを選べないし、一つを選ぶために自身を傷付ける人を叱り飛ばす性格だと。そしてそれを許し、そうある私のまま呼んでくれたのは虹様だと、今初めて思い至った。
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